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【神託】で選ばれた真実の愛の相手がくそなんですけど  作者: はるくうきなこ


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101/102

100最後決めるわよ!最終話

いよいよ最終話~!!とにかく長かった。ごめんなさい。でも、最後まで呼んでほしい!


 ドラゴン達は、支配者を失ったせいか行動が乱れあれ狂って手が付けられない状態だった。

 あるものは空高く上り、あるものは地面めがけて体当たりしている。

 炎を吐きかけるドラゴンやブリザードを起こすドラゴン。

 稲妻が巻き起こり山の木々がなぎ倒されているらしくメリメリと激しい音が聞こえて来る。

 いきなり突風が吹きつけ城の窓ガラスが激しく揺さぶられピキピキといやな音が響いて私は驚いてカイヤートにしがみ付いた。


 私はドラゴンの背から落ちて死んだはずだと思ったが、ヴァニタス王の計らいで生き返ったのだと聞いた。

 私にとりついていたリガキスは完全に死んだみたいだったが、そのせいでドラゴンが手が付けられないほど暴れているらしい。

 何だかまだ放心状態の私の耳にはまだそれは現実味のない事だった。


 「セリ殿、カイヤート殿下。申し訳ないが今すぐにでもリガキスの浄化をお願い出来ないだろうか?」

 ヴァニタス王が苦悶の表情で頭を下げる。

 「それはわかる。だが、セリはまだ体力が回復していない。そんな状態では発揮できる力も出さないだろう。せめて後一日ほど待って欲しい」

 カイヤートは私の頬をそっと手で撫ぜた。

 温かな温もりに信じられないけど私、生き返ったんだと実感が湧いて来る。


 「ああ、もちろんだ」

 硬質な声が響く。

 ヴァニタス王は大きなバルコニーから狂ったように暴れまわるドラゴンを見ていた。


 私はまだソファーに横になったままだったが、そこからでも窓の外が見えた。

 一刻も早くドラゴンを元に戻してあげたいと思う。

 「カイヤート。私は大丈夫。少し休めばいける。ドラゴンを助けたい。あんなに無茶苦茶な事をして‥」

 「だめだ!セリ、また何かあったらどうする?俺はお前が死んでどんな気持ちだったか‥」

 大きくため息をつくとカイヤートが私をぐッと抱きしめる。

 その時、彼が背に負った宝剣が目に入る。

 「それ?」

 「ああ、これか。セリを助けようと借りて来た」

 「カイヤート早く言ってよ!宝剣があるなら大丈夫じゃない?あの時より呪いの力は小さいだろうし」

 「ばか!そう言う問題じゃないだろう?」

 カイヤートはすっかり私を守る事に執着したみたい。気持ちはわかるしうれしいけど何とか気持ちを切り替える方法って?


 「カレヴィさん、私に何か食べるものとはちみつたっぷりの紅茶を用意してもらえませんか?カイヤートの分もお願します」

 「はい、すぐに」

 カレヴィさんはすぐに侍女にに指示を出す。

 「セリ?」

 「カイヤートお腹が減ったわ。まずは食べなきゃ」

 私はまず食べてカイヤートに話をするつもりだった。それに浄化をするにしても何か食べた方がいいと思うし。

 「ああ、そうだな。俺も腹が減った」

 私は用意されたパンやチーズなどを次々に口に運ぶ。

 「うふっ、すっかりお腹がいっぱいになったわ。これもヴァニタス王のおかげね。それに私を生き返らせてくれたんでしょう?ヴァニタス王改めて本当にありがとうございます」

 「いや、当然の事をしたまでだ。こちらこそセリ殿には感謝している」


 そこにピオルが入って来た。

 「ピュルゥゥゥ~(セリが生き返ってる?)」

 ピオルは私の周りをぐるぐる飛び回る。

 「ピオル。行儀が悪いぞ」

 「えっ?あなたピオルなの?すご~いドラゴンでこんなすぐに成長するの?」

 ピオルはすでに子犬ほどの大きさになって翼を広げて空中を飛んでいる。

 「ビュビュリュ~バギュギュギュルゥゥゥ(父上、母様を生き返らせてくれるんじゃなかったの?)」

 ピオルが何を言ってるのか理解できたが意味が分からないが癇癪を起したみたいに声を荒げて瞳には涙を浮かべている。


 「ヴァニタス王、ピオルの言っている事はどういうこと何です?」

 「気にしないでくれ。私の使える力でピオルの母親を生き返らせれると言ってしまったんだ。でも、この状況ではセリ殿に私の力を使うべきだと私が決めた。だから気にしないでもらいたい」

 「そんな大事な力を私に?」

 私とカイヤートは同時に喉を鳴らした。

 こんな大切なものを貰った。何としてもドラゴンを助けなきゃ!!

 二人の気持ちは完全に一致した。

 「セリ、俺が間違ってた。お前ほんとにいけるのか?」

 「もちろん。ピオル本当にごめんなさい。あなたのお母様を生き返れせる事は出来ない。でも、みんなを助けるから」

 「キュル?(みんな?)」

 「ああ、ピオル、いいか、よく聞け。お前はこの先みんなの王となる。その仲間を助けるとセリは言ってるんだ。きっとお前の母もそれを望んでいるはず。リガキスの呪いからみんなを解き放つことをな」

 ピオルの顔がじっとヴァニタス王を見つめる。

 何度も聞いた。リガキスのせいで母様が苦しんでいる声。みんなも同じように苦しんでいる。それをセリが?僕もセリに助けられた。

 だから。

 「キュ、リュキュュ(うん、そうだね)」

 「わかってくれるかピオル」

 ヴァニタス王が嬉しそうにピオルを抱きしめた。

 ピオルはくすぐったそうにしながらもうれしそうだ。


 「ヴァニタス王、私達行ってきます。さあ、カイヤート行くわよ~!!」

 「ああ、でもその前に‥セリに着替えあります?」

 私の服はずたぼろだった。

 「カイヤートさすがだわ」と言うと。

 「そんな肌が露出したままで外に出せるか!ったく!!」と怒られた。

 私は急いで乗馬ズボンとシャツに着替えるとカイヤートと表に出た。

 そこにはライノスやキアードやマリーズ。そしてリンネさんまでいた。

 「みんな?どうしてここに?」

 「セリ?ああ‥セリ、また会えるなんて夢みたいだわ」

 リンネさんがマリーズがキアード、ライノスまで私を取り囲む。

 「ええ、ご心配かけてすみません。ヴァニタス王のおかげで私またここに戻って来れました。これからドラゴンにとりついたリガキスの駆除と浄化をやろうと思います」

 私はみんなと涙の再会をしてこれからやる事を話した。

 

 「さあ、思いっきり大きな浄化花火をぶち上げるぞ!!」

 カイヤートが雄たけびを上げる。

 キアード達も手伝うと言うとシルバとペッカルが背に乗せると合図を送る。

 もう、これって完全に連係プレーじゃないですか。

 こうして私たちはビーサンに乗った。


 *~*~*


 私達はドラゴンの住む渓谷の一番高いところを目指す。そして山のてっぺんから宝剣を掲げた。

 宝剣の柄を握りしめた私の手の上にカイヤートの手が重ねられる。

 二人一緒に宝剣の柄を握りしめる。

 そこから一気に山の頂きからこの辺り一帯の山々の空気をぶった切るように宝剣を構えた。


 「セリ。大丈夫だ。あの時と同じ。何があっても俺が付いている。さあ、行くぞ!おりゃぁぁぁぁぁぁ~!!!」

 「ええ、カイヤート。行くわよぉぉぉぉぉ~!!!」 

 端から端にまたがるそびえたつ山々と空の間を切り裂いていく。


 ビーサンは私達を乗せてバランスを取りながらまるでわかっているとでも言うように三位一体化する。

 遂に一番最後の山のすそ野まで残すところないように宝剣がなめつくす。

 その隙間をカバーするかのようにキアード達が魔法をかけて行く。

 「やったか?!」

 「ええ、やったわ!」

 「ビユルゥゥ~(やったよ~)」



 突然あの時のように稲妻が空を切り裂く。

 にわかにシェルビ国側からオロール光の翠色の光と金赤色の光が空になだれ込む。

 プロシスタン国からはオレンジ色の光が煌々と光り輝き二つの国の光が空中で混じり合って行く。


 オレンジ色に光が二つの光に間に混ざり込むと前と同じように突然あちこちにいたドラゴンから毒々しい黒ずんだ紫色の光の粒が沸き起こった。

 苦しみもがくように光の粒が畝って渦を巻きオロール光や月霞光の光の渦に攻撃しているようにも見える。



 「カイヤート。最後に」

 私たちは地上に降りて空中の乱舞を見ている。

 「俺たちの出番か?」

 「ええ、魔力を」

 「ああ、あの毒の塊に一撃をお見舞いしてやらないとな。セリをひどい目に合わせたんだ。その報いは受けてもらう!」

 「ええ!」

 「俺達にもやらしてください」

 「私にも」

 キアードとマリーズが言う。

 私たちはすぐにビーサンに乗ると毒々しい紫色に光に向かって魔力を放つ。

 カイヤートの雷魔法と私の浄化魔法はくるくると螺旋を描いてその塊に一撃を放った。

 続いてキアード達も、アリト達も魔力を放つ。

 金色に輝く魔力があがく紫色をもみくちゃにしながら空を舞う。

 その刹那、紫色の光の粒は空中で完全に消滅した。

 その後、オロール光が空一面どこまでも広がって行った。

 「やったな!」

 「ええ、やったわ」

 「やりましたね」

 「すごいわ」

 「俺達ほんとにやったんですね」

 「感動するぅ」

 それぞれが口々に歓喜の声を上げる。


 熱に浮かされていたようなドラゴン達はすっかり正気に戻った。

 ゆっくりする暇もなく私たちは傷ついたドラゴンの手当てをして数日後やっとプロシスタン国に帰って来た。

 ヴァニタス王は大変喜んでこれからはプロシスタン国もシェルビ国も友好国として付き合いを約束してくれた。


 「これで本当に終わりだな」

 「ええ、やっと落ち着けるわね」

 「ああ、後は俺達の結婚式だな」

 「もう、カイヤートったら‥」

 「だって、大切な事じゃないか。セリには俺の嫁になってほしいんだからな!」

 「うん、わかってる。私の旦那様」

 「ぶはっ!セリ、おまっ!い、いきなり煽るな!!我慢が聞かなくなるだろ!」

 カイヤートはその場で鼻血をたらりと流したのでした。

 私はそんな事がうれしくてうれしくて思わず涙がこぼれたんです。

 「セリ?なんだ?どうした?まさか?俺が嫌いになったのか?」

 「そんな訳ないじゃない。もぉ!幸せ過ぎるからよ」

 私は思いっきりカイヤートに抱きしめられていた。






 


もうほんとに気づけば20万文字越え。さらに100話まで来てしまいました。最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。何とか100話で終わらせようと頑張った結果がこうなりました。(笑)

 番外編としてこの後のことを少し書いてみました。良かったらお楽しみ下さい。

 では、また次回作も頑張ります。またお目にかかれることを祈りつつ‥感謝を込めて。~はなまる~

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