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吸血魔剣と惨殺姫  作者: 失敗した米麹
始まりの章
5/8

第伍話


化け物の剣が振り下ろされダインスレイヴの渾身の叫びがフロアに響く


「起きろ姫!死んでしまうぞ!」


           カンッ!


化け物が空振った。

いや、サリエルが突如として姿を消したのだ


「ハァハァハァハァハァハァハァハァ・・・・ゴクッ」


「姫!」


そこには額から血を流し顔を血で染め肩で息をするサリエルがいた。


「うっ!」


サリエルは外れた自身の左肩の関節を無理やり戻し肩を回して微調整をしちゃんと動くことを確認すると水を一口含み吐き出した。

サリエルの視界は額から流れる血液によって徐々に狭まれつつあるがそれでもサリエルの口角は釣り上がり凶悪な笑みを零し始めた


「フフフフフ・・・・・アハハハハハハハハハハハッ!最高だよ牛さん!前の体も強かったのに更に強くなるなんて!ここまで私を楽しませてくれたのはあなたが初めてだよ!楽しい・・・・・フフフ・・・・久しぶりだよ血を流したのは♪」


「姫?」


「ダーイン・・・・私はあいつを必ずたおしたい!」


化け物・・・・いや、少年の視界からサリエルの姿がかき消えた

その刹那、サリエルが少年の背後に音もなく現れダインスレイヴを振るう


ガキィッ!!


ダインスレイヴが少年の首を確実に捉えていたが剣で防がれる。


「止められた!」


「コイツ・・・・第一形態よりも全ての能力が向上している!」


「GYUU」


「ッ!?」


少年は剣を振るわずに斬撃を発生させた

サリエルが飛びよけ一定の距離を取るが三本の不可視の刃がサリエル達を襲う

魔力による斬撃であれば同じ様に魔力の斬撃を衝突させ相殺すれば良いがこの不可視の刃は魔力ではなく音速を超えた速度で3回振るわれた少年の剣から発生する真空波の斬撃であるため相殺する事など到底不可能

況してや胸に決して浅くない袈裟斬りによる切創を負わされたサリエルは着実に出血による貧血で意識が薄れて行っている体で相殺する事を可能にする攻撃をすることが出来ないと言うことは本人が一番理解している。


『早めにケリをつけないとマズイかも』


だが、勝負を仕掛けに肉薄すれば予備動作なしの真空波が襲い

ある程度の間合いを取れば真空波&刀身の伸長によるトリッキーな攻撃スタイルに翻弄され

それを避けるために距離を取れば3本の真空波の爪が襲いかかる

第一形態のように武器を使い分けることはせずにたった一本の剣で此処までの多彩な攻撃パターンと痛む胸や悲鳴を上げる関節にサリエルは苦悶の表情を浮かべる。


「ゲッホッゲホッ!」


「姫!しっかりしろ!」


サリエルがその場に右膝を突き吐血するサリエルの体が限界を迎え始めたのだ。

そんな満身創痍で隙だらけのサリエルを少年が見逃すはずもなく漆黒の剣を掲げて刀身が伸張し紫色の魔力が刀身を包み込むように螺旋を描き集約を開始する。


「ダーイン・・・・一番強い技を使うにはどれくらい血が必要?」


「血は十分だ。後は魔力がもう少し欲しいところだな」


「魔力は吸収できる?」


「出来なくはないがまさか!?」


「そのまさか」


サリエルはダインスレイヴを構え直すと漆黒の剣が振り下ろされる。

途轍もない魔力の奔流がサリエルを寸分違わず叩き込まれるがその奔流にダインスレイヴが振るわれる


「うりゃァァァァァァァァァァァァッ!!」


まるで全てを薙ぎ払う様に振るわれた漆黒の剣は奔流に呑まれる

だが、【吸血魔剣】の本領は血を吸うだけではなく魔力すらも血に見立て吸収を始める。


『何故だ!!今まで我を使用した人間はこんな馬鹿げた芸当は不可能だったなのに何故、姫は可能なんだ!?』


「ぐぅッ!」


ポタポタと床に赤い液体が滴り落ち塞がった傷口が出血を始めるサリエルの体が崩壊を始めたのだ。

激痛に顔が歪むが無理矢理魔力を全て吸収し終えた


「ゴフッ」


サリエルの体表に魔力のか細い糸が張り付く。

魔力が満ち大気が震え地面すらも轟かせる。

少年が跳ねるように逃げる


「gyyyyyyyyyy⁉︎」


「逃がさないよ」


だが、サリエルはその逃亡を許さない神速の追撃が少年の正面を捉えた。


「キヒッ」


振るわれた漆黒の剣はダインスレイヴに受け止められ跳ね上げられる。

殴ろうとした手は切り落とされ放物線を描きながら切り飛ばされ蹴りを入れようとした足はだるま落としのように吹き飛ばされ少年は地面に芋虫の様にうつ伏せになる。


「GyaaaaaaaaaaaaaaAAAAAAAAAッ」


「これでお終い」


深緋の血で染まった魔力が鋒に集約しダインスレイヴに吸収され真紅の光となり光輝く。


「【深緋血の破壊(ブラッド・オブ・デス)】」


夕陽よりも火山に赤く煮えたぎる溶岩よりも赤熱化した鉄よりも深い緋色の閃光が辺りを染め上げる。

その光の奔流は柱も少年も加勢に現れた刺客も全てを斬り刻み無へと還していく。

それはまるで血を求め暴れ狂う血と魔力の無差別殺戮(ジェノサイド)

激しい断末魔の嵐と建物が破壊されていく轟音と砂埃が発生する。

だが、その奔流の起点となった場所にはサリエルがダインスレイヴを杖代わりにして辛うじて立っている満身創痍のサリエルがいた。

魔力は尽き血も流し過ぎた影響が顕著に現れ視界が霞んでいく。


「ふぅ・・・・勝った」



バシャンッ


「姫!」


「少し疲れた・・・・ここで寝るね」


サリエルは消えいる様な声を発しその直後血の海に仰向けに倒れる。

その白い服を赤く染め上げながらも奇跡的に破壊されずに残っていたポーションを飲み眠りに落ちた。


「スゥスゥ」


「姫・・・・・貴方は一体何物なんだ。血は勿論のことまさか魔力すらも吸収するなど規格外だぞ」


ダインスレイヴは溜息?を吐きつつもフロア全体に満ちる血を全て吸い尽くした。


   


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