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第2話「雪女(?)さんの好きな人?」


「雪白さんって付き合っている人いるのかなー??」


「どうした?いきなり」


 体育の時間中、サボっている俺のところに幼馴染の御茶屋恭子(おちゃやきょうこ)が話しかけてきた。

「だってさ、あんなにモテたら男なんて選び放題じゃん??それなりのイケメンとかにも告白されてそうだし」

「ま、そーでしょうね。休み時間とか雪白さんの周りには男女問わず人集まってくるしー」

  

 10分休憩の間でもうちの教室の前には人溜まりができる。

 少しでも拝みたいのだ。


 (ん?そう考えると雪白さんの隣の席の俺って、めちゃくちゃ凄いのでは・・・・・)


「学の席って大分価値あるんじゃない??金儲けできそうじゃん!」

「お前なぁ〜!俺の貴重なスペースを何だと思ってる」


さすが幼馴染。

 似たような思考をお持ちなこって。


 御茶屋が立ち上がって言った。


「雪白さんって毎日告白されてるらしいじゃん?今日の放課後観察してみようよっ!今日も告白されるだろうし!!」


「えーいいよ、そこまで興味ないしー」

「なーに強がってんのよ!ほら!決まりね!帰りのHR終わったら尾行するよ!!!」


強引な幼馴染に勝手に予定を組まされた。




 体育が終わり、国語の時間。

 隣をふと見ると、彼女は数枚の手紙を持っていた。

 俺は小声で話しかけた。


 (雪白さん、それって・・・・・)


雪白さんは俺の方を見た。


 (あこれね・・・・ここ最近毎日同じ人から手紙を頂くんです・・・)


彼女に手紙を見せて貰った。

 そこには紙一面に「好きだ」「愛してる」「付き合ってくれ」と文字が羅列していた。  

 正直、男でも引くレベルだ。


 (こっ、これは・・・・)

 (私を好きで居てくれてるのは嬉しいのですが・・・・)


雪白さんは優しい人だ。

 断れないに違いない。


(大丈夫?流石にこれはちょっとやばいね・・)

(・・・はい。好きな人からなら全然嬉しいのですが・・・)

(どうするんだ?雪白さん)


しばらく黙った後俺の方を見て言った。

 

 (今日の放課後、1度会ってみます・・・・。相手を知らずに断るのは失礼だと思うので・・・・)


心配だ。あからさまに危ない奴だと思うのに。


 (そうか・・・・無理しないでね。危ないと感じたらすぐ逃げるんだよ?)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そして放課後。

 俺と御茶屋は校庭の木に隠れていた。

俺たちの目線の先には雪白さんが立っている。

 羅列文字野郎からの告白待ちだ。


「で?そいつが危険な奴じゃないか観察が必要だと??」

「あぁそうだ。これも俺らの観察隊、いや!見守り隊の役目だろ!!」

「あーあ、ただどんな人が告白に来るのか面白く観察したかっただけなのに。なーに暑くなってんだが」

 御茶屋はため息をついた。

 自分が振り回そうとして、逆に俺に尻尾を掴まれたからだ。

 「仮に雪白さんが襲われたら俺たちで守るぞ!」

 「へいへいー」


そろそろ奴が来る時間だ。どんな奴が一体告白に来るんだ。



・・・・・・・・・・・・。



 30分ほど経っても誰1人と来なかった。

 その間、雪白さんはずっと待っていた。

 1人で。一歩も動かず。

 

 イタズラだった。

 きっと雪白さんを妬んでいる女子のからの嫌がらせだ。


「・・・・ねぇ、学。帰ろうか」

「・・・るせねぇ」

「は?」

「許せねぇ」


彼女はお前らの遊び道具じゃねーんだぞ。

 これ以上、雪白さんの親切心を弄ぶんじゃねぇ。


 「えっ!?ちょ・・・まなぶぅ!?!」


 そう思った瞬間、俺は木の影から飛び出ていた。


雪白さんの前に俺は立っていた。

 息が荒くなっているのが自分でも分かった。


 「雪白・・・・・さん・・・・これ以上は・・・」


ハッと目が覚めた。

 勢いで飛び出てた。自分でも何故だか分からなかった。

 俗に言う『体が勝手に動いていた』だ。


 でも今このタイミングはまるで・・・・・・


(俺がラブレターの相手で、しかもしかも!?!

 告白に遅れてきたヤバい奴になってない〜!?!?!???)

 

 冷や汗が止まらなかった。

 変に誤解を与えたに違いない。

 いや、誰がどう見てもそう見えてしまう。

 考えれば考える程、顔が真っ赤になった。


 「あ、いや・・・!!違う!!その手紙は俺じゃ・・・」


彼女の顔を見れない。どんな表情をしているのか分からないからだ。

 てか知りたくない!!!絶対幻滅してる!!!!


 恐る恐る彼女の顔を見てみる。


 彼女のクールの表情は変わらないが、オーラが違う。


 (あ、終わった。サヨウナラ隣の美人さん、、、)




「べーっ」



彼女は顔を赤らめ、精一杯、舌を出した。

 今にも泣きそうな顔を我慢した。


 「・・・・・・へ?」


雪白さんは何も言わず、お辞儀をし、振り返って走っていった。


 なんか・・・・よく分かんない。


 「ど・・・・・どんな感情なん・・・・?」



雪白さんは走りながら、少し笑みを溢していた。


 



 




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