三角関係の行方
「あずさちゃん!最近仲が良い芸能人とかっていたりするの?」
僕は、ある日テレビをつけると、彼女が画面に映し出されていた。
僕は、カップラーメンにお湯を入れながら、その画面を眺めていた。
「フィギュアスケート選手の佐藤舞斗選手ですかね!」
僕は、あまりの衝撃にカップラーメンの上に置いていた箸を落とした。
僕は、彼女と話をしたのは、数回のみだった。
それもこの間の収録前と同様に常に彼女の態度は、まるで女王様だった。
「あの佐藤選手?あずさちゃんすごいね!」
「いやいや。フィギュアスケートの取材で良く一緒になるので仲良くなったんです。」
有名司会者の問いかけに彼女は、元気よく笑顔で答えていた。
今日の彼女のコンセプトは、天使なのだろう。
「佐藤選手の家にもお邪魔させてもらったんですよ!」
「え?」
僕は、気づくと声を上げていた。
何故かって?
家に来たことがないからだ。
彼女の虚言癖は、どうにかならないものか。
僕は、心の底から呆れていた。
彼女の小芝居は、これだけで終わるはずがなかった。
彼女の発言により、様々な媒体で僕たちの交際を疑われるようになった。
僕も練習終わりに家までの道中で誰かに後ろをつけられている感覚は、あった。
だがオリンピック優勝後、常に記者に追われていた僕は、特に何の変化も感じていなかったのだ。
今から考えると、それが良くなかったのかもしれない。
そしてそんなある日。
こないだの有名司会者のスポーツ番組に僕も呼ばれたのだ。
その番組の打ち上げで事件は、起きた。
「あら!舞斗くん!久しぶりね!」
天使が乗り移っている彼女が背中に羽をつけたかのように僕に話しかけてきた。
「あずささん!あの!こないだの…」
「シッ!黙りなさい、アンタ!」
僕が彼女の虚言に物申そうとすると、
彼女は、デビルへと変化を遂げた。
「お!あずさちゃん!佐藤選手!君たち本当に仲良いんだね〜」
「はい!私たち親友なんです!」
彼女に再び天使が乗り移り、僕の腕に手を絡めた。
プロデューサーが他のタレントの元へと向かうと、彼女は、僕の腕を振り払った。
「あなた、本当にすごいですね。正直呆れてます。」
「こうでもしないと芸能界って生きていけないの。あなたもいずれ分かるわよ。」
彼女は、タバコに火をつけた。
芸能界は、恐ろしい場所だ。
僕は、早くこの場所から立ち去りたい。
「ではお開きです!」
そう思っていると、打ち上げは、終了となった。
やっと帰れるんだ。
安堵した気持ちの僕にまたデビルの影が襲いかかってくるのだ。
「佐藤選手!あずさちゃん、酔っ払っちゃったみたいでさ、送ってあげれる?仲良いんだよね。」
「いや…」
「僕次の撮影あるからさ、お願いね!」
ADさんは、そう言って強引に彼女を押しつけた。
僕は、彼女をタクシー乗り場まで連れて行った。
そして僕は、そのタクシーには乗らずに徒歩で帰ったのだ。
そう。彼女とは、何もなかったのだ。
だが僕は、この時気づかなかったのだ。
この瞬間をカメラで抑えられていたことを。




