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11訓練に向けて


 ランチを終えると早速神官が控えている部屋に向かった。

 概ね午後の授業には魔力を指導するものが必要なため過去に<真実の愛>に選ばれた人などが指導に入るが今日は男女合同訓練なので神官も来ることになっている。

 ちなみに神官も元<真実の愛>に選ばれた人がのちにつく職業と言える。

 そんな訳でか王立学園は大神殿のすぐそばにある。

 長い歴史の中で<真実の愛>で選ばれた生徒にはいざという時のための訓練が必要だったし訓練中に力が覚醒して魔力が暴走なんてことにもなりかねないのだそうだけど実際にはそんな事は数十年も起きてはいないらしい。

 それでも神官は訓練で周りに危害が及ばないように結界を張る役割を担っている。

 まあ、それだけ神官になれる人は魔力が多いということだろうし国をあげて人材育成に力を注ぐことになったのはまあ必然だったのだろう。

 でも、もう二百年近く魔粒毒の大量発生は起きてないんだし、こんな事意味ないんじゃ?

 なんて事を思いながら私は神官がいる部屋の扉をノックした。


 「失礼します。セリーヌ・スコットですが神官様にお話が」

 「入りなさい」

 そう言われて中に入る。

 今日の神官はいつものバーク神官ではなく副神官のアブレイ様だった。

 「あの、本日の訓練ですが、私はオデロ殿下とではなくユーゴ殿下とご一緒にすることになっておりますのでよろしくお願いします」

 余計な事は言わず要点だけを話した。

 「それは何かがあるからなのか?」

 銀色の髪を後ろで束ね金赤色の瞳をすっと細められる。

 何か心を見透かされそうでごくりと喉が鳴った。

 「いえ、特には何も。たまには違う組み合わせも良いのではと思いついただけです」

 「そうか。ユーゴ殿下がな。良いだろう。それで行うのも」

 アブレイ副神官が頷いて私はほっと息を撫で下ろした。

 


 そしていよいよ午後の訓練が開始された。

 場所は学園と神殿の間にあるだだっ広い敷地。周りは頑丈な石壁で囲われている。

 私は一人で行こうとしたがユーゴ殿下に付き添われてここに来た。

 もちろんそばにはマリーズとラバン様も一緒にいた。

 ゾロゾロみんなが集まってくる。

 最後に向こうからオデロ殿下とアーネが来るのが見えた。 

 他の生徒はみんな揃っている。

 まあ、王子だから一番最後の登場でも良いんだけど。

 それにしてもみっともないったら。

 私はアーネに絡みつくままにされながら歩いてくるオデロ殿下から顔を背ける。

 「すまない。みんなを待たせたか?」

 「とんでもありません。時間はまだ早いくらいです。では、揃ったのでそれぞれ力を慣らしていこうか」

 担当の指導官のベイリー先生が声を掛ける。

 十五組が揃うといつも最初にウォーミングアップを行うのがいつものことだ。

 敷地の中にはいくつも的が作られていて皆そこを目掛けて魔力を注ぎ始めた。


 火魔法を使うものは炎の繰り出し空中で周りの空気を囲い込む。

 ちなみにこれはオデロ殿下。

 水魔法を使うものは水柱を操り同じように周りを囲っていく。

 氷魔法を使うものはブリザードを起こし空気を巻き上げそれを一つの場所に固めていく。いわゆる氷結を作る。

 金赤色の瞳を持つものはほとんどが攻撃魔法が使えるからだ。

 次に翠緑色の瞳を持つものが浄化魔法を繰り出す。

 私は光魔法で渦を作りそれを的目掛けて打ち込む。

 すると吹き荒れるブリザードが一瞬にして消滅する。

 それこそが魔粒毒を一箇所に集め消滅させる事になる。

 この一連の動作を行うのが<真実の愛>のカップルですべき事なのだ。

 他にもマリーズも光魔法で魔粒毒を浄化する事が出来るしアーネも確か光魔法が使えたはずだ。

 威力はどの程度かあまり記憶にない。

 それほどいつもの私は訓練に集中していたと言う事なのだけど。


 少し離れたところでユーゴ殿下が魔力を展開する。

 あっ、ユーゴ殿下の魔力ってなんだったかしら?

 私はそんな事を思いながら彼の繰り出す魔力を見ていると、いきなりユーゴ殿下の掌から眩い光が湧き上がった。

 うそ。あれって雷魔法?

 その瞬間、彼が手を前に力強く押し出した。

 ピカっと稲光が光って地面から空中に登るように光が立ち登る。

 雷が落ちるんじゃなくて舞い上がるなんて凄い。

 みんなが声をあげる。

 そりゃそうよ。これって凄いわ。

 ユーゴ殿下には婚約者がいなかったせいで今まで訓練に参加した事なかったはず。

 こんな魔力を隠し持っていたなんて神官が知ったら放って置かないわよ。

 ユーゴ殿下困った事になれなきゃ良いけど。

 私は驚きと困惑した気持ちで彼を見つめていた。









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