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第1話「雪女(?)さんの冷たい息」


 「ねーねー雪白さん、やっぱり雪女って息冷たいのー?」


クラスの女子生徒達が雪白さんの近くに集まっている。

 雪白さんの隣の席は俺なわけなので、周りから見れば女子の輪の隣ちょこっと居座る影の薄い隠キャという訳だ。

そのためやりとりは俺に筒抜けである。

 

 「・・・・えっと、試した事は・・・ないかな」

「えー!それなら私にフー!ってしてみてよ!!」

「えっえ・・・・・・」


 (おいおい。雪白さんが困ってるじゃないか。かわいそうに)

 とはいえ、俺自身も気にはなる。

 雪女は吐息で凍らせる事が出来る。

 その威力は様々である。

 もし雪白さんの吐息が「危険なもの」であった場合・・。

 俺が止めなくちゃならない。

 仮にも俺は見習い陰陽師だ。


 1人の女子が俺を指差してきた。

 「そうだ!隣の八森に息吹きかけてよ!」

「え」

「え」


 思わず声が出た。

 何を言ってんだ、この女子生徒Aは。

 雪白さんも戸惑っているじゃないか。

 

 だけど、こんな美人に息を吹きかけて貰えるなんてご褒美以外の何物でもない。

 変態だな。俺って・・・・。

 (よし、うん。仕方ないな。)


俺は雪白さんの方を向いて、ジェスチャーをした。

 「だっ・・・大丈夫だ、雪白さん。息を吐いてみてくれ」

「・・・・・」

 

 本当に雪女なのか確かめたい気持ちと、女子に息をかけられる喜びと、様々な気持ちが入り混ざって心臓が破裂しそうだ。

 それに女子達が見ている。

 沢山の視線を向けられると流石に恥ずかし過ぎる。

なんだったって雪白さん本人が1番恥ずかしいに決まってる。


 「・・・ほ、本当にいいの?」

「ほんと・・・大丈夫だ。早く終わらそう・・・」

「そ、それじゃぁ・・軽くいきます・・・・」


 ふー。


 冷たい風が顔に当たった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 気がつくと保健室のベッドの上にいた。

 起き上がると俺の横に雪白さんが座っていた。

 彼女は凄い申し訳なさそうな顔をしている。


 「あの・・・・・気がついた?八森君・・・・」

「あ・・・うん。俺はなんで保健室に・・・」


ふと見ると彼女はやかんを握り締めていた。

 

 (あーなるほど。俺は凍っていたのか・・・)


「ご、ごめんなさい。皆さんに見られて恥ずかしくて、手加減出来なくて。つい強く息を・・・・・・・・」

「いや!全然!!むしろ誘ったこっちも悪いよ」

「で、でも・・・・・・」

「雪白さん、溶かしてくれたんだよね俺の事。ありがとう。」


 悪気がないのに、責任感からか親身になって溶かしてくれた雪白さん。

 俺はどのように凍ったのか記憶がないから分からないが、きっとすぐ対応してくれてたんだろう。


 何より・・・・・・俺に息を吹きかけてくれてありがとうございます。


 俺の変態心が感謝している。


 俺は雪白さんに手を合わせて拝んだ。

 雪白さんは困惑していた。



 「私に手を合わせても、はっ・・・・・・・へっくしょんッ!!!!」


 

 俺の顔にまた、冷たい息がかかった。


 

 

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