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母の決意
「奥様、大変です。日本で奥様の記事が出ています。」
「それは本当なの?見せてちょうだい。」
家政婦のばあやが舞斗の母に週刊誌を手渡した。
「奥様がここで暮らされていること、旦那様と再婚されたことなどが書かれていました。」
「これを舞斗が知れば、私に絶望するに違いないわ。」
彼の母の表情は、強張っていく一方だった。
「奥様、奥様が悪いのではありません。仕方がなかったことではありませんか。」
家政婦は、そう言って奥様を励ました。だが彼の母は、落ち着かないようにリビングを行ったり来たりしていた。
「今週末、息子さんがアメリカの試合に出場されるそうです。今回も行かれますか?」
「いいえ。マスコミにバレてしまった以上これまでのように見に行くことは、できないわ。舞斗に見つかってしまっては、これまでの努力が水の泡となってしまう。」
「そうでございますね。」
「今回のことで舞斗が私に会いに来るかもしれない。それを止めなくては。」
舞斗の母の顔色が徐々に青ざめていく。
そして舞斗の母は、意を決したように家政婦にこう言った。
「ばーや、あの人に電話してちょうだい。」
「はい。かしこまりました。」




