令嬢達?の御茶会
翌日、私はバレンシアを始めとする仲良しの令嬢?達を集めて御茶会を開催した。
場所は温室の中。
植物に囲まれた中を、皆がそれぞれ食事を楽しむ。
「しかし、ふふふ……これは傑作ですわね。人に無茶苦茶な命令を下して強要した癖に、自分は自由三昧。まさに屑に等しい所業ですわ」
笑って言うのはバレンシア。
「あの件で既に馬鹿だ、馬鹿だとは思って居たけど、まさかこうも私達が動きやすくなるとは……それこそ好都合ですわ」
橙色の長い髪を一つに結わえ、パンツスタイルのボーイッシュな令嬢が皮肉を言う。
シュラウナ・フォン・ローズ。
ローズ公爵家の公爵令嬢で、バレンシアと私の親友。
魔術の才があり、ローズ公爵家は優秀な魔術師一族。
「シュラウナ、ギリギリですが少し下品でしてよ?私を見習いなさいな」
口を挟んだのは、水色の長い髪を二つに結わえた水色のドレスを着た令嬢。
ルビーナ・フォン・エーデル。
エーデル侯爵家の侯爵令嬢で、私とバレンシアの親友。
腰に剣を差している。
「いやいや、貴方達二人もどうかと思いましてよ?魔術馬鹿に剣馬鹿。二人とも良い勝負ですわ。それに比べて私は淑女より淑女?でしてよ!!」
紫色の髪を三つ編みにし、眼鏡を掛け、緑色のドレスを着た令嬢がドヤ顔した。
マキシミリア・フォン・ティーヌ。
ティーヌ伯爵家令嬢で、私とバレンシアの親友。
才媛と名高い淑女で、ティーヌ一族は代々文官を歴任してきた。
そう、この三人も、私も、勿論……
「久しぶりに顔を合わせますわね。お元気そうで何よりですわ」
バレンシア・フォン・セイバー。
セイバー公爵家令嬢で、私の大切な親友。
セイバー一族は立法と司法を司る一族。
此処にいる五人が全員正当なる王家の血筋を持つ。
現在、18歳である私達は来月に卒業式を控えていたが、恐らく卒業式は開催されないと思う。
この茶会は、直系血族しか参加を許されない【ロイヤルティーパーティー】。
所が、10年前。
この茶会に招かれざる者が乱入して、私の運命も狂わされた。
「あれから10年、やっと全て戻ることが出来るわ」
私はバレンシアを見詰め言うと、バレンシアも私の手を握り頷く。
「そもそも、あの時の事件は不可解だったわね。極秘の筈のパーティーに乱入されるのは有り得ないもの」
シュラウナは目を細めた。
「あぁ、その鼠共なら大丈夫ですわ。目星は付けていますしわざと今回は泳がすつもりですの」
笑ってルビーナは答える。
「なら、早く事を起こさせないと行けませんわね」
眼鏡の位置を直すマキシミリアは薄く笑む。
「さあ、皆様。本来の役目に戻れるのを私は楽しみにしていますわ」
笑って私は皆を見回す。
バレンシア、シュラウナ、ルビーナ、マキシミリアは恭しく私に頭を下げた。
そう、本来の直系には必ず居る者達がパロマ殿下には居ない。
その答えはもうすぐ分かるわ。