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【神託】で選ばれた真実の愛の相手がくそなんですけど  作者: はるくうきなこ


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5ユーゴ殿下の思惑

 

 俺はユーゴ。人が俺の事を殿下って言うけどそんなの本当に敬わられていない継承だけだって知っている。

 父は確かにこの国の国王だけど母は元子爵令嬢だったが平民になった。

 いわゆる一般人でおまけに俺の髪色は黒色だった。

 それだけでも王族ではないと言われているみたいだった。

 王族はたいてい金色や悪くてもダークブラウンだ。

 それに母が平民と言うだけでもう俺はみんなから蔑まれる。

 例え瞳が金赤色でもだ。

 まあ、そんな事はどうでもいい。

 俺にはやるべき事がある。

 母ユミルは魔粒毒に犯されている。

 何でもっと早く気づかなかったって俺は何度も後悔している。

 あれから母と会ったのは俺が学園に入る前だった。

 咳をする母に風邪でも引いたのかと思っていた。


 母と一緒に暮らしていたのは俺が八歳のころまでだった。

 それまでは父の妾として父の相手をしていたから、でも、また新しい侍女に手を出して父は母に興味を失った。

 そうなれば母は平民で後ろ盾もないんだ。

 あるのは王子を産んだと言う事実だけ。それも母のような身分ならばいない方がいいくらいの扱いだ。

 すぐに住まいを離宮に移され俺は王子教育という名目で母と離された。


 それから俺は必死で認めてもらおうと勉強をして剣の腕の磨いた。

 どうせ王子と言ったって国王になる事は絶対にない。

 王太子は王妃から生まれたギルオン王太子だしスペアはオデロ殿下がいる。

 俺が認められるには知識と剣技を身に着け政務に携わるくらいにならなければならない。

 そして母を引き取り小さいながらも我が家を買って一緒に暮らせればいいと思っていた。

 でも、母は病に侵されていると見舞いに行った後で知った。

 肺に病魔が入り込み辛そうに咳き込む母の背中は小さくて、見舞いに行ってもそっと背をさするくらいしか出来なかった。

 だから俺は決心したんだ勉強して母の病を治そうと。

 学園に入る前に神殿に呼ばれた。

 神粋の儀式があるのは知っていた。

 でも今の俺にはそんな事にかまけている余裕がなかった。

 婚約者?そんな気持ちになれるかって。

 <真実の愛>?そんなものあるはずがないだろう?

 神殿もわかっているくせに誰も何も言わない。

 今までのしきたりにばかりこだわるだけでそこには真実なんかない。

 だから行かなかった。

 国王からはこっぴどく叱られたが、二度神粋の儀式は行われないから、二年生になると誰もそんな事は覚えていなかった。

 俺は少し心配していたがほっとしたのも本当だ。

 学園では魔道部に入った。

 部員は少なかった。本気で魔道具を開発をしようとか武器を開発しようなんて奴はいなかった。

 ここに籍を置いているだけだった。

 でも、学園の魔道部に入っていると王宮の魔道局にも出入りが出来た。

 俺はすぐに学園の魔道部には行かなくなった。

 代わりに王宮にある魔道局に入り浸った。

 俺はすぐにでも魔粒毒の研究がしたかったけどそんな事は無理だった。

 先輩魔導士の手伝いや使いっぱしりをしなが魔道局でやっていることをちらちら眺める程度で。


 すごいんだ。

 魔道局では最新の画像を取れる道具や音を収音する道具を開発していたり、生活にも役立つ道具で小さな力で炎を長持ちさせるランプとか雑草の生育を悪くする薬剤とか生ものが傷まないような保冷の箱なんてのもあった。

 魔石に魔力を注ぐ技術もすごい。

 ああ、最近では鳥の羽で作った耳当てがすごく温かいって好評でもうすぐ北の領地で販売を開始するらしい。

 あっ、俺は辺境とかでも魔物討伐何かの時に騎士に役立つ携帯食を作っている。

 簡単な事なんだ。

 肉や野菜を味付けしてそれを水分がなくなるまで煮込む。

 それをぎゅっと固めて乾燥させて固形にする。

 野営で鍋に水と固形を入れて煮込めば温かいスープの出来上がりだ。

 持ち歩くのも便利で保存もきくだろう。

 それにこの前バショーの葉で作った薬で魔粒毒の皮膚病が治ったんだ。

 副作用もなく使った人すべてに効き目があった。そして何より今の所再発していない。

 今まではヒガバナという薬草で治療していたが毒素が強いためヒリヒリしたり酷いものは跡が残る場合もあり、拒否反応を起こすものには効き目がなかった。

 これはすごい事なんだ。

 何度も失敗してやっと出来上がったんだけど。

 それでも、母の病気の完治には程遠いんだ。

 でも、俺は諦めるつもりはないんだ。


 そんな時父である国王とオデロの話を聞いた。

 実を言うと俺は王宮のあちこちに人の話が聞ける魔道具を仕掛けている。

 どうやらオデロはセリーヌと婚約破棄をするつもりらしい。

 でも、国王は反対だ。当たり前だろう。

 あのバカ、神粋の儀式で決まった相手と婚約破棄しようなんて頭おかしいんじゃないのか?

 その翌日セリーヌの兄のリートが国王に謁見に来た。

 リートはかなり怒っていた。

 オデロ殿下の態度はあんまりだ。だから婚約破棄させて欲しいと言った。

 国王はそれは出来ないとはっきり言った。

 まあ、そうなるよな。

 リートは国王に頼まれて仕方なくしばらく様子を見ると言った。

 セリーヌはどうする気なんだ?

 今までだってかなりひどい扱いを受けてたよね。

 なぜかセリーヌの事が気になった。

 あんな奴の事なんか忘れればいいのに。

 もし俺がセリーヌみたいな女の子が婚約者だったら大切にしたのにってずっと思っていた。

 そんな気持ちになってはいけないってずっとこの気持ちを押し殺して来た。

 でも、兄がその気なら‥


 いや、そんなことはともかく、とにかく俺は身勝手なオデロをぎゃふんを言わせてやりたいと思った。

 そしていいことを思いついた。

 だったらセリーヌが婚約破棄したいように仕向ければいいんじゃないかって。

 もう関係修復は不可能だって思えるほどだ。

 そうすれば俺にもチャンスが来るかもしれない。

 俺の脳内に色々な計画が巡り始めた。


 





 




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