2.前世の記憶
「ぐはっ!」
僕、レオは血を吐きながら地面に倒れ込む。
僕の前に立っているのは2人の女たち。
殺される。
僕はそう思った。
「うあぁぁぁあ!!!!」
今日は僕の20歳の誕生日。
それなのに、まさかこんな狂ったような声を上げるとは思っていなかった。
わけではない。
こうなることはかなり前から分かっていた。
なので、ちゃんとこれから先のことも考えてある。
「ちっ!やっぱり転生は奪われたかぁ」
「どうせ転生するし、殺しても良いんだよ?」
「ただ、僕の心臓には爆弾が仕込まれてるのを忘れないでね」
女たちは面倒そうな顔をする。
僕はそれを見下すような目で見た。
こちらの焦りを読まれないために。
いやぁ。
師匠を殺して転生の能力を奪っておいて良かったぁ。
どうせなら、死に戻りもほしかったんだけどなぁ。
「くそっ!どうすればいいんだ!?」
「、、、なんて、言うと思った?」
焦っているように見えた2人だったけど、急に真顔に戻り、僕に手をかざした。
すると、僕のからに真っ黒なモノが広がっていった。
これは、
「呪い!?」
「そうだよぉ。よく分かったねぇ」
「それは、『レベルアップ不可の呪い』だよ。転生先のことを調べたら、そこの場所ではレベルがあることが分かったんだぁ」
「とりあえず、次の世界じゃその呪いがある限り、一生レベルの上がらない無能として私たちに歯向かうこともできず過ごすことになるんだよ」
女が馬鹿にするように説明をしている間、僕は転生先の世界について考えていた。
レベルがあるのかぁ。
たしかに、この呪いは面倒だねぇ。
しかも、私たちに反抗できないようにって言うって事は、転生先の世界も攻められるわけだね。
これは、また人気な人生を過ごすことになりそうだなぁ。
そう思いながら、僕は術を発動させる。
「なっ!何!?」
「呪い返し、麻呂君に習っておいて良かったぁ」
「陰陽術って便利だね」
「陰陽術!?ふざけるな!そんなもので!」
僕の身体からまばゆい光があふれる。
これが陰陽術の呪い返し。
受けた呪いの大きさによって自爆する。
もちろん、自分の命も犠牲にして。
まばゆい光が視界を奪う。
それが、前世の僕が最後に見た光景だった。