第40話 《運命的な出会い(中略)押し付けてしまおう作戦》(2)
遅い更新ですみません‼︎
まぁ、不定期でも許してね‼︎
再び‼︎同じシリーズだけど、違う作品のあの人が登場……‼︎
ギャグに走った?いつものことですね(笑)‼︎
空からそれが飛来してきた瞬間ーーー。
俺は生徒達の邪魔をするなと言われたことさえ忘れて、彼らの前に出て剣を構えていた。
「っ………‼︎」
『ひぃっ……⁉︎』
一瞬で空気が変わる。
この場が掌握されたと、本能で理解した。
俺の背後で生徒達が怖気付いた気配もする。
俺でさえ只ならぬ恐怖を感じているのだ。
まだ子供……それどころか温室育ちでは、余計にだろう。
土煙で姿は見えないが、溢れ出る濃密な魔力。
危険だと、逃げるべきだと、頭の中で警鐘が鳴る。
しかし、俺は今、生徒達を守るために前に立たなくてはならない。
俺は無理そうだと思いながら、彼らに声をかけた。
「時間稼ぎをする。逃げれるか?」
「……………ぁ……」
「………………腰が、抜けて」
弱々しい声には怯えと恐怖が滲んでいる。
やはり逃げることは無理らしい。
流石の俺でも彼らを守りながら立ち回れるだろうか?
生唾を飲み込み、俺は土煙が晴れるのを待つ。
そしてーーーー聞こえてきた声に、目を見開いた。
「痛ったぁ………女性の腹を殴るなんて、紳士じゃないわ‼︎」
色っぽい女性の声。
クレーターのように砕けた地面の中から這い出てきたのは、とても美しい女性。
薄水色の長い髪に、翡翠の瞳。
水色の濃淡が美しい……溢れんばかりの豊満な胸元が丸見えな扇情的なドレス。
そして……とんがった帽子。
〝妖艶な魔女〟ーーー。
そんな言葉が似合いそうな美しい女性が、そこにいた。
「…………………………」
ドクドクと心臓が強く脈打つ。
身体中の血が沸騰したように熱くなり、火が出そうだ。
思考がまともに働かない。
まさか、これはーーーー。
「……………………あら?」
彼女はこちらに気づくと目を見開く。
そして、クスッと艶やかな笑みを浮かべながら、胸を主張するように腕を組んだ。
「あたくしに剣を向けるなんて、中々に豪胆ね?」
「………………………ぁ………」
どうやら彼女の巨大な魔力に警戒して向けていた剣に、機嫌を損ねたらしい。
「《境界の魔女姫》と呼ばれるあたくしに剣を向ける愚か者など……何千年ぶりかしら?いつもなら賞賛するでしょうけど……今のあたくしはとっっても機嫌が悪いの。ゆえにその愚行、身を以て後悔なさい」
彼女は濃密な魔力を練って、空を埋め尽くさんばかりの魔剣を無数に展開する。
なんと高度な技術なのか。
今まで見てきた魔法使いの中で1、2を争う強者だろう。
しかし、そんなことよりも俺は言わなくてはいけないことがある。
俺は、魔剣が放たれる前に大剣を地面に突き刺し………彼女に向かって告げた。
「貴女に一目惚れした‼︎結婚を前提に交際を申し込みたい‼︎」
「『……………………………へ?』」
背後の生徒達も驚いたような声が漏れていた。
目の前にいた《境界の魔女姫》殿もピキッと動きが固まり、ポカンッと口を開ける。
そして………意味を理解したように顔を真っ赤にした。
「はぁっ⁉︎」
うむ。
拍子抜けしたような間抜けな顔は、妖艶な見た目に反して可愛らしいのだな。
*****
空から〝何か〟が降ってきた瞬間、私達は大混乱に陥ったわ。
だって、聖女達を映してた電子スクリーンに何も映らなくなったんだもの。
「っっっ‼︎監視が妨害されてるわ‼︎緊急事態発生、緊急転移を開始‼︎」
「了解‼︎」
グランは生徒達を学園に緊急転移させていく。
私は慌ててスイレンさんの方を向いた。
「スイレンさん‼︎」
「分かっている‼︎」
全てを言う前に彼は窓から飛び出し、龍化して空へと飛び立っていた。
一応、この大陸では(私達を抜いて)最強の部類に入るから大体のことは対処できるはず。
私は次にリズベットさん達にも念話をしたわ。
「リズベットさん、ハルトさん、緊急事態よ‼︎」
『こっちも巨大な魔力反応を探知したよ‼︎』
「学園で混乱が起きると思うから対処してくれる⁉︎」
『分かったよ‼︎ハル君、行こう‼︎』
『あぁ‼︎リズ、こちらも緊急転移するぞ‼︎』
次にサンドラさんに念話を送るけど、そちらは妨害されているのか反応がない。
まさか………。
「パーティーNo.001がいた付近が干渉不可になってる‼︎3組ほど、パーティーの反応がないし、転移させられない‼︎」
「領域干渉系の固有能力かしら……⁉︎グラン、エリアギリギリまでの転移は⁉︎」
「行ける‼︎」
グランは私を片手で抱き上げ、転移できなくなる手前まで転移する。
そして、そこから一歩踏み出した瞬間、空気がガラリと変わったことで私達は顔を歪めた。
「チッ……探知系・転移系の魔法が発動しない。やっぱり領域干渉系か………」
「支配領域内では魔法の使用が、制限されてるわね……」
固有能力は魔法じゃないから無効化が発動しないのよね。
代わりに物理的な制限はないみたい。
「………リジー、耳塞いでおけ」
「えぇ」
私が耳を塞ぐのと同時に、グランはパァァンッッッ‼︎と凄まじい強さで両手を合わせる。
その音は森全体に響き渡り……グランはその反響を聞いて走り出したわ。
「音の反響具合から大体の位置は確認した。パーティーNo.001の所にはスイレンさんが辿り着いたみたいだし、先に他の生徒達の安全を優先する」
「当然の判断ね。でも……さっきのだけで位置を把握できるなんて……流石、異常なほどに高い身体能力を持つだけはあるわね」
「あぁ」
あら……。
グランったら真剣モードで口数少なくなっちゃってるわ。
まぁ、王子でこの合宿の責任者みたいなもんだから仕方ないかしら。
「行くぞ」
グランは他の生徒達がいるだろう場所まで、全速力で走り出す。
でも、いつものグランの走る速さじゃないわ。
普通の成人男性ぐらいの速さになってる。
彼は私を抱っこしたまま、小さく舌打ちをしたわ。
「身体能力の制限までもあるのか」
「私、自分の足で走りましょうか?」
「いや、それでも俺の方が速い。というか、チート能力があるんだから、なんとかならないのかよ」
グランはイライラしながら愚痴る。
それは私も思ったわ。
いつもならとっくに耐性をゲットしてるはずなのに………。
『固有能力環境下にて適応時間経過。領域干渉型固有能力・《境界》に適応完了』
「「あっ」」
まるで私達の愚痴に反応したように、タイミングよく脳内アナウンスが流れる。
と言うか、適応ってことは……‼︎
「グラン‼︎」
「分かってる‼︎指令略、《強制転移》‼︎」
さっきまでは発動しなかった探知の魔法が発動して、私は生徒達の安否確認をする。
あ、ちゃんと転移できてるみたいだわ。
「流石、チート能力。領域干渉型なんて初めてだから、耐性ができるまで時間経過が必要だったなんて思わなかったわ」
「それな。リジー、プラン変更‼︎早急にスイレンさん達のところへ転移する‼︎」
「えぇ‼︎」
グランは私を抱えて、パーティーNo.001がいる場所へ転移する。
そこで私達が見たのはーーーー。
「貴女が好きだ‼︎」
「ふぇっ⁉︎」
「貴女は美しい‼︎」
「ふみゃっ⁉︎」
「結婚してください‼︎」
「ふみゃぁぁぁぁぁぁぁあ⁉︎」
追いかけっこする色気ムンムンなお姉さんと、クール(だったはず)なセーゲルでした(ちなみに、横っちょでスイレンさんとお兄様達が死んだ魚のような目をしている)。
何これ。




