番外編 《メタイベント》バレンタインだからってチョコを渡すと思ったか‼︎
【注意】メタ発言過多、メタイベントです。
苦手な人は、バックしてください‼︎
また、読まなくても問題なしです。
島田、バレンタインなのに小豆パイを作っていました。
なので、このネタになりました(笑)
チョコレートだろうがあんこだろうか、バレンタインには変わりないと思ってます!!(笑)
兎にも角にも〜。
今後とも〜よろしくどうぞ( ・∇・)ノ
「とゆー訳で〜今年のバレンタインは、気をてらって小豆パイを作るわ」
『どうゆう訳かな(だい)(よ)(ですか)っ⁉︎』
今年も参加のリズベットさん・姉御・マリカ様とアウラ様と、今年初参加のカメリアさんの総勢5人からのツッコミを受けながら、私は笑う。
ほら……ここ最近は真面目にやり過ぎたから、ねぇ?偶にはおふざけも必要だと思うのよ。
だからこその小豆パイというチョイスです。
え?なんで小豆かって?
…………色がビミョ〜に似てるからよ?
安直だけど、それ以上の理由は何もないわ(笑)
「あっ……ちなみに、チョコを渡したい人は中身をチョコにしなさい。私は小豆にするだけだから」
「パイってそんなに融通効く料理なんですか?というか……お料理なんてしたことないのですが、わたくしでも作れるのでしょうか……」
不安そうに聞いてくるカメリアさん。
その不安も確かでしょう。初めての料理がいきなりパイなんて……簡単そうに思えないわよね。
でもね……案外簡単なのよ、パイって。生地を混ぜて、中身の具を挟んで、焼くだけだから。
ただ……。
そう……ただ…………。
…………………生地の待ち時間が地獄のような長いだけで……。本当にそれ以外は、簡単なのよ……。
「カメリアさんの疑問にお答えするためにも〜レッツチャレンジ。はい、そんな訳で……パイ生地は事前にこちらで用意しておいたわ」
「あ、あら??今年は準備がいいのね、フリージアさん」
「時間がかかるからよ。時短時短」
そう、時短。だって、さっきも言ったけど……生地を休ませるだけでも1時間以上かかるのよ?
そんな長々と待つのは面倒じゃない。だから、時間魔法を使って時間を短縮、事前準備とさせていただいたわ。
なお、生地の材料は薄力粉・強力粉・砂糖・塩・バター・水と、案外シンプルだったりする。
閑話休題。
「はい、次‼︎取り敢えずデモンストレーションをするから集合〜‼︎まな板に強力粉の打ち粉をして、伸ばしていきます‼︎ある程度伸びたら、包丁で2等分‼︎1枚ずつ伸ばして、型を取って〜……こちらも事前に用意しておいたあんこをどぼんっ‼︎」
じっくりコトコト、グラン好みの甘過ぎないあんこの方も事前に準備させてもらったわ。
なんせあんこを炊くのにも時間がかかるからねっ‼︎
「上にもう1枚の生地を乗っけて〜空気を抜いて、閉じて‼︎余分な部分を切って、生地の縁をにゅいっと閉じて〜。焼いてる時に中の空気が膨張して破裂しないように、竹串で刺して空気抜き用の穴を空けるわ。そして〜溶き卵を塗り塗り〜。予熱したオーブンに入れて焼きます‼︎」
「チョコの場合はそのあんこの部分をチョコにすれば良いのかな?」
「えぇ。このホールでのパイにしたいなら、そうすると良いわ。他には〜……チョコスプレッドを生地に塗って、くるくるっと両端を折って、真ん中をクイッとするとハートみたいな形になるわ。厚紙とクッキングシートで筒を作って、生地を巻いて、焼いた後にチョコクリームを入れるのもオッケー。板チョコを入れるなら、真ん中にチョコを置いて、生地をチョチョイッと切って編み編みにしたり〜……バナナとかいちごジャムとか一緒に入れても大丈夫よ。ちなみに……これの中身をひき肉とかジャーマンポテトとか、サーモンとクリームチーズとかにするとおかず系のパイになるから覚えておくと良いわ」
「うわぁ〜‼︎結構チョコパイにも種類があるんだね‼︎私、ハートにしよ〜♡ハル君に私の心、あげちゃうの‼︎」
私から生地を受け取ったリズベットさんは早速、生地を伸ばし始める。
オロオロとしていたカメリアさんは姉御とアウラ様が面倒を見てくれるみたい。
そして……問題の……マリカ様は……。
『クケェェェェェェ〜……‼︎』
「「……………」」
なんで……なんでなの??
どうして……生地を伸ばしただけ……‼︎伸ばしただけなのにっ‼︎
それなのにもう……‼︎なんで既に、変な鳴き声が発生してるの……っ⁉︎
「フ、フリージア……さん……」
不安そうな顔で見られても、こっちだって困るわ……。
私はなるべく目を合わせないようにしながら、そっと告げたわ。
「……………取り敢えず、ヤるだけヤりましょう……」
それから……まぁ、えぇ。マリカ様につきっきりでパイ作りをして。
断末魔のような鳴き声をあげながら、オーブンで焼かれたマリカ様パイを見て、そっと皆で目を逸らし……。
各々の焼きあがったパイを見せ合いっこしつつ。
やっぱりマリカ様のパイのヤバさに戦慄しながら、これを受け取るであろうセーゲルに黙祷を捧げ……。
ちょっと(かなり?)の問題が起こりながらも、バレンタインの準備を終えたのだった……。
◇◇◇◇◇
【リズベットside】
「ただいま〜、ハルくーんっ‼︎今年のバレンタインだぞ〜っ‼︎」
「お帰り、リズ。ありがとう、いただきます」
チョコレートが挟まれたハート型のパイを受け取ったハル君はふにゃりと嬉しそうに笑う。
うふふ〜分かったんだね?
ハート型のパイを贈ったり・ゆ・う♡
「リズのハート、ちゃんと受け取ったよ」
「うんっ。残さず食べてね?」
「勿論、残すつもりもなくいただくよ。…………リズのことも、丸ごと……ね?」
甘い甘いバレンタイン。
ま、こんなイベントとか関係なしで年がら年中イチャイチャしてる私達だけど……。
やっぱりイベントがある日の方が、盛り上がるよねっと思う私なのであった。
◇◇◇◇◇
【アウラside】
「はい、今年のバレンタインよ」
縁側で共にお茶しながら、今年のバレンタインのチョコパイを渡す。
わたくしは選んだのは、パイコロネ(?)というモノ。中身は甘さ控えめのチョコクリーム、上に粉砂糖をかけて……可愛らしくデコレーションしたわ。
パイコロネの作り方はフリージア様に教わったけれど、デコレーションはわたくし自ら考えたモノ。
わたくしはドキドキとしながら、スイハが食べるのを待った。
「ありがとな〜。んじゃ早速、いただきまーす」
スイハは1番上に置かれていたパイコロネを手に取って、食べる。
離れていても聞こえたサクッという音。
美味しくできたかとドキドキしていたら……スイハは心底嬉しそうに微笑んだ。
「うん、めっちゃ美味い。料理上手になったな、アウラ」
わたくしがここで暮らすようになってそれなりの時間が経った。
その間にわたくしは、家事を学んだ。最初は何もできなかったけれど……今ではこんなお菓子まで作れるようになった。今回は殆どフリージア様が準備してくださったけど。
それでも……自分がこんなに出来るようになったことが、嬉しくて堪らない。
「お返し、楽しみにしててくれな」
「えぇ。楽しみにしてるわ」
わたくしはスイハににっこりと、笑顔を向けた。
◇◇◇◇◇
【カメリアside】
貴族令嬢が料理をするなんて……普通はあり得ません。
だって、料理は料理人の仕事ですもの。
でも、フリージア様は公爵令嬢でありながら、婚約者であるグランヒルト王太子殿下のために自らの手で料理をしていました。
だから、わたくしもそれに倣った方が良いのかしら……?と思い、この度バレンタインクッキング(?)なるモノに参加させていただいたのですが……。
ど、どうしてでしょうか……‼︎
ただ、アズ様にお渡しするだけなのに……‼︎酷く、緊張してしまいますわっ……‼︎
アズ様を待って、王宮の応接室でオロオロとしていましたら、ガチャリと扉が開きました。
ピタリッと固まったわたくしを見て、目を見開く待ち人。
アズ様はキョトンと不思議そうに首を傾げました。
「どうしたの?カメリア」
「あ、ぅ……」
「カメリア?」
「う、ぅ、ぅ」
「う?」
「受け取ってくださいましっっ‼︎‼︎」
ーービシッ‼︎
差し出したのは、チョコレートとアプリコットジャムを挟んだパイ。
アズ様は最初、何を差し出されているのか分かっていない様子でしたが……それを理解なさるや否や、大きく目を見開かれました。
「まさかこれ……カメリアが?」
「は、はい……フリージア様に、教わって……」
「嬉しい、な……。兄上が、フリージア嬢に手作りのお菓子を受け取っているのを見て、羨ましかったんだ。わたしも君からの手作りお菓子が、ずっと欲しかった」
「アズ様……」
「ありがとう、カメリア」
心底嬉しそうに破顔して、パイを受け取るアズ様。
彼は壊れ物を扱うかのような丁寧な手つきで、袋の表面を撫でると……そっとわたくしの手を取って、その甲に口づけを落としました。
「確か、ホワイトデーというモノがあるらしいね。わたしからカメリアにお返しをする日だ。その日を、楽しみに待っててくれ」
「あ……あぃ……」
「本当に、ありがとう。カメリア。本当に、嬉しい」
…………フリージア様。
なんで貴族令嬢であるフリージア様が手作りでお菓子を作るのかが分かりませんでしたが……。
やっと、やっとその理由を理解しました。
こんなに喜んでもらえるなら、確かに作ろうと……思いますよね。
◇◇◇◇◇
【マリカsideもといセーゲルside】
この日ーー冒険者ギルドは今までにない緊張感に包まれていた……。
『伝令、伝令‼︎間もなく物質Cが到着‼︎総員、警戒されたし‼︎』
去年を知る者はその言葉に、生唾を飲む。
偶々その日、居合わせてしまった者達は只ならぬ気配に困惑する。
そんな緊迫した空気の中ーー……おれ、セーゲルは大剣を構えて、その時を待っていた。
そしてーー……。
「頼もーーーうっ‼︎う、う、うっ‼︎受け取りなさい、馬鹿ぁぁぁぉぉ‼︎」
『グルゥゲェェェェェェェェェェ‼︎‼︎‼︎‼︎』
そのバレンタインのチョコレートが投げ込まれた瞬間ーーおれ達は、第2次バレンタイン大戦を迎えるのだった……。
※物質C=マリカ特製のチョコレートのこと
◇◇◇◇◇
【リリィside】
「陛下には平時お世話になっているからね。感謝の気持ちだよ」
あたしは陛下にパイを差し出す。
中身は……さっきフリージア様が言ってたサーモンとクリームチーズとバジルソース。つまり、チョコレートじゃなくておかずパイと言われるモノ。
バレンタインは恋慕の情をぶつけるイベントだって聞いたけど……日頃お世話になっているヒトに感謝を伝える日でもあるらしい。
バレンタインにチョコレートを渡すのは……憚られた。それでも陛下には何かあげたかったんだ。
だから、あたしは……これを選んだ。
本当の気持ちを、伝えられない代わりの……贈り物として。
「おやおや……随分と美味そうな」
「料理上手な陛下に食べさせるにはちょっと役不足だと思うけどね。よかったら、食べて欲しい」
「そんなことはないぞ。儂にと作ってくれたのだろう。その気持ちだけで、充分だ」
陛下は嬉しそうに笑って、立ち上がる。
どこかへ行ったかと思えば、皿と箸、包丁を手に戻ってきた。
「そして更に、良いことを教えてやろう。リリィ嬢」
「?」
陛下はサクッとパイを切り分けて、お皿に乗せる。
その数は……2つ。
「料理というのは、誰かと共に食べると更に美味くなるモノなんだぞ」
「…………陛下」
「お返しの時は、儂が作った料理を共に食べような」
あたしは、陛下から皿を受け取って……パイを食べる。
うん……そうだね。
誰かと一緒に食べると、もっと美味しく感じるよ、陛下。
◇◇◇◇◇
【フリージアside】
「という訳で、小豆パイよ」
「とうとうチョコレートですらなくなったか……」
「嫌い?」
「いや、好きだけど?」
「でしょうね‼︎さ、食べましょう‼︎」
「そしてリジーさんも参加するのね。別に構わないけどさ」
私達はグランの寮部屋に集まって、小豆パイを切り分ける。
どうせ見てるのはグランだけだもの。私は容赦なくパイを真っ二つに分けて、ムシャッと半分になったパイに噛み付いた。
「あー美味しい〜。自画自賛だけど美味しいわ〜」
「うん、確かに。美味いな。そんな甘くなくて、食い易いや」
「そうでしょー?グランは酒の肴は好きだけど、甘いものはあまり好きじゃないものね。だから、あんこにしたわ」
「……………いや、ビターチョコレートなら食べれるからな?って訳で、その心は」
「私の気分があんこだったわ‼︎」
「だろうな。じゃなきゃ小豆パイにならんわな」
もぐもぐ、もぐもぐ。
私達は急に黙り込んで食べ進める。
…………えぇ。始まってしまったのよ、戦いがね。
毎度恒例、いつものオチになるか否やの……冷戦。
どろりと熱を帯びた視線はまるで、獲物を見つけた獣のよう。
私は仕方ない、といった感じで溜息を零すと……ムグッと口に突っ込んで、パイを食べ終えた。
「はい、どうぞ」
「…………………へ?」
両手を広げた私を見て、固まるグラン。
その顔は信じられないと、言わんばかりだった。
まぁ、ね。バレンタインなのにチョコレートを渡さなかったからね。少しは譲歩してあげようと思ったのよ。
……。
…………。
………………と、色々と言い訳したけれど。
本音を言うと……まぁ……えぇ。ちょっとイチャイチャしたいなぁ〜と思ったのも本心。
「…………据え膳食わぬは」
「男の恥っ‼︎」
ポイッと口にパイを放り込んだグランは私を攫うように抱き上げて、寝室へと向かう。
はいはい、いつものオチよ。
今年のバレンタインも、甘々な感じで過ぎていったわーー……。




