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【神託】で選ばれた真実の愛の相手がくそなんですけど  作者: はるくうきなこ


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44聖女の儀式


 朝食が終わるとリンネさんと私は聖堂に赴いた。

 昨日見た時も美しいと感じたが朝の光がステンドグラスを通して入って来るさらに素晴らしかった。

 光が真っ直ぐにイヒム神像に差し込んで赤ん坊を抱いて微笑むその顔は慈愛に満ちていて心が洗われる気がする。

 昨日のすさんだ気持ちがすぅっと霧散していくみたい。

 リンネさんと奥の部屋に入り着替えをする。

 リンネさんは司教の服を着て私は来ているワンピースを脱いで聖女服をまとった。

 こんな適当でいいのかと思うがリンネさんが「どんな姿をしていても関係ないわ。でも、一応儀式だから」

 そう言って笑った。

 着替えて出てくるとカイヤートとライノスさんとクラオンさんが正装姿で立っていた。

 急いで身なりを整えたらしく撫ぜつけた髪の毛は心なしか濡れている。


 「カイヤート様、それに皆さんまでお揃いで?」

 「ああ、朝食後に聖女の儀式をするって大叔母様から聞いていたから」

 「あの、魔力はどう?身体は辛かったりしていない?」

 いきなり魔力を持つとかなり体力を消耗すると聞いた事があった。

 「ああ、ありがとう。もうすっかり馴染んだみたいだ」

 カイヤートはすっきりした顔でそう言う。

 もう、心配して損した感じ!まあ、平気ならそれでいいけど‥

 何だかもやもやした気持ち。きっとユーゴ殿下の魔力をいとも簡単に受け入れた事が‥ああっ!!

 いやなのかうれしいのか自分でもよくわからなかった。

 

 リンネさんが奥の部屋から月の光の色をした美しい石を祭壇の前に置く。

 すると「すみません遅くなりました」ともう一人の司祭であるジャクルさんが入って来た。

 ちょうど真上は聖堂の一番高い天窓のある位置だ。

 リンネさんは祭壇の石を置いた向こう側で立っている。

 「では、これより聖女の叙任式を始めます。セリ様こちらにどうぞ」

 ジャクルさんが神妙な面持ちでそう告げた。

 カイヤート達も横に並んで静かにその時を待っている。

 私は静々と祭壇に近づく。一応の手順はリンネさんから聞いた。石に手をかざせば石が反応して光が現れるらしい。

 その光は天窓にまで上がって行きそして吸い込まれるように消えるのだそうだ。

 まるで神が聖女と認めたってみたいに。


 「こちらに手をかざしてください」

 私はいつも魔力を練る手をその月光色の石にかざす。

 「では、ゆっくり魔力を込めて下さい」

 私は目を閉じて神経を集中させる。

 じわじわと手のひらが熱を持ち魔力が沸き上がる感触がする。

 かざした手が温かくなってゆっくり目を開いた。

 石から光が浮かび上がり月光色の粒子が空中に舞い上がる。

 揺らめきながら淡くて温かな色をして光の粒が天に昇って行く。

 「「「「きれい‥」」」」

 皆がその光に目を奪われその行く道筋をじっと目で追っていく。

 月光色の光が天窓にまで登るとそこから外の光に吸い込まれるように消えて行った。

 「おめでとうございます。神はセリ。あなたを聖女とお認めになりました」

 ジャクルさんが深々とお辞儀をしてそう言った。

 「ええ、セリおめでとう。あなたはプロシスタン国の聖女となったわ。さあ、この聖水を」

 リンネさんは月光色の石の横に置かれていたグラスを手に持つと私に近づいた。

 グラスから聖水に指先をつけて少し濡らすとそれを私の額から胸。右肩から左肩に付けた。十字をきったのだ。

 「神の祝福あれ」そう言いながら。

 その時セリの身体は淡い水色の光に包まれた。

 その瞬間脳内で囁く声がした。

 『あなたに加護の力を授ける』

 「えっ?今、何かおっしゃいました?」

 「いいえ、神はあなたに加護の力を授けたらしいわ。セリ、ふっ‥水色の光なんて初めて見たわ」

 リンネさんが驚いた顔で私を見つめるとふわりを笑みを浮かべた。

 「加護の力ですか‥」

 「ええ、あなたを色々な厄災から守ってくれるって事よ」

 

 「はっ!加護の力か。神様も余計な心配を‥セリは俺が守るに決まってんだろ!」

 首を突っ込んで来たのはもちろんカイヤートだ。

 「いえ、カイヤート様。私の身は自分で守れますから」

 「ったく、お前は。俺の番だって言ってんだろ!いつになったらわかってくれるんだ?」

 「それは永遠に無理かもしれません」

 カイヤートが愕然とした顔でライノスに泣きつく。

 「俺の番が‥おれのつがいが~」

 「はいはい。嘘泣きしてもばれてますよ」

 ガクンとっつんのめったがすぐに立ち直り「とにかくセリ。これでお前は正式にプロシスタン国の聖女になった。早速だが明日にでも王都に出発しようと思うんだけど?」

 「明日ですか?」

 気の早いカイヤートが言いそうな事だがこれには驚いた。


 「ええ、でも子供たちにもお別れがしたいし‥」

 「そうだわ。今夜はセリが聖女になったお祝いをしましょう。子供たちも一緒に食事会をすればみんなきっと大喜びするわ。カイヤートの言うのもわかるの。私も月喰いの日に備えて欲しいから‥」

 リンネさんにまでそう言われると受け入れるしかなさそうだ。

 「わかりました。でも、その前に子供たちと一緒に遊びたいです。それから一緒にケーキも作って」

 「あらあら、セリったらすごく張り切ってるじゃない」

 「ええ、楽しい思い出をたくさん作りたいんです」

 「俺も子供たちと遊ぶから」カイヤートが声を上げた。

 「俺達も。それで何して遊ぶんです?」

 ライノスさんとクラオンさんも。


 そう思うとやりたいことが次々に頭に浮かんだ。

 「ええ、かくれんっぼ‥よりも、だるまさんが転んだのほうがいいかな。それから‥かかしけんけんぱ!あっ、泥団子も作ってそれから‥」

 「おいおい、待て。そんなにたくさんは無理だろ?」

 「じゃあ、私は料理長にケーキのスポンジとクリーム作ってもらえるかお願いするわ」リンネさんも協力的。

 「すみません。じゃあ、私子供たちがそろそろ起きると思うので行きます」

 カイヤートやライノスさんとクラオンさんも付いて来る。

 「三人はバケツとスコップ。それから棒切れも準備して下さい」

 「棒切れ?」

 「あっ、それからこれくらいの石ころもお願いします」

 「はいはい。お~い。お前らさっさと行くぞ!」

 皇族をこんなに使っていいのかと思うが、まあ、聖女の権限ということで。











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