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14 木島洋子の覚醒

R18要素あります。

多分引っかからない(希望的観測)

♪リンゴーン リンゴーン


 五時になり定時を知らせるチャイムが、社内放送のスピーカーから鳴り響く。

 紀夫が帰り支度をしていると、洋子が声をかけてきた。


「久保田さん、今日はこの後なにか予定とかある?良ければ夕飯に行きませんか?」


 紀夫は考えた。今日から楓が晩ご飯を作りに来る。初日から「晩飯要らない」と楓に言うのは悪い気がした。


「ごめん。今日は家で食べる事にしてるから。」

「そう、残念…」

「せっかく誘ってくれたのに申し訳ない。」

「いいの、いいの。急な話だもんね。こちらこそごめんね。」

「良かったら、また誘ってくれ。」

「誘っていいの?」

「ん?メシ誘うくらい同僚なら普通だろ?」

「そ…そうね。そうだよね。」

「じゃ、俺帰るわ。」

「あ、待って!」

「ん?」

「お願いがあるんだけど。」

「なんだ?」

「連絡先を交換してくれないかな。」

「ああ、いいぞ。」


 紀夫はスマートフォンを出してメッセージアプリを起動する。新着通知が二件あった。確認は後にしてQRコードを表示させ洋子に見せる。洋子は自分のスマートフォンにコードを読み込ませた。


「ありがとう。」

《よし!連絡先ゲト》


 洋子は紀夫に礼を言うと小さくガッツポーズした。


「じゃあ、今度こそ帰る。」

「お疲れ様でした。」



「お先に失礼します。」


 紀夫は部屋全体に聞こえる声量で挨拶するとエレベーターに乗った。


 スマートフォンを出して、二件のメッセージを確認する。楓と真里からだった。


 楓からのメッセージを確認する。


『今日、何が食べたい?』


 紀夫は少し考えて返信した。


『焼き魚。鯖がいいかな』


 既読が付かないのを確認して、真里のトークルームに移る。


『初日、お疲れ様でした』


 真里から労いのメッセージが入っていた。真里には出向の件は話していないが、知っていて当然だろうと紀夫は一人納得する。当たり障りのない返信をした。


『ありがとう。』


 すぐに既読がついた。真里からメッセージが返ってくる。


『今からお帰りですか?』

『ああ、エレベーターに乗ったところ』

『転職祝いに晩ご飯をご一緒にしませんか?』

『悪い。先約がある』

『楓さんですか?』

『家でメシ作って待ってる』


 エレベーターが一階に着いた。帰宅する社員が途中の階からも乗り込んできていたので、ゴンドラのドアが開くと大量の人が吐き出される。

 紀夫も人波に流される様にしてエレベーターから降り、そのまま自動改札機?を通過する。不慣れな為、社員証を機械にタッチし忘れ、キンコーンと鳴って改札機のゲートが閉まる。後ろを振り向いてペコペコと平謝りし、社員証をタッチし直して改札機を通過した。


 エントランスホールを歩きながらスマートフォンを見ると、ボクシンググローブをはめたウサギが怒った表情でサンドバックをどついてるスタンプが、真里から送られてきていた。

 この場合、サンドバッグは自分なのか楓なのか、どっちだ?と紀夫が考えているとメッセージが新規着信する。洋子からだった。


『早速のお誘いです。金曜はどうですか?』


 土曜日は真里の家に行かなければならない。金曜は家で(くつろ)ぎたいので避けたいところだった。だが、連続して断るのも気が引ける。

 思案しているところに新着通知が入る。楓からだった。


『スーパー寄ってから行くね』

『ヨロ』


 と返すと両腕に力瘤を作った少女が「まかしとけ」と言っているスタンプが返ってきた。

 さらに新着通知が入る。真里だった。


『紀夫さん、私のフェイ○ブック見てますか?』


 紀夫が見てる訳が無い。SNSに無頓着なのだから。紀夫は正直に答えた。


『見てない』

『ですよねぇ。いいねに紀夫さんのアカウントがありませんでしたから』

『いいねで分かるのか?』

『分かりますよ』

『ちょっと待て。投稿内容が良かったらいいねを押すんだろ?』

『違います。読んだよと言うサインでいいねするのですよ。』


 紀夫は戸惑った。そんなルール知らない…

 SNSの使い方は運営側の示すルール内であれば自由なので、ローカルルールはアリなのだ。郷に入れば郷に従えである。


『わかった』

『では見て下さいね。いいねも忘れずにお願いしますね。』


 真里からの強制メッセージを読んだところで駅に着いた。


 【筆者からのお願い】

 歩きながらスマートフォン操作はやめませう。

 マヂで危ないです。駅のプラットホームから落ちかけました。


 紀夫は電車に乗り込むとフェイ○ブックアプリを起動して真里のコンテンツを開く。

 最新投稿に真里がハーレーに跨っている写真が掲載されていた。投稿日時は日曜の夜。紀夫が帰った後に投稿したようだ。

 真里がコメントに『婚約者のバイクに乗ってみた件』と書いている。

 真里の学友達であろう女の子アカウントがコメントを書き込んでいた。


〈カッコよす〉

〈リア充はけーん〉

〈彼氏持ち裏山〉

〈私もバイク乗ってる男ほちい〉

〈てか、いつ婚約したの?詳細クレ〉

〈顔バレ早よ〉


 コメントを見て紀夫は苦笑いした。

 真里の交友関係だから、皆どこかのお嬢様のはず。だがコメントを見る限りは普通の女子高生なんだなぁと。

 なぜ紀夫は普通の女子高生と思えたのかは、秘密である。

 紀夫は決してパパ活に応じてはいない。


 …はず



 とりあえず、いいねを押してスマートフォンをロックした。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





 家に帰り着くと家には明かりが灯っていた。紀夫が玄関ドアを開けて入ると、


「おかえり。お風呂にする?ご飯にする?それとも私?」


と玄関で待っていた楓がお約束をしてきたので、紀夫は靴を脱ぐと「ただいま」とだけ言って家の中へスタスタと入って行った。


「ちょっとツッコンでよ!」


と楓は言いながら、


『そう言えば最近、突っ込まれてない。ご無沙汰だよね』


などと欲求不満からR18な事を考えているので話を膨らますのはやめておく。


 晩ご飯を食べている時に、洋子からメッセージが届いた。


『既読スルーですか?』


 だが紀夫のスマートフォンはバッテリーが切れてしまい、紀夫は気付かない。

 楓を駅まで送り、風呂に入って寝る前にスマートフォンのバッテリーが切れている事に気付き、充電器にかけて寝た。



 深夜零時をまわった。洋子がメッセージを紀夫に送る。


『今度は未読放置ですか?』


 紀夫から返信も既読も無い。

 紀夫は深夜にスマートフォンで起こされるのを嫌い、深夜零時から五時までは着信できない設定にしている。


 洋子はブツブツと独り言を言った。


《何かのプレイですか?》

《久保田さんってもしかしたらS?》

《なんだかムズムズしてきた》

《あ、ダメ…イヤ…》

《眠れない…アフッ》



 かくして洋子は対紀夫特殊耐性スキル(M属性)を会得した。

お読みいただきありがとうございました。

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(`-ω-)y─ 〜oΟ

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