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【神託】で選ばれた真実の愛の相手がくそなんですけど  作者: はるくうきなこ


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33オデロ巻き返す


 俺は我を失って魔法を放った。

 何でユーゴが出て来るんだ?こいつがどうしてセリーヌと?

 訳が分からず怒りが身体の中で渦巻いて行った。

 確かにセリーヌと婚約破棄しようとした。だが、よく考えればアーネとは魔法の相性も良くなさそうだ。

 この国ではふたりで力を合わせて魔粒毒の浄化をするのが当然の事。それが出来ないとなるといくらアーネが可愛いからと言ってもなぁ。

 そう考え始めていたところだった。

 セリーヌとの婚約はこのまま続けてアーネは側妃に向かえればいいのでは?

 何といっても俺は王子なんだ。それくらいの融通は聞いてもらえるはず。

 なんだ。それならばセリーヌとの婚約破棄はなかったことにすればいい。

 父に呼ばれそのことを話すつもりだった。

 なのに‥

 昨日の魔力暴走の事を散々当てつけるような言いぶり。

 ユーゴはセリーヌといかに相性がいいかとアピールして。

 はっ!お前なんかがセリーヌにふさわしいとでも?

 ふざけるな!

 それなのに父はユーゴの話に耳を傾け俺の話を聞こうともしなかった。

 クッソ!

 ぐるぐる身体の中心で魔力が燃え上がるように高まって行った。

 そしてとうとうやってしまった。

 俺の魔力は極限まで膨れ上がりもうどうしようもなかった。

 とうとう魔力を吐き出すように解き放った。

 もう周りの事など見えていなかった。

 父がいる事も周りを危険な目に合わせることも考えている余裕はなかった。

 気が付けばユーゴがひどい状態で倒れいて俺は酩酊したようになったまま護衛兵に連れて行かれた。


 牢に入れられ何があったかを知る事が出来なかった。

 数日後、護衛兵が来て牢から出された。

 父は乱心してしまったと聞いた。

 俺を死罪にしろとわめいているらしい。ユーゴは俺の魔力暴走で亡くなってセリーナはアーネに刺されたと聞いた。

 俺は側妃である母の力で王位についた兄のギルオン王の補佐をする事になった。

 母は乱心した国王を排除し心を病んだ王妃であるナージェ様も療養と称して遠くの王領に移したらしい。

 ユーゴは事故死として処理されセリーナは彼女の兄が無理やり辺境に連れ帰ったらしい。

 そして兄のリートは亡くなったと聞いた。

 セリーヌはきっと今は悲しみに暮れているだろう。

 ユーゴの母もユーゴの後を追うように亡くなり王宮は俺の母がすべてを支配する状況になって行った。

 これも大神官であるシェロ・サロペスと母が結託した結果らしい。

 大神官であるサロペスは、神殿で莫大な力を持っている。貴族でさえ逆らうことも出来ないほどだ。

 国王もそのことは常に気にしていて実際<真実の愛>の選出なども神官たちの采配で決めていたと聞いた。

 笑える。

 あの神粋の儀式など全くの無意味な儀式だと知ったら国民はどんな顔をするんだろうか?

 

 まあ、母のおかげで俺はこうして今度は国王の側近としていられる。

 でも、母の思惑は俺を国王にする事。それにはセリーヌがどうしても必要だ。

 俺の魔力とセリーヌの魔力があれば国民は俺を国王と認めるしかなくなるはずなんだ。

 実際ギルオンの魔力は大したことはないし婚約者と言ってもすぐにメリル嬢と婚姻が行われ二人は夫婦となるわけだが、全く魔力はお粗末だ。

 俺とセリーヌがちっぽけな魔粒毒の浄化をして見せれば俺が国王にふさわしいと誰もが思うはずだ。

 そのためには何としてもセリーヌを連れ帰らねば。


 そして俺はスコット辺境領に向かった。

 そこにセリーヌはいなかった。

 リートの叔父であるパウロがセリーヌは家を出て行ったと言った。行き先もわからないと。ばかなことを。

 貴族令嬢が一人でどこかに行くなんてあるはずがない、きっとパウロが逃がしたに違いない。

 

 俺は神殿の神官の一人からセリーヌの居場所を聞くことが出来た。

 その神官はパウロを見張るように言われていたらしい。

 これもあの大神官サロペスのおかげだろう。

 まさか、いくら何でもセリーヌがプロシスタン国に行ったとは信じられなかった。

 あんな野蛮な国に?

 あそこにいるのは獣人。生肉を食らい野蛮で素行の悪い奴らなんだぞ!

 そんなところにセリーヌが?

 あのパウロのやつ、一体何を考えているんだ?

 こうなったら一刻の猶予もない!


 俺は母に事情を説明して氷魔法の使い手である騎士隊長のルドルフ・シーデンと騎士隊数名。

 そして副神官のアブレイを連れてプロシスタン国に向かった。

 もちろん全員魔力の使えるもの達だ。転移魔法で移動した。

 俺とセリーナは<真実の愛>のカップルなんだ。プロシスタン国に拒否する権限はない!

 とは言ってもセリーヌがいなくなってすでに三カ月近くが過ぎていた。





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