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【神託】で選ばれた真実の愛の相手がくそなんですけど  作者: はるくうきなこ


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38オデロ殿下いい加減にして下さい!


 カイヤートは私を聖堂の外に連れ出す。

 それを追うようにシェルビ国の騎士隊が私達を取り囲む。

 「ハハハ。セリーヌ。今ならまだ間に合うぞ。さあ、諦めて帰ると言え!」

 オデロ殿下は勝ち誇ったようにぞんざいな物言いをした。

 カイヤートは私を背に庇い剣を抜いた。となりにはライノスさんとクラオンさんが剣を構える。

 「いつでもかかって来い!」

 「死ぬぞお前!」

 うん、そうだよ。カイヤート、魔法に剣で勝とうなんて無理だよ。

 その後を追うようにリンネさんやアンティ辺境伯も出てきたがカイヤートの合図で安全な所まで下がった。


 私は困ってイルを呼ぶ。

 『イルどこ?助けて』

 イルに何とかできる状況ではないかもしれないし、大きさで言えばかなり無理があるがそれでも‥

 「にゃ~ん」

 イルがどこからともなく現れる。

 「猫?おいおい、いくら獣人だからって」

 オデロ殿下がバカにしたようにくすりと笑う。

 「クッ。そんな子猫まで、やめておけ。猫を死なす気か?」

 イルが「にゃにゃにゃぁぁぁ~ (あのくそ王子。見くびられたもんだ。見てろ) 」と言うと後ろ足で立ち上がった。

 みんなが驚いている間に前足で魔力を練っている。こんな時だが可愛い前足をすりすりしていて可愛い。

 そんな事言ってる場合じゃないから、もう!

 そうこうしているうちにイルの魔力がうねうね渦を巻いて業火になりそれをオデロ殿下に向かって放った。

 威力はさきほどのオデロ殿下のものより小さいがそれでもかなりの威力だ。

 お兄様一体いつの間にそんな魔力を?とイルを素早く見る。

 イルは平然とした顔で次の攻撃態勢に入ろうとしている。


 オデロ殿下は「ぐはっ!」と声を上げて飛び上ってそれをよけた。

 火の玉が渦を巻いてすごい勢いで地面を掘り返し魔力の勢いが衰えたが土を巻き上げ騎士たちが後ろに下がる。

 地面が一部分だけえぐれてちょっとした穴が出来ている。

 

 「なんだこいつ?猫のくせに‥シーデン。なにをしている。いいからやれ!」

 オデロ殿下が後ろから命令を下す。

 「ですが!」

 騎士隊長はやはり少しは常識があるようでここで魔力を繰り出すのはまずいと思っているらしい。

 そこに一人の騎士が前に出て来た。

 「騎士隊長待って下さい!こんな事をすればプロシスタン国と戦争になります。もとはと言えばオデロ殿下が悪い話です。一方的に婚約破棄をしようしたのは殿下じゃないですか。それなのに今度は自分の都合でまたセリーヌ様を取り戻す?いい加減にして下さい。国民はあなたのした事を忘れたわけではありませんよ。ユーゴ殿下を巻き添えにして殺した事だって国王があんなになったのだってあなたのせいでしょ?」

 そう言ったのはラバン・キアード伯爵令息だった。

 ああ、キアード伯爵令息。

 私、あなたの推しになりましたよ。前から素晴らしい方でしたよね。

 「「「そうだ。そうだ!」」」一緒に来た騎士達も。

 「騎士隊長は一体誰の味方です?シェルビ国に正義はあるんですか?もし、オデロ殿下が正しいと言うなら俺はマリーズとこの国に亡命します。だからはっきりおしゃって下さい!」

 キアード様あなたは何という。 

 私はキラキラしたものを見るようにキアード様を見つめる。

 いえ、あなたにはマリーズという婚約者がいることはちゃんとわかっていますからご安心ください。

 

 シーデン隊長は狼狽えたようにオデロ殿下とキアード様を見比べている。

 「シーデン!何をしている?」 

 「オデロ殿下。ここで魔法を使うことは出来ないかと。今一度セリーヌ様にお願いをするべきでは?」

 「セリーヌは俺とよりを戻す気がないんだぞ。無理やりでも連れ帰るしかないだろう?」

 「隊長、私がやります!」

 一歩前に進み出たキアード様が手のひらで魔力を練り始める。

 「キアード。お前がやってくれるか。ああ、セリーヌを氷漬けで連れて帰ろう。帰ったらお前を騎士隊長に任命しよう」

 オデロ殿下は嬉しそうな顔をした。


 そのすぐ後、キアード様が魔法を放ったのはオデロ殿下だった。

 それを察して瞬時に雷波魔法を放つシーデン隊長。

 彼は雷魔法の使い手で鬼神を恐れられている人だ。

 魔力と魔力がぶつかり合い「ギギィァ~」悲鳴のような音を立てて消滅していく。

 「キアードお前なにを?」

 オデロ殿下がマジ切れた顔をしている。

 「だって、仕方がないじゃないですか。殿下はまともじゃないんです。俺は騎士です。国に忠誠を誓いましたが不義を働く気はありません。こんな人の言うことを聞いて自分の信念を曲げる事は出来ません!!」

 キアード様もう、素敵すぎます!

 「それが王族に言う事か?お前という奴は不敬だ!シーデンすぐにあいつを捕らえろ!」

 シーデン隊長が本気になればどうなるか‥

 「キアードお前は引っ込んでいろ!」

 シーデン隊長は仕方がないとでも言う顔で私の方に手をかざした。

 「セリーナ様。お気持ちはお察しいたします。ですがあなたに帰ってもらわなくては困るんです。シェルビ国が崩壊してもいいんですか?あなたもシェルビ国の貴族として義務というものがおありでしょう。だから私はあなたを連れて帰らなければなりません」

 シーデン隊長が魔力を発動させようとしている。

 「隊長やめて下さい!」

 そう叫ぶのはキアード様だが彼でもシーデン隊長にはかなわないだろう。

 って言うか一番悪いのはオデロ殿下じゃない!











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