プロローグ
小説など書いたことがなかった私ですが、コロナ禍で時間ができたので書いてみました。
素人作品です。
軽く笑い飛ばしていただけると幸甚です。
プロローグ
それは事故であった。
時は現代。
スペースシャトルが宇宙に打ち出され、発展した科学が数多の事象を解明する時代。
しかし、この時代おいてもすべての事象が解明されているわけではない。
そしてそれは、そもそも人智の及ばぬ領域のものであった。
だが、人智が及ばぬ、その一言で片付けるのは乱暴だというもの。
そこはナレーターたるこの私が比喩表現を用いて、あえて分かり易く表現するとしよう。
あくまで例え、比喩だからな、比喩。
さて、
そこは天界に多数存在する雑居ビルの一室。
業種はSE系のベンチャー企業の類といったところだ。
出社時間になり、神が4人、業務を始める。
そのうちの女子社員の一人は酷く憂鬱そうだ。
溜息をつきながらPCの電源をつけた。
実は会社のメンバーは5人いるのだが、一番下っ端のノット君がヘルニアで入院し全治約2週間、その穴埋めをお局のタート女史がすることになったのだ。
人員も少ないし、各人の作業量も多く、ゆとりなどはない。
2人分の仕事をするとなると、その途方もないゴールに心が折れそうになるのも無理はなかった。
業務内容は委託会社から届いたデータをテンキーでシステムに入力してアップデートすること。
タートはシステムのアプリケーションを起動させ、テンキーの5の数字に中指を置き、ブラインドタッチで物凄い速さでデータを入力していく。
ブラインドタッチは右脳左脳の構造や役割が影響してか、男性より女性の方が圧倒的に早いのだ。
男性の場合作業は左脳頼りになり、ブラインドタッチをしながらも、一字一字脳で反復して「読んで」いるので、その処理速度は読む速度が限度となる。
しかし女性の場合、右脳を駆使することにより、その読む行程が省略され、見たものをそのままダイレクトにタイピングに直結させることができ、もちろん誰でもできるわけではなく、多少の訓練は必要らしいが、なんなら、よそ見をしたり、会話をしたり、別の考え事をしながらも指が動かすことができるのだ。すなわち、処理速度のリミッターがなくなるのだ。
しかし、これは一長一短だ。
確かにタイピングが早いことに越したことはないが、前者は指で読むため、タイプミスの際は違和感が生まれその都度修正がされるため精確性が高い。
しかし他方、後者は指で読む行程がないため、タイプミスをしていても間違えたまま突き進んでしまうのだ。
もちろん、校正、2重チェックで最終的にはカバーされるべき問題である。
しかし、繁忙と人出不足でセルフチェックがなされてしまうことも往々としてなかろうか?
彼女はそれをしてしまった。
そして自分は間違っていないという先入観と、この後自分の仕事をしなければならないという焦りと憂鬱の混じった感情によってセルフチェックが甘くなり、本人は完璧だと思っているが、傍から見ればミスが散見されるアップデートがなされてしまった。
この当該瑕疵あるアップデートは「地球」という星の時空を歪め、歴史的経緯を少しだけ、変容させてしまったのである。
あえて比喩で例えるなら上記のような顛末だ。
そしてその顛末は「とある男」とその周辺事象にエラーを及ぼし、同人を苦悩に貶めることになったのである。
趣味でまた書きたいと思います。
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