忘れられない夏の始まり
初めまして、田辺京といいます。
初の投稿ですが、どうか暖かい目で見てもらうと幸いです。
この物語は、決して甘い恋愛のお話ではないのですが、これも1種の恋の話です。
漫画や小説でよく読むハッピーエンドとは、全く違う展開に進んでいきますが、主人公がそれでも諦めず憧れた恋をするために進んでいこうとしていきます。
人生そう上手くいかないという言葉がありますが、まさにその通りな話ですね。
自分も高校生の時に甘い恋を憧れたものです。
でもやっぱり、自分が望んだとおりに事が進むことはありませんでした。笑
思い返すと色々と後悔をするものです。
ですがその後悔や失敗を恐れず、涙を流してでも前に進む女の子ってすごく綺麗だと思いませんか?
恋をしたのか、と言われればそうなのかもしれない。
それは本当に恋と言えるのか、と言われればわからない。
考えれば考えるほど、恋とは何か私にはわからない。
きっと、私にピンとくる答えは一生ないだろう。
付き合って、そして手を繋いだりして。
一緒に写真を撮って、一緒に旅行して。
気づけばもう2年も付き合っている3人目の彼氏。
1人目の彼氏よりも2人目の″彼氏″よりも長い。
じゃあなんで不満そうなのかと聞かれれば、それはきっと、前よりも心臓が恋をしてると響かないからだと思う。
ときめきすらも、今は、もうない。
今私を悩ませているのはそれだった。
本当にこんな関係で大丈夫なのかと。
全て持って行ってしまった″彼″は、今どこにいるのだろうと今も、ふと考える。
これからの話は、田中 葉月こと、私の4年間の出来事である。
決して素敵な恋の話ではないけど、どうか聞いて欲しい。
誰にも言えなかった、想いを。
築城丘高校 7月下旬
夏休みに入り、部活の合宿やら遠征やらが入ったスケジュールと睨めっこしながら家に帰っていた。
バスで20分それから電車で30分、歩いて10分の所に高校がある。
今日は明日から始まる部活のために、顧問の先生が休みにしてくれた。
舞い上がった気分で帰ろうとした時に、渡された夏休みの部活のスケジュールを見て気分は急降下し、嘘であってくれと言わんばかりに私は何回も合宿と遠征の日を確認している途中である。
「初めての高校1年生の夏休みが...部活に吸い取られていく...。遊びたいのにぃ...!」
「仕方ないよねぇ...。」
悲しく嘆いた自分を宥めるように言ったのは、小学校からの友人、古野村 結衣。
彼女とは、小学生から一緒であまり仲良くなかったものの、一緒の部活に入ってからだんだんと仲良くなり始めた。
彼女は普通科で、自分は総合学科だが、彼女の朝課外が始まるまで登下校を共にしている。
「宿題も沢山あるし、遊びにも行きたいんだよねぇ。」
「お盆休みなら4日間部活休みだし、その時に遊びに行こうよ葉月ちゃん。」
そうだね、と結衣に苦笑する。
結衣は、大学へと行くために一生懸命勉強をしていた。
親元を離れ、早く一人暮らしをしたいらしい。
登下校中に必ず持っている分厚い参考書を見れば、沢山の付箋が貼ってあった。
「(この様子だとお盆休みも勉強するから遊べないって言いそうだなぁ...。)」
結衣の何気ない話を聞きながらぼんやりと思う。
部活がない休みの日に結衣と遊んだことはほとんどない。
「(誰かと遊ぶのもめんどくさいし、家でゴロゴロしてようっと。...あ、でももうすぐ花火大会があるなぁ...今回も親と一緒に行くだろうし...。運命の人が見つかればいいな...そしたら夏休みだってきっと、楽しいのに。)」
初の彼氏は一日で終わりを迎えた。
たった一日で別れるなんて、考えたこともなかったが、好きでもない人と付き合ってしまったのはかなりの失敗だった。
断れなくて、何となく。
自分を好いてくれていたから。
それが初の彼氏と付き合った理由だった。
結衣と駅で別れ、家に戻るなりベットに飛び込んだ。
「(この瞬間が幸せだ〜。)」
大好きな犬のぬいぐるみを抱きしめ、すぐに起きあがり制服を脱ぐ。
家用の短パンとTシャツに着替えれば、すぐに携帯でゲームをし始めていく。
高校1年生になってから、初の携帯を買ってもらい、インターネットやゲームを部活から帰ってするのが今の幸せだ。
寝転がりながら、ゲームをして、時々親に貰ったお菓子を食べながら至福のひとときを堪能する。
すると、ピコンッという音が鳴り、携帯画面の上にメッセージが表示された。
元彼の名前がメッセージと共に。
「(また来た....。)」
別れた後もしつこくメッセージをしてくる私の初めての彼氏だった三浦 優希だ。
『田中、彼氏できた?』
いつも連絡をしてきた時に聞いてくることの1つである文を見ながら、返信をする。
『できてないよ。今運命の人を探し中。』
短く返信を送り、ため息をつく。
優希は、私が高校入学後すぐにメッセージを送ってきた。
中学まで一緒だったので、話すことはあったものの、いつも私をいじってきていたこともあり、私は優希が心底嫌いだった。
何気ない話をしていく内に、彼氏がいるのか、好きな人はいるのかと聞かれるようになり、その時点で私はもう優希が考えてることは既に分かっていた。
分かった時点で、自分はきっと期待していたんだと思う。
漫画のように、甘い恋をしたくて。
漫画のヒロインがするような、恋に憧れて。
今は嫌いでも、付き合ったら何か変わるかもしれない。
そう思って、告白を受け入れた。
でも。
その日のうちに、告白してきた彼は言ったのだ。
ごめん、やっぱり無しにして、と。
衝撃だった。
でも、悲しく思うことはなかった。
あぁ、まぁそうなるだろうなくらいにしか、思わなかった。
だから、自分は二つ返事で了承した。
情けないなと自分でも思う。
憧れた恋はまだ私には早すぎたみたいだと過去を思い出しながら苦笑した。
たとえ今、運命の人を見つけたとしても、また失敗を繰り返したくなかった。
今度はちゃんと、恋が上手く実るように。
今度こそ、今度こそと、何か自分の中で焦る気持ちが芽生えてしまったのかもしれない。
それが、後の自分を苦しめることになるとは知らずに。
夏休みの部活が始まり、家に帰りつくのも遅くなってきたある日のことだった。
何事もなく家に帰り、携帯を見れば知らない人からのメッセージが画面に映し出されていた。
名前を見ても思い当たる人物がいない、しかし自分に送ってきたということは、少なくとも自分の連絡先を知っているはずの人だけだった。
『部活お疲れ様、今暇?』
誰だろう、高橋って書いてあるけど思い当たらない。
とりあえず返信をした方がいいと思ったので、適当な文を送ろうと思った時。
『ごめんね、いきなりでびっくりしたよね。俺、3年の高橋海斗』
その人は、新入部員で勝手に決めた、かっこいい先輩ランキングに入る1人だった。
まさか、メッセージが来るとは思わなかったし、気軽に話せるような関係でもなかったので、理解するのに数秒かかった。
「嘘...!」
バクバクと心臓が鳴り響き、文字を打つ指が震える。
何の用だろう、何か重大な話があってメッセージを送ってきたに違いない。
でも何も思い当たらない。
恐る恐るという感じで何度も文を見返して返信を送る。
『暇です!どうされましたか?』
すぐに携帯を閉じて、それから落ち着くように目も閉じた。
舞い上がりすぎだ、嬉しいからって期待しちゃダメだ。
相手にそんな気は無い。
ピコンッと音が鳴り、パッと目を開ける。
『田中の好きな音楽、俺も好きなんだよね。
暇だから少し話しない?俺も暇なんだ。』
期待しちゃダメだという言葉の裏腹に、期待してしまっている心は落ち着かなかった。
もしかしたら、もしかしてかもしれない。
『よく知ってますね!』
さっきまでの緊張が、嘘のように文字を打つ指が、一文字一文字を確実に迷いもなく打っていく。
チャンスを逃してはいけない。
会話を終わらせたくない一心で、親に貰ったお菓子もゲームにも目もくれず、ずっとメッセージのやり取りをしていた。
段々と話が盛り上がっていった頃、ふと思ったように高橋先輩のメッセージの内容がガラリと変わった。
『ねぇ、今度さ、映画を一緒に見に行かない?』
まさかと思った。
本当にまさか、そんなことを言ってくるとは思わなかった。
赤くなっていく顔と再び緊張してきた手の震えとは反対に、冷静に文字を打っていく。
『いいですよ!何を見に行きますか?』
『何がいい?恋愛系だったら今いいのがちょうどあってるよ。』
『じゃあ、それでいきましょう!』
『楽しみだな、日付はまた今度連絡するよ。』
『ありがとうございます!』
『それじゃあまたね、葉月。』
『はい!楽しみにしてます。』
葉月、と書いてあるメッセージを何度も見る。
名前を呼んでくれている、こんなにも嬉しいことは今までなかった。
どんな服を着ていこう、どんなことを話そう。
口元がにやけて、ベットの上で1人喜び続ける。
これからのことが楽しみで仕方なくて、近くにあったもふもふした人形を抱きしめた。
脳裏に浮かぶのは、高橋先輩のことだけ。
今も、これからも、夏を忘れない、忘れられない。
そんな1週間がこれから始まっていく。
さて、これからやっと話が始まっていきます。
次のお話にはなるのですが、これから急激に話が展開していきます。
憧れの先輩からきたメッセージって、すっごくドキドキしますよね笑
まだ始めたばかりなので、上手く表現できていないとこがありますが、精一杯していきたいです。
これからもどうぞよろしくお願いします。
最後に一つだけ、このお話は、ここだけの秘密ということで絶対にほかの場所に載せたりしないでくださいね笑
見てもらうだけで、自分はとても嬉しいです。
他の方のご迷惑にならぬように、自分も見てくださってる方もマナーを守っていきましょう。