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第12話 巻き込まれリジーさん


コメディってます‼︎

よろしくどうぞ‼︎


 







 その日、わたしは息子であるグランヒルトが連れて来た人物を見て絶句してしまった。



 まさか、子供が魔王を連れて来るなんて誰が想像できるんだ‼︎



「という訳で、父上。今すぐ各国に書状を送って頂きたいのです」


 グランヒルトはそう言う。

 魔王の元へ隣の大陸の勇者と共に乗り込み、友人になって……魔王が暴走する原因を解決したから、同盟組んで戦争が起きないよう(ついでに人間同士も)にしよう……など、考えることが子供じゃない。

 王としては優秀な王太子だと言えるが、親としては……いっそ不気味だった。


「えっと……魔王スイレン殿は、グランヒルトの言う通りにしていいのか?」

「構わぬ。そもそもの話、グラン殿とリジー殿が人間側にいるのだ。戦争になったとしてもこちらの負け戦だろうよ」


 魔王はケラケラと笑ってそんなことを言う。

 いや、笑い事ではないと思うのだが……。


「書状さえ用意して下されば、後は俺がなんとかします」


 グランヒルトの中では、もう何かしらの予定を立てているのか、そんなことを言う。

 わたしは恐る恐る聞いた。


「………具体的には?」

「その書状を中継として、通信魔法を使用します。そうすれば簡単に各国の国王の予定を把握できると思いますので。予定の確認次第、俺が転移魔法を用いてこの国に招待すれば時間の短縮になるかと」

「…………お前が?」

「えぇ。俺、時空魔法適正が高いので……魔力消費がほぼ無しで転移ができるので」


 ちょっと待て。

 時空魔法ってなんだ。

 そんな属性聞いたことがないのだが?


「グラン殿はとても優秀だな」


 いや、魔王よ。

 これを優秀の一言で片付けていいと思うのか?

 というか……こいつ、本当にわたしの息子なのか?

 わたしは……考えるのも億劫になって、溜息を吐く。


「好きにしろ」

「畏まりました、父上」




 ちなみに、この二週間後には各国の会合が開かれたのには、驚きを通り越して呆れてしまった。






 *****





 今日は、各国の王と魔王が集まる会合が行われる。


 ……っていうか、一介の公爵令嬢(幼女)も参加していいんっすか?


「グラン〜。私も参加しなきゃ駄目?」

「お前と俺は他国への牽制役だからな。出なきゃ駄目」


 応接室の一つで、私は薄桃色のドレスを着てソファに寝転んでいた。

 目の前には王族の衣装を纏ったグランが、書類を読んでブツブツ言っていて。

 うわぁ、眉間のシワが凄いね。

 顔が綺麗だから、そんな顔でもイケメンだけだ。


「っていうか、他の国の王様達。凄い驚いてたね」

「だな」


 本当に偶然、今日、王様達の予定が合ったんだよね。

 でも、一番遠い国は馬車で三週間かかるからさ。

 普通だったら無理だってなるんだけど……そこは我らが時空魔法の使い手のグランさん。

 昨日、全員の王様を転移で迎えに行ったら……まぁ、そりゃあ王様達の鳩が豆鉄砲を食らったよう顔は面白かったですよ。

 時空魔法なんて存在しないし?

 きっと直前まで仕事をしていて構わないなんて言われてたら、ふざけてると思ってたんだろうね。


「そろそろ時間か。行くぞ」

「はいは〜い」


 私はグランにエスコートされながら、会合を行う部屋へと移動する。

 あ、ちなみにアースとファイはウチのお屋敷でお留守番なうです。







 会議の間に入ると、どうやら私達が最後だったみたい。

 円卓の座に座った王様達が緊張した面持ち(スイレンさんだけはリラックスムード)で、私達を見た。


 ファディ王国の王様は熊みたいな赤毛のおっさんで、アクス王国の女王陛下は、青い髪の美女さん。

 グリーム王国の国王陛下は緑の髪の優男で、ラム王国の王様は好々爺然としたおじぃちゃん。

 そして、ウチのディングス王国の王様と魔王スイレンさん。


 私とグランはルーゼンヒルト国王陛下の横に立ち、一礼する。

 そして、発案者であるグランが口を開いた。


「本日はお忙しい中お集まり頂き、誠にありがとうございます。わたしはグランヒルト・ファイ・ディングス。この国の第一王子です。隣におりますのは婚約者のフリージア・ドルッケン嬢です。今回は関係者につき同席をお許し下さい」

「ご紹介に与りました、フリージア・ドルッケンですわ。以後お見知り置きを」


 二人揃って頭を下げる。

 顔を上げるなり、グランは本題に入った。


「要件は事前にお伝えした通り、魔王領と各国の同盟。及び、不可侵条約についてです。まずは先日の魔王スイレン殿との取引についてお話ししましょう」


 そうしてグランはこの間の魔王に直接カチコミについて話し始める。

 それを聞いていた王様達は徐々に困惑した顔になる。

 まぁ、そりゃそーだわな。


「つまり……フリージア嬢は《聖女》だと?」


 アクス王国の女王陛下がそう聞いてくる。

 それにグランは首を振った。


「いいえ。フリージア嬢は聖女じゃないです。チートです」

『…………チート?』


 王様達は首を傾げる。

 いや、ちょっと待って。


「いや、グランもチートじゃん。私だけチートみたいに言わないでよ」

「…………ちゃんと話すから待ってろよ。お前、喋ると残念なんだからちょっと黙って……」

「それ、酷くないっ⁉︎グランだって残念じゃん‼︎脳筋、戦闘狂‼︎」

「リジーと違ってちゃんと考えてるわ‼︎つーか、ステータスが物攻特化なだけで、王族としてもちゃんと動いてんだろうが‼︎」


 むみょんっと両頬を引っ張られる。

 ………物攻特化なのに、痛くないってことはかなり手加減してますな?


「………って、お前の所為で猫被りが剥がれたじゃねぇか‼︎」

「王子モードのグランはキモい」

「お前、あとでお仕置きな」

「えっちー」

「よし。お望み通りのお仕置きしてやんよ」

「ごほんっ‼︎」


 ルーゼンヒルト国王陛下の咳払いで私達は、ハッと我に返る。

 バッと周り見たら、王様達(スイレンさんだけは爆笑)はポカンっとしていた。


「相変わらず仲が良いな、グラン殿。リジー殿」

「…………お恥ずかしいところをお見せして、失礼しました」

「………失礼しました」


 ちょっと……いつものノリでいたら、恥ずかしいところを見せちゃったぜ。

 グランも若干恥ずかしそうな顔をしながら、話を続けた。


「えっと……取り敢えず‼︎魔王が暴走しなくなったんで、互いに傷つけ合わないように同盟を組みましょうって話です。ちなみに、魔王領と同盟を組むと、魔鉱石の貿易をしてくれるそうです」

『何と(ですって)(だと)っ⁉︎』


 グランの言葉に国王達は目の色を変える。

 それはそうだろうね〜……魔鉱石ってそう簡単に手に入らないし。

 私もスイレンさんに聞いたんだけど、魔脈が集まる魔王領だからこそ魔鉱石ができやすいらしいよ。


「アクス王国は賛成するわ」

「僕の国もです」

「儂のとこもじゃ」


 アクス、グリーム、ラム王国は全員賛同してくれる。

 現金だね‼︎

 ウチの国は発案国だから言わずもがな賛成ですわな。

 ………で、最後のクマ王は……。



「うーん……賛成してもいいんだが……ウチんところは力が全てだからなぁ」



 獰猛な笑みを浮かべるクマ王。

 …………あ、なんとなく察したわ。


「是非、魔王陛下と戦って……魔王殿が勝ったら賛同しよう」

「…………ほぅ?」


 スイレンさんはそれを聞いて、目を細める。

 えぇ……マジですかぁ……戦う気なの?

 面倒ごとになりそうだと思ったら、グランが「待って下さい」と声をかけた。


「ファディ王。それは少しお門違いなのでは?」

「………何?」

「この同盟の発案者は我がディングス王国です。つまり、スイレン殿もわたしの発案に賛同した側でしかないんですよ」

「なら、ディングス王国の者と戦うべきだと?」

「えぇ。力が全てなら魔王すらも凌駕する強者との戦いの方が胸躍るでしょう?」


 グランの言葉にファディ王は目の色を変える。

 魔王すら凌駕する強者……ってまさか。



「俺とフリージア嬢……どちらと戦いたいですか?」




 お前、巻き込むなら巻き込むって最初に言っとけや。







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