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6困ったわ


 翌日お兄様が国王に話をしに行った。

 帰って来た兄から婚約破棄は保留になったと聞いた。

 「すまんセリーヌ。国王に無理だと言われた」

 お兄様は私の両肩にそっと手を置いたままがっくりと肩を落とした。

 「えっ?でも、オデロ殿下がおっしゃったんですよ」

 「ああ、あのくそが言ったのはわかっている。だが、神粋の儀式で決まった婚約だ。そう簡単にはいかないだろう」

 「まあ、私だってそれはわかるわよ。でも‥」

 脳内で次々に言葉が爆発する。

 どうして?あのバカが言ったじゃない!

 はっきりとびっしと私を指さして傲慢でクッソ見たいな男のくせに。

 「で、でもセリーヌの殿下が好きだったじゃないか。いいのか?あいつの事がまだ好きなんじゃないのか?」

 兄は少し心配そうな顔で私の様子を伺う。

 「ええ、確かに前は好きでしたよ。でも、百年の恋も冷めるってやつです。ずっとひどい扱いでした。私の事などほんのこれぽっちも見てはいなかったんです。もう、はっきりわかったんです。だから今は一ミリだって好きじゃありません。お兄様そんな心配より私明日からどうすればいいんです?あのパーティーではっきりと殿下からは婚約破棄されたんですよ。でも、婚約は保留のままでって‥」

 「ああ、俺だってそこまでとは思ってもいなかった。だからセリーヌ。ほんのしばらく。ああ、しばらく様子を見て‥」

 あたふたとそう言った。

 「でも‥まあ、そうなるでしょうね‥」

 私は言いたいことを言いかけて言葉を飲み込む。

 「ああ、それにしてもセリーヌ大丈夫か?」

 兄は心配そうに声をかけて来る。

 「仕方ありません」

 「でも、どうしてもいやならもう一度国王に掛け合うからな」

 ぎゅっと両手を握られて兄の覚悟を感じる。

 きっと兄は私の希望をかなえようとしてくれる。でも、これ以上兄に甘えるわけにはいかないから。

 「ええ、お兄様わかってます。でも、きっと何とかなりますから」

 私は何とか今の状況を受け入れようと思った。

 兄はそれを聞いてほっとしたのか部屋から出て行った。


 私はお行儀悪くベッドにゴロンと横たわる。

 脳内には明日からどうすればいいと不安が沸き上がる。 

 明日から学園でどんな顔をしてあのくそ野郎と顔を合わせればいい?

 いや、顔を合わせるのも嫌だけど生徒会の仕事もあるし、王宮の殿下の執務は?もちろんしなくていいわね。

 それに問題は訓練だ。

 (学園では<真実の愛>のカップルはいざというときの為にと男は戦闘訓練、女は浄化の訓練がある。それもふたりで力を合わせて魔力を出し合うと言うおかしな訓練が時々あるのだ)

 そして時々、実技練習として神殿から委託された王都から近い魔粒毒の発生地帯への浄化訓練もある。

 その訓練は明日。実技練習はまた近いうちにあるはず。

 騎士隊と一緒にオデロ殿下と私も行く事になっているんだけど。

 そんな予定なんか全く頭にないんでしょうね‥

 まったくどうするつもりなのよ!

 私はもうあんな奴の事なんかどうでもいいけど‥ 

 そう言うわけにいかないのが貴族のしがらみってやつかしら?

 国王から無理だと言われればねぇ‥

 前世でも会社組織でのしがらみあったわよね。

 まっ、私前世は三十歳の成人女性だったんだし大人対応するしかないか。

 これもオデロ殿下の出方次第だけど。

 あっ、それに私もう我慢する必要ないんじゃない?

 言いたいことを言えばいいしやられたら倍返ししてやるんだから!












 

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