アクタリウス動く
海に面した広大な領土を誇るアクタリウス王国。海は勿論海軍が、陸は屈強な王国軍が睨みを効かせており、ある一つの国を除き、周囲の国々はアクタリウス王国に一目を置いていた。
そんなアクタリウス王国の城では、公明正大で民から慕われる国王が執務室で手紙を見ていた。
「ふむ、姉上や義兄上達が動くのか。ならば、僕も動かなくては」
苦笑すると、美丈夫な国王は椅子から立ち上がりマントを翻す。
「直ぐに貴族達を集め議会を開く。事は急を要する」
「御意に」
国王に命じられ、侍従は部屋から出ていった。
それから一時間後。
貴族達が集まる中、国王は席に座る。
「我がアクタリウスが……再び馬鹿な国に侮られた」
「何ですと!?」
「よもやキサラ様が!?」
「かの国は猿か!?」
その国王の一言で貴族達は怒りを露にする。
馬鹿な国など、あの国で決まっているからだ。
「静粛に。事態を重く見た姉上と、義兄上達がついに動く決断を成された。我がアクタリウスも呼応して内々にあの国へと入り、血を出来るだけ流さずに制圧したい。今こそ、アクタリウスの誇りを見せるのだ!!」
「アクタリウスの誇りを!!」
「かの国に見せ付けましょう!!」
立ち上がり国王が叫ぶと、興奮した貴殿達も立ち上がり叫ぶ。
会議館は雄叫びが響くのだった。
「あらあら、伯父様ヤル気満々ですわね」
一週間後、伯父様から来た返事の手紙をお父様、お母様の次に読んだ私は思わず苦笑する。
「後は策を成功させるだけだ」
「暴れてやりましょう」
「無駄を無くしつつ参りましょうね」
お父様とお母様も笑ったので私も笑った。