第36話 過去の話(3)『このお話は本筋と関係ない蛇足です、ごめんね(笑)』
以上、蛇足話は終わり‼︎
次からちゃんと話に戻るよ‼︎
後、新作をそろそろ始めます。
今月中に更新開始予定‼︎
タイトルは『花乙女と死神王子の花想曲』。
最初ハード&シリアス→幸せに向かえ‼︎的な内容です。
なんかスッゲェ最初の予定と違う内容に変わったよ。
書き溜め頑張ります、はい。
よろしくね‼︎
なんと、可愛いカップルなのでしょうか。
ワタクシ、ブロッサムはそう思わずにいられません‼︎
だって、そう思いませんか⁉︎
こんな可愛いカップル‼︎ラブが溢れてるカップル、初めてですもの‼︎
ガイ君とモアちゃんはご兄妹と聞いてきましたが、グラン君とリジーちゃんは違うようで。
最初はただのパーティーメンバーなのかと思いましたが、この会話‼︎
「もぅ。今日一緒に寝てあげるから、ね?」
一緒に寝てあげるとか。
もうこの時点で、ただのパーティーメンバーじゃありませんね‼︎
「あら?このまま行くの?」
「あぁ、俺の精神安定のために。リジー、ぎゅうってしてくれ」
「うふふっ、いいわよ?」
お姫様抱っこで歩き出すだけじゃなくて、リジーちゃんが首に腕を回してほっぺにチューとか。
スキンシップ激しめ=カップル‼︎
おーいえす、ナイスカッポォォォォォォオ‼︎
「はぁー……本気で癒される」
「ふふっ、何それ。セラピーなの?」
「そーそー。リジーセラピーだから」
こんな好き好き♡オーラ全開のカップル‼︎可愛いに決まってるじゃないですか‼︎
いな、可愛くないはずがないっっっ‼︎
あぁ、マジで鼻血を出さないようにするだけで精一杯ですよぅ〜。
嫌がらせは困りますけど、こんな可愛いカップルを観察できるなら嫌がらせだって喜んで受けましょう‼︎
それぐらい、可愛い‼︎
………………。
…………………………。
あ、言っときますが。
ワタクシ、可愛いモノが好きなだけだあって変態とかではございませんからね?
お姉さんポジションで、こういう幸せなカップルの幸せな姿を見るのが、ワタクシの幸せです……(幸せのゲシュタルト崩壊……)。
*****
体力配分間違えてキャリー(ゲーム用語で弱い奴が強い奴のおかげで勝てたりすることを言うけど、今回はガチで荷馬車に乗せてもらって運ばれてる)状態になるガイとモアをしばいたり、しばいたり、しばいたり。
時々くる魔物を力抑えまくって、ふんわーりと殺したり。
特攻&フレンドリーファイア噛ましそうになる兄妹をお説教したり。
ストレスからリジーとイチャイチャしたり、キスしたり、ぎゅーってしたり、一緒に寝たり。
野営したり、町に泊まったり。
まぁ、途中で盗賊団の寝ぐらを八つ当たりで壊滅させた(なお、捕まってた女性は病院に預けたし、盗賊達も転移で近くの街に搬送した)のはいい思い出として………。
残る旅路もあと少し。
あと少しだと言うのに……最近ブロッサムさんの俺とリジーを見る目が凄いニヨニヨしてる今日この頃です、はい。
「おぉうっ……一緒に料理してるのぐうかわぁ……」
「依頼主にこんなこと言うのはアレだが、鼻血出てるぞ」
「貧血になるわよ?取り敢えず、レバーどうぞ」
俺とリジーは野営地で用意した夕飯……鶏肉を串に刺したモノを焚き火で炙っていた。
まぁ、普通の焼き鳥なんだが……タレがアレだ。
甘塩っぱい……焼き鳥のタレもどき。
タレの焼き鳥を食べたくてリジーと頑張って作ったんだよ。
…………ビール飲みたくなって、枝豆食いたくなったけど(※前世のグランヒルトは成人してます)。
「…………というか、お二人がお料理得意ですから周りの視線が痛いですねー」
ブロッサムさんはモグモグと食べながら呟く。
まぁ、ね。
冒険者の護衛依頼って固形食とかあんまり旨くねぇヤツばかりだし。
焼き鳥のタレって匂いがなぁ……。
「なんでアイツらあんな美味そうなの……」
「狡い……」
他の冒険者の文句が出てるけど、俺達は無視してご飯を食べる。
一応、こういうのは各パーティーごとに食べるものだから意地悪じゃないからな?
「あ、そうだ。この依頼終わったら、帰る前に戦闘訓練するぞ。ガイ、モア」
「「ふぇ?」」
ガツガツと焼き鳥を食っていた二人は俺の言葉に首を傾げる。
しかし、俺とリジーはニヤリと笑って告げた。
「だって、お前ら自身はクソ弱いぞ?なのに、ここまで来れてるのは単に魔族領の道に設置されている魔物避けのおかげだし」
まぁ、ディングス王国は物語の始まりとして魔物のレベル設定が弱いらしい。
でも、魔王領はラストステージ。
つまり、ディングス王国で強い程度の冒険者じゃ直ぐに死ぬ。
商人じゃもっと死ぬ。
それじゃあ問題になるということで、俺とリジーは各国と魔王領を繋ぐ道を整備して、そこに魔物避けの魔道具を等間隔で埋め込むことで安全な道の確保したんだ。
まぁ、魔物避けは魔王領の平均レベル(70レベル)くらいを中心に避けるようになってるから……生まれたばかりでレベルが低い魔物や逆に強過ぎる魔物、盗賊とかには効果がないから護衛が必要なのは変わらないが。
「そのランクまでなれたのはお前らの両親がさり気なくフォローしてくれてたからだし。今回の依頼も特に問題が起きてないのも俺らがいたから。同年代と比べたら強いんだろうけど、ちょっと調子乗ってるみたいだから潰そうかと」
「はぁ⁉︎何がっ……」
シュンッ‼︎
リジーの発動させた雷槍がガイの首に添えられる。
俺も一瞬でモアの首に食い終わった串の先端を突きつけていた。
「反論はさせないわよ?体力配分を間違えて荷馬車に乗せてもらったことだってあるわ。自分は強いって勘違いして特攻決めようとしたこともある。周りを見れなくてフレンドリーファイアなんて更に笑えない。でも、自分達じゃ子供に甘いから私達に託した感じかしら?」
リジーの予想は当たりだと思う。
あの二人、地味に子供には甘いからな。
じゃなきゃ俺達にもあんなに優しくしてくれないだろう。
「こんな簡単な攻撃さえも避けれないんだから、貴方達は自分の力を過信してるのよ」
「モーラさんが俺らと依頼を組まさせたのは、お前達の力量をちゃんと自覚させるためだと思う。だから、終わり次第反省を兼ねてみっちり教え込んでやろう」
「そうね……スイレンさんに頼めば、同年代の魔族を見繕ってくれるかしら?」
「あぁ。同年代の方が自分がいかに弱いかが理解できるな」
淡々と会話をする俺達に、ガイ達は目を見開いて固まる。
あぁ、味方に攻撃されるのは初めてか?
「言っとくが、同じパーティーだから味方だとは限らない。危険になれば容赦なく見捨てる。冒険者ってのはそういうものだ。それに、モアがよくやっているフレンドリーファイアは味方から攻撃されることだぞ?」
「なんでそんなに驚いてるのかしら?自分達がしていることを他人からされているだけなのに。威圧もかけてない優しい優しい攻撃でしょう?そんなに驚く必要はないわ」
呆然とする二人を見て、俺達は串と雷槍を退ける。
そして、再びモグモグと焼き鳥を食べ始めた。
「………あの……もしかしなくても……リジーちゃん達は強い冒険者なんですか?」
ブロッサムさんは恐る恐る聞いてくる。
俺達は互いに顔を見合わせて……ニヤリと笑った。
「ランクとレベルが比例するとは限らないってことだ」
「まぁ、そういうことね」
「………………なんと……つまり、ラブラブ最強カップル……なんか拝むとご利益ありそうですね♪」
ブロッサムさんは手を合わせて拝みながら、再び鼻血を垂らす。
……………さっきまで物騒な空気だったってのにこんな反応できるなんて……この人、逆に大物なのかもしれない。
「ふむふむ……ラブラブカップル………可愛い……ご利益……ふむ……?」
………………なんか……その時、嫌な予感がしたけど気の所為だと思うことにした。
*****
それから、魔物避けのおかげで特に戦闘もなく……無事に魔王領の中心都市に辿り着いた俺達は冒険者ギルドに報告をして、任務を終えた。
「んじゃあ、ブロッサムさん。また機会があればよろしくお願いします」
「お疲れ様でした、ブロッサムさん」
俺達が挨拶をすると、彼女は「いえいえ」と首を振る。
そして、満面の笑みで答えた。
「いやぁ、皆さんとの旅はとても楽しかったですし、新商品の参考になりました‼︎特にリジーちゃんとグラン君のラブラブっぷりが大変よろしゅうございました‼︎」
「………はぁ……」
「………そう…なの…?」
「えぇ‼︎もし機会があればブロッサム商会を覗いてみてください‼︎ではでは、さよ〜なら〜♪」
その後、俺達はスイレンさんに借りた訓練場で魔族の少年少女&ガイとモアを徹底的に鍛え上げて、自国に帰還するのだった………。
*****
「とまぁ、ブロッサム商会とはこんな感じで会ったんだが……まさか本当にご利益ありそうだからって俺達に似た人形を売り出すとは……」
ブロッサム商会との出会いの話を終えると、スイレンさん達はなんとも言えない顔になっていた。
俺とリジーは思わず首を傾げる。
「なんだよ、その顔」
「…………いや、聞いた話だと本当にこの人形を持ってるカップルってラブラブになるらしいんだよ」
「………………は?」
スイハの言葉に俺達は動きを止める。
アウラ様は本当に驚いた顔で、俺達を見つめた。
「まさか、本当にご利益があるとは……驚きですわね。人形でさえラブラブになれるってことは、お二人に拝めばもっとラブラブになるのかしら?」
「……………ブロッサム商会は我が領でもかなり有名になったからな。拝んだ人に合った、何かしらのご利益があるのかもしれないぞ」
そう言ってスイレンさんは俺達を拝み始める。
スイハとアウラ様も。
俺とリジーは、思わず真顔になって……ガチレスした。
「「いや、それ、プラセーボ効果だと思う(わ)」」
……………なんとも締まらない、過去の話だと思ってしまったのは仕方ないと思います、うん。




