アメリカ
ある噂を耳にした渡辺記者は、自由の国アメリカへとやって来た。
超高層ビルが多く建っているシカゴやハリウッド映画にも登場するロサンゼルス。
アメリカといえば華やかなと言うイメージを持つ人も多いだろう。
僕が今立っているのは、そんな華やかなとは、異なる場所だ。
足元を見ると、緑の草原、前を見ると聳え立つ森林。その間に大きな車道がある。
僕は、遠くを見つめると、建物が見えてきた。
その建物は、この地には全くと言って良いほど馴染んでいない。
真っ白な2階建の家。
周りには、大きな庭が存在している。
そしてオシャレな犬が吠えている音が外からも聞こえてきた。
僕は、手元にあるメモの住所を確認した。
「ここで間違いない。」
僕は、インターフォンを鳴らした。
「はい。どちら様でしょうか。」
家から出て来たのは、白い団子髪の腰の曲がった70代の女性だった。流暢な英語を話している。
「佐藤舞斗選手のお母様のお宅で間違いないでしょうか?」
僕は、勇気を出して覚えたての英語を使った。
すると、おばあちゃんは、瞬きの回数が増えたように感じる。
動揺している。
そう感じた。
この家に佐藤選手の母親は、絶対にいる。
僕の疑惑は、確信へと変わった。
家政婦らしきそのおばさんは、僕の鋭い眼差しに耐えられなかったのか、首を縦に振った。
「私週刊誌記者の渡辺と申します。お話伺ってもよろしいでしょうか?」
僕は、彼女に名刺を渡した。すると、彼女は、慌てて部屋の中へと走り去って行った。
「なんですって?」
僕は、玄関先で2人を待っていると、部屋奥でそんな声がした。
声色から40代女性のような気がした。
もしかすると佐藤選手の母親かもしれない。
「ばあや、早く帰してちょうだい。お願い。」
40代女性の声が聞こえて、数秒以内にばあやが戻ってきた。
「すみません。お引き取り願います。奥様は、現在留守中です。」
そう言って追い出されてしまう。
週刊誌の記者をしている僕にとっては、良くある出来事だ。
慣れている。
だが1つ分かったことがある。
この家に佐藤舞斗選手の母がいる。
それだけは、分かったのだ。




