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第50話 シリアスブレイクは十八番だけど……流石にこの展開は想像外だったわ


お久しぶりです‼︎

長らく停滞してて、ごめんなさい‼︎

他作品であるヤンデレ旦那様の更新やら、体調は不良やらでかなり遅くなりました。

まぁ、今後も更新早いとは限らないけど……気長にお待ちください。


という訳で……祝50話‼︎

副々題名(サブサブタイトル)は、〝リジーさん、大爆笑☆〟ですww

沢山の方に読んで頂きありがとうございます‼︎

誤字脱字もいつも沢山の方に教えて頂き、ありがとうこざいます‼︎

今後も少しでも楽しんで頂けたら幸いです‼︎


では、よろしくねっ☆


 







 まぁ、一言で言えば。

 寝坊した私とグランはすっごい急いで、準備をしていたわ。





「二度寝するんじゃなかった‼︎完全に寝坊したぁっ‼︎」


 グランはそう叫びながら、寝苦しくないようにと緩めていた制服の胸元を整える。

 私も慌てて髪を梳かしながら、叫んだわ。


「グラン、寝癖を直しなさい‼︎そのまま行ったら、なけなしの威厳が木っ端微塵になるわ‼︎」

「なけなしの威厳と言われるのを否定できないっ‼︎じゃなくてっ‼︎跳ねてるの、どこだっ⁉︎」

「後ろ、後ろ‼︎」


 人間、テンパると駄目ね。

 冷静に動けば時間がかからないんでしょうけど、動揺してる中動いても余計に時間がかかってしまう。

 唯一の救いは打ち上げの服装がドレスとかじゃなくて制服ってことかしら。

 正装だったら、余計に時間がかかってたはず……。

 私はグランの跳ねた後ろ髪をなんとか直しながら、彼の手を掴んだ。


「グラン」

「はいはいっ‼︎」


 シュンッ‼︎……と一瞬で視界が切り替わり、会場であるホール前の扉に転移する。

 そして、最後に互いの姿が変でないかを確認して……私達はその会場に足を踏み入れた……。




 ………………のだけど。




「…………グランさん」

「…………なんですか、リジーさん」

「…………シリアスな気配がしますね」

「…………そーですね」


 その会場に足を踏み入れた瞬間に察してしまったのは、チート能力の所為なのか……。

 バルコニー付近から……神聖だけどちょっと邪悪な雰囲気が放たれていて。

 どうやら……発生源はお花畑聖女さんのようで……私とグランは思わず遠い目をしてしまったわ。


「…………あの子、問題起こすの好きね……」

「………だな……」


 あら……?

 でも、なんか今回の気配は変な感じね。

 発生源はお花畑聖女で間違いないのだけど……コレは……。


「何かが取り憑いてる?」


『呪術 習得』

『魂魄認識 習得』


「あ。呪術と魂魄認識とかいうの、覚えたわ」

「俺も」


 なんか習得アナウンスさんは久しぶりに聞いた気がするわね。

 呪術ってのはちょっとよく分からないけれど……魂魄認識とかいうのを習得したからか、さっきよりもハッキリと聖女が取り憑かれているのが分かって。

 うわぁ……何、あの気持ち悪い気配(黒いの)

 よく今の今まで気づかなかったわね?

 習得(認識)まで時間がかかるタイプだったのかしら?


「………リジー、あのさ……アレの近くに、スイレンさんいるよな?」


 能力のことを考えていた私はグランの呟き声で、彼の方を向く。

 すると……真顔になったグランが、こちらを見ないまま続けたわ。


「え?えぇ……そうね?」

「………こういう場合のテンプレって。あの気持ち悪いヤツが魔王に乗り移り。魔王の身体を使い、いざ世界を滅ぼさん……とかでは?」

「…………………」


 グラン……そういうの、フラグって言うのよ。

 …………でも、そう言われたら何故か否定できないわね。

 それどころか、頭の中でもう1人の私が〝ただいまシリアスシーンなう☆(てへぺろっ☆)〟って言ってる気さえするわ。


「…………リジーさん」

「はいはい」


 名前を呼ばれた時には、私はグランにハリセン(取り敢えず、神聖属性を付与魔法(エンチャント)させておけば間違いない)を渡していた。

 そして、次の瞬間には私の隣からグランが消えて……すっごい阿呆っぽい声(&呻き声&驚いた声)がホール全体に響いたわ。




「悪・霊・退・散・っっっ‼︎」




「『ぐふっっっ⁉︎』」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ⁉︎何してるんだ、グラン殿ぉぉぉぉぉぉぉお⁉︎」

「(ぶふっ‼︎)」


 ちなみに、1番上がグラン。

 2番目が……聖女(と、なんかそれに取り憑いているらしい()())。

 3番目がスイレンさんね。

 4番目が笑いを堪えた私の声ね。

 いや、間違いはないでしょうけどっ……でも、悪霊退散って……悪霊退散って……なんでその言葉をチョイスしたの、グラン‼︎

 噴き出してしまいそうだったじゃないっっっ‼︎


「ご、ごめんなさいね……通してくださいな……」


 私は、笑いを堪えながら何事だと騒つく会場を横切って(ついでに、私達に意識が向かわない(を見つけづらくなる)ように認識誘導を発動しながら)バルコニーの方に向かう。

 そして……。


「ぶふっ‼︎」




 バルコニーの手すりに布団のように干されている半透明の人と、それを足蹴にしている花畑聖女(と顔面蒼白で震えるグランと彼を慰めるスイレンさん)を見て……今度こそ、その場に(笑い)崩れ落ちたわ。




「リジー殿っ‼︎グラン殿がっ……」


 スイレンさんが私に気づき、助けを求めるように声をかける。

 けれど、全てを言い終える前にグランが私に飛びつい(抱きつい)てきたわ。


「リジーっっっ‼︎」

「ぐえっ⁉︎」


 内臓が飛び出るんじゃないかってくらいに強い力で抱き締められて、思わず女性らしからぬ声が漏れる。

 だけど、私は驚かずにいられなかった。

 だって、そうでしょう?

 いつも余裕綽々なグランが……こんなに分かりやすいぐらいに怯えるなんて……只事じゃないわ。


「グラン、どうしたの?こんなに怯えて……」

「幽霊無理、幽霊無理、幽霊無理、幽霊無理っ……‼︎」


 あら……?

 私は説明を求めるようにスイレンさんに視線を向ける。

 すると、スイレンさんもちょっと驚いている様子で答えた。


「その……どうやら聖女リリィから〝ぬるっ〟とあの半透明なのが出たのがかなり衝撃だったらしく……こうなったのだ」


 つまり……そういうことよね?


「えぇぇぇぇぇ……グランが幽霊が苦手とか意外だわぁ……。貴方、幽霊レイス系の魔物も普通に倒してたじゃない」


 驚きを隠しきれずに、グランの青白い顔を見つめる。

 けれど、グランは涙目になりながら、反論した。


「意外じゃないからぁっ‼︎だって、レイス系は俺の光属性とリジーの神聖付与魔法(エンチャント)で一撃必殺だったんだぞっ⁉︎なのに、アレはそれでも殺せなかったんだよ‼︎倒せない幽霊とかっ……無理ぃぃぃぃ……‼︎」

「うぐぇ」


 さっきよりも力が強くなって、私は軽く意識が飛びかけてしまう。

 というか……今までの幽霊は()れたから大丈夫だったって……どんだけ脳筋思考なの。

 私は苦笑しながら、パシパシと彼の背中を軽く叩いたわ。


「落ち着きなさいな、グラン。ちょっと苦しいわ。離さなくていいから、もっと緩めて頂戴」

「………うぅぅ……」


 はぁ……グランは離れないけれど、さっきよりも動きやすいわね。

 でも、どうしましょう。

 シリアスブレイクは成功しているでしょうけれど……ツッコミどころが多すぎるわ。

 まずは……。


「その半透明なの、なんなのかしら?」

「あぁ。これはあたしに取り憑いてた〝()()〟だよ」

「……………え?」


 私の疑問に答えたのは、可愛らしい声でありながら乱暴な口調。

 驚いて勢いよく振り向いたら、足蹴にした足は退けないまま……豪快に笑う花畑(?)聖女がいたわ。


「おっと。ちゃんとご挨拶するのは初めてだったね。()()()()()。あたしはリリィ……と言っても、喋り方も男勝りだから信じてもらえないかもしれないけどね。まぁ、一応本物のリリィって自称しておこうか」

「(ぶふっ‼︎)」


 そう言ったリリィからは、溢れ出んばかりの姉御肌感が出ていて。

 私は慌てて口を押さえて、噴き出しそうになるのを我慢する。

 ねぇ、私は何度、腹筋を崩壊させかけなくてはいけないの?

 何もかもが私の笑いの沸点に達して、どうしようもないのだけど‼︎


「…………なんか、リジーが笑い死にそうになってるし」


 グランにジト目で見られるけど、私はぷるぷる震えながら笑い続ける。

 確かに、本気で笑い死にそうだわ。

 というか……逆に聞くけど、この状況を笑わずにいられると思うの?無理よ。


「……取り敢えず。笑い死なれる前にあたしのこととか、コレのこと色々と説明したいから場所を変えない?」

「なら、儂が控え室として使っていた部屋へ行こう」




 そうして、私達はバルコニーからスイレンさんが使っていた控え室へと移動することになる。





 シリアスブレイクは十八番だけど……流石にこの展開は予想外だったわ。




 これから……どんな説明を受けるのかしらね?







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