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【神託】で選ばれた真実の愛の相手がくそなんですけど  作者: はるくうきなこ


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43/102

42叔父様の所に


 わたしはすぐに<真実の愛>の解消手続きがどうなるのかを叔父の所に確かめるためスコット辺境領に転移した。

 叔父様は神官と辺境伯とを両立していてかなり忙しそうだった。

 ちなみに叔父様は神殿にいた。

 「叔父様」

 「セリーヌ一体どうしたんだ?」

 「プロシスタン国にオデロ殿下が来たんです」

 「やっぱり。急いで手紙で知らせるつもりだったんだが間に合わなかったか」

 「ええ、彼の転移で来たので‥それよりアブレイ副神官から聞いたんですが、<真実の愛>の解消をしたら私の魔力がなくなるって本当なんですか?」

 「ああ、私も彼から聞いて驚いた。何しろこれまでに<真実の愛>の解消などなかったらしいんだ。もうかなり古い文献に載っていて知らないものも多いらしい」

 「でも、悪いのはオデロ殿下ですよ。どうして私の、魔力が奪われるのです?」

 「ああ、だがオデロ殿下は今は婚約を解消しないと言ってるんだ。それを受け入れないとなればセリーヌが悪い事になってしまう」

 「そんなひどい!実は私プロシスタン国の聖女として浄化をして欲しいと頼まれているんです。この力を失えばプロシスタン国人々が困るはずなんです」

 私は叔父に縋るように話をする。

 叔父様は私の背中をさすりながら話をしてくれた。

 「ああ、それなんだが、私もこの神殿に残っている古い文献を調べたんだ。実は<真実の愛>の解消はこの国にだけ効力があるらしいんだ」

 私ははっと顔を上げる。

 「それって?プロシスタン国では関係ないって?じゃ、私の魔力はシェルビ国では使えないけど他の国では今まで通り使えるって事なの?」

 「ああ、多分そうだろうと思う。まあ、絶対とは言い切れないがおそらく魔力を失う効力はシェルビ国の中だけだ」

 「はぁぁぁ~良かった」

 緊張していた気持ちがふっと緩んで私はへにゃりと力が抜けた。


 「おいおいセリーナ、しっかりしろ。そんなに心配だったのか?」

 叔父様がふにゃとした顔ながらもしっかりと抱き留めてくれる。

 「だって、リンネさんやカイヤート達に頼むからってお願いされてみんなが頼りにしてくれてると思ったら」

 「ああ、さすがに兄さんの娘だな。お前はいつだって誰より人の事を優先するからな‥でも、無理はするなよ」

 「ええ、プロシスタンに行って私もやりたいことが出来て、今は子供たちのお世話をしているのよ。それがもう、楽しくって子供たちが可愛くって‥あっ、ランチも子供たちと作ってそれはもうみんな美味しいって喜んでくれてね」

 「そうかそうか。お前がそんなに生き生きとしているのを見れてうれしいよ。シェルビ国での辛い事は忘れてプロシスタン国で新たな一歩を踏みだすといい」

 「ええ、そのつもりよ叔父様。あっ、でも、またオデロ殿下が何かして来るかも‥」

 「ああ、その辺りはこっちでも探っておく。何かあったらすぐに知らせるようにしよう。なに、急ぐときは転移すればいいからな」

 「そうね。私の居場所は常に知らせるようにしておくわ」

 「ああ、そうして置いてくれれば安心だ」

 そして私はまた転移でスヴェーレの教会に戻った。

 

 *~*~*


 急いで子供たちの所に戻ろうとするとカイヤートが青い顔をして近づいて来た。

 「セリ?どこに行ってった!!」

 すごい剣幕で私を抱き留める。掴まれた腕に力がこもる。

 鼻をふんふん言わせて私の髪や身体を嗅ぎまくってくる。

 「誰だ?この匂いは誰のだ?男の匂いだ。お前今まで誰といた?」

 ギラギラした金色の瞳が威嚇するようなまなざしで私を射すくめる。

 私はそんな瞳に恐怖を感じてぎゅっと身体を縮めた。

 カイヤートは怒っていながらもそんな私の仕草に瞬時に気づき、はっとした顔になり、急にしょんぼりと首を垂れた。

 「ごめん。恐がらせたか?セリ、お前は俺の番だから他の男の匂いを感じると獣人の本能でイライラしてしまう。お前を怖がらせたり傷つけたりは絶対にしない。だから‥他の男の事と触れ合うのは‥」

 彼の耳はぺたんと垂れて本当に辛そうだ。

 

 「カイヤート。誤解よ。今スコット辺境領に転移していたの。叔父様に会ってあの解消で魔力が失われるって話を聞きに行ってただけよ」

 カイヤートの悲しそうな瞳に光が戻るように、彼がほっと息を吐いた。

 「叔父さんの匂いか‥良かった。それで?」

 「ええ、解消になってもそれはシェルビ国内だけにしか通用しないんだって、だからこの国では私の魔力はこのまま使えるらしいわ」

 「じゃあ、聖女として?」

 「ええ、みんなの役に立てそうよ」

 「そうか。良かった。あの‥それでセリ、俺の番になるのはどう?」

 カイヤートは少し恥ずかしそうに頬を染めながらそう言った。


 「それって婚約するみたいな話よね?悪いけどそんな気持ちにはなれないわ。だって見たでしょう?あの酷い男を‥」

 あのオデロ殿下を見れば誰でも嫌になるのは当然でしょ?

 私の気持ちわかるでしょと言わんばかりにカイヤートの申し出を瞬殺で断る。

 カイヤートは首をぶった切られたみたいにガクンとうなだれた。

 でも、すぐに気持ちを切り替えたらしく。

 「だ、だよな。俺が悪かった。今はこんな話より聖女としてセリに頑張ってもらう方が大事だもんな。そうと決まればすぐにでも王都に行く手配をさせてくれ。それは了解してくれるか?」

 「ええ、まあ、そうよね」

 私はあいまいな返事を返した。

 

 どうしてってあんまりにもあっさり引かれたから?

 ううん、私は二度と男には振り舞わされたりしないんだから!!










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