鼠は無様に踊る
「……早く側妃殿下に知らせないと……王族が……」
私はキサラ様に仕えるジャスティス公爵家護衛騎士の一人。
パーナス・クルト。クルト子爵家次男として産まれた私は、剣の腕を鍛え優秀な成績で学園を卒業した。
だが、卒業式の婚約破棄騒動で目にした王太子の浮気相手ロール様に惹かれてしまう。
ジャスティス公爵家に護衛騎士として採用されても、胸がざわめくばかりで。
ある日、街に出た時お忍びで来た側妃ロール様と出会い、国王の秘密、ロール様の願いを聞いた私は一夜を共にした。
そしてロール様の願い通りに王子が誕生したが、国王と髪色が違うからか、フォンの名は付けられなかった。
それでも、私は王子の後ろ楯が欲しくて、仕える主であるキサラ様が婚約発表会をロイヤルパーティーで開くと聞き、密かにロール様へと報告した。
当日、キサラ様達は乱入したロール様とパロマ様に無理矢理婚約を結ばされ、キサラ様を守ろうとした騎士達にパロマ様は屈辱的な命令を下した。
それからの10年間、最高で私は顔に出さず笑うのが大変だった。
なのに、まさか内乱を企むなんて……早く知らせて逃げて貰わなくては!!
深夜、私は黒いローブを纏うと、外に出て王宮へと向かう。
「パーナス、何処に行く?」
だが、その途中でクリスタに見付かってしまった。
「あはは、やっぱり動いたね。鼠が」
背後には騎士服を着たルビーナ様が。
全く気配なんて分からなかった。
そのまま私は、キサラ様達の前へ連行される。
「パーナス、私我慢していたのです。貴方が鼠でも泳がせるために。バレンシア達の事を含め、私は貴方を許しはしませんわ。……ロール様共々逝かせて差し上げるので地下にて待っていなさい」
「連れていけ」
キサラ様に言われ、私はキース様の命令で地下牢屋に囚われた。
魔が差した私はとんでもないことを。
後悔しても遅い。