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第10話 ドキドキ☆魔王城(ふざけてる。)


コメディーに走りました。後悔はしていない。

よろしくねっ☆

 






 サンドラさん曰く。


 魔王とは濾過装置のような存在らしい。



 大陸に住む生き物の負のエネルギーが、大陸中に張り巡らされた魔脈(血管)に乗るので、そのままにすると大地が穢れ、不毛の地……死の大地になるらしい。

 そうさせないのが、魔王という存在。

 魔王が穢れた魔力を大地から受け取ることで、綺麗な魔力にして還元する。

 しかし……濾過時に、僅かばかりその穢れがこびり付いてしまう。

 それが原因で魔王は暴走してしまうだとか。

 ちなみに、魔族とは、魔王の補佐をする存在で、魔物はその穢れた魔力が凝集してしまうと生まれるらしく。

 暴走した魔王や魔族、魔物は倒されることでも綺麗になった魔力を還元できる。

 倒す以外の唯一の方法が聖女の使う神聖魔法……浄化。

 魔王も死なないし、また数百年単位で魔王として機能できるらしいので……サンドラさんは、浄化の魔法が使えるなら浄化して欲しいと願ったんだとか。


「え?魔王って不遇過ぎない?」

「うむ。しかし、それが魔王だ。それに妾達がおらねば人々が死ぬ。ならば魔王としての務めを果たすしかあるまいよ」


 サンドラさんは諦めたように言う。

 でも、ちょっとそーいうのは嫌です。

 はい。

 そんな理不尽、私が許せるかっ‼︎


「グラーンっ‼︎」

「はいはい。理不尽撲滅運動だろ」

「流石、グラン‼︎分かってるぅ‼︎」


 グランは呆れつつも、頷いてくれる。

 そーやって分かってくれる人、好き。


「要はその浄化ってヤツが定期的に行えればいいんだろ?」


 グランの言葉にサンドラさんが怪訝な顔をする。


「む?しかし、聖女はそうそう現れぬぞ」

「いやいや。ここにいるのはチート×2だから。えーっと……」


 グランは自身の両手を合わせると、ゆっくりと目を閉じる。

 そして、魔力を一気に放出した。


「うわぉ」

『ひぃっ⁉︎』


 マッキー達がギョッと後ずさるが、その魔力は一瞬で凝集される。

 グランが目を開くと同時に……その開かれた手の上には、一つの小さな石が存在した。


「やればできんな」

「何これ?」

「純度99%の人工魔鉱石」


 魔鉱石とは魔力を込めることができる石のことで。

 普通は土の中でできます。

 人工で作った人はグランが初めてだと思いまっす。

 あ、使用用途だけど……これに魔法を封じ込めることで、簡単に魔法が使えるのだ。

 つまり、水の魔法を閉じ込めたら水が出たりね。

 ただし、使い切りだけど。

 私はふむふむと頷いた。


「なーるー」

『いや、なーるーじゃないから(わ)(ぞ)っっ⁉︎』


 マッキーwithハーレムズが思いっきりツッコミを入れるが、私とグランはガンスルー。


「リジー。ここに浄化魔法ぶち込んで」

「おけ」


 私は言われた通りに浄化魔法をその石に閉じ込める。

 おぉ……純度が高いから高位の魔法が入る入る……。

 私は、魔法を込めた魔鉱石をグランに返した。


「じゃあ……これをこーしてっと」


 グランはそこに更に魔法をかけて細工をしていく。

 んー?何やってるかよく分からない……。


『魔法解析 取得』


 あ、分かるようになったわ。

 ほーほー、なーるーほーどー。


「普通に魔力を込めると、浄化魔法へと変換されて発動するようにしたんだ?」

「あぁ。ついでに、使い切りにならないよう……浄化魔法が維持状態になるようにした」

「………ん?でも、これって空間魔法じゃなくて時空魔法って解析出てんだけど?」

「ん?」


 グランは首を傾げる。

 確か、時空魔法なんて覚えてなかったよね?

 グランは「まさか……」と呟いて、ステータスを開く。

 そして、固まった。


「……………」


 どれどれ?

 私も後ろからグランのステータスを覗くと……。




 名前:グランヒルト・ファイ・ディングス

 職業:第一王子

 レベル:62


 体力:9450

 魔力:2400


 物理攻撃:10200

 魔法攻撃:200

 物理防御:350

 魔法防御:220

 速さ:2470

 運:190


 魔法:光属性 無属性 時空魔法

 特技:武器全適性 二刀流

 スキル:言語理解 状態異常耐性 詠唱短縮 攻撃力上昇 時空属性最適性化 狂化 挑発 威圧 手加減 魔法無効化 超集中 自動体力回復 瞬間強化 瞬歩 魔法解析

 称号:転生者 苦行を乗り越えた者 攻略対象 戦闘狂 フリージア溺愛家 竜殺し




 うわぁ。

 空間魔法が消えて時空魔法になってるよ☆


「え?何これ?進化?」

「えっ。魔法って進化すんの?ヤバくね?」


 私の言葉にグランはギョッとする。

 互いに顔を見合わせて数秒。


「「まぁ、チートだし驚くことじゃないか」」


 はい、結論それー。

 だがしかし。

 それを許さぬ者達が。


『いや、それで許されるとかない(ですわ)(ぞ)っ‼︎』


 うっさいぞ、マッキーwithハーレムズ。

 私とグランはそれぞれ、アースとファイを抱いて用意する。

 そして、マッキー達に振り返った。


「ねぇ、今から魔王んとこ行くんだけど。マッキー達も行く?」

「いや、そんなご近所に行くみたいなノリで行くところじゃないよねっ⁉︎」

「あ。行かねぇなら俺が送り返すけど」

「いや、行くよ⁉︎2人から目を離す方が大変な気がするからねっ⁉︎」


 マッキーもツッコミが大変だなぁ……。

 ではでは。


「《指令オーダー。転移先:魔王城。指定人数:10名+2匹。備考:魔王のいる場所》」


 え?

 いきなりラスボス行くん?

 流石のリジーちゃんもそれは驚きだぞ?


「《空間転移》」


 シュンッ‼︎って景色が変わったと思った次の瞬間には……私達は和風の屋敷にいた。

 …………えっと……うん。

 いうなら平安時代の屋敷?

 こうすだれっていうの?

 あーいうのが廊下と畳部屋を遮るようにぶら下がっている感じの……。


「何者だい。この屋敷に急にきたお前らは」


 ふっと声がする方に振り返ると、そこにいたのは薄水色の長髪を持つ……2本角の着物姿の人。

 いや、あれは……十二単?

 中性的な、美人なその人は……扇子で口元を隠しながら、スッと目を細めた。


「………アタイを殺しに来たんかい」


 ……………えっと…その、ごめん。

 その前に、色々とツッコミたいんだ。


「はい、質問です」


 私は思いっきり挙手をする。

 ……………しんっ……としたその空間。

 そして、着物さんは眉間にシワを寄せて「なんだい」と聞いてきた。


「あなたはお兄さんですか、お姉さんですか、オネエさんですか?」

「「ぶふっ⁉︎」」


 意味が分かるグランとマッキーが思いっきり噴き出す。

 着物さんは更に顔がしかめっ面になった。


「なんか、最後の単語はすっごいイラァとしたよ。おい」

「あ、オネエさんか……」

「テメェら水龍のアタイに喧嘩売ってんのか。アァ?」

「んで、ヤンキーさんだと……」


 ふむふむと頷く私と爆笑するグラン。

 マッキーはハーレムズに取り押さえられて、笑えなくさせられていて……。

 オネエさんはプッチーンときたのか、扇子を払うと同時に水刃をこちらに放ってきた。


「《反射》」


 しかし、グランが簡単にそれを反射させて水刃はオネエさんに放ち返される。

 オネエさんはギョッとしながら、魔法を解いた。


「一体……あんたらは……」

「あー……喧嘩しに来たんじゃねぇーんだわ。俺ら、あんたにこれを渡しに来たんだよ」


 グランはポイっと浄化魔鉱石を投げる。

 オネエさんも魔法解析を覚えているのか、それを見てギョッとした。


「浄化魔法が込められた魔鉱石っ⁉︎」


 オネエさんは慌ててそれを受け取る。

 そして、右左と色々な角度で観察した。


「嘘だろ……なんだい、これ……普通に魔力を込めると浄化魔法に変換されるようになってるし……なんだいこの、見たことがない魔法……これ、この石が壊れない限り、半永久的に浄化魔法を発動させることができるのかい……?」

「一応、魔王と魔族を指定してあるから。一度発動すれば、自動で魔族達も一緒に浄化できるぞ」

「はぁっ⁉︎」


 グランの言葉にオネエさんは、更に目を見開く。

 そして……パチンッと指を鳴らすと共に、彼の姿が光に包まれる。

 光が晴れると共に……オネエさんの姿は、陰陽師が着るような直衣に変わっていて。

 佇まいを正し、両手を前にスッとついて頭を下げた。


「先程は失礼した。儂は水龍のスイレン。少しばかり話をさせて頂いてもよろしいか?」





 ………オネエさん。

 さっきと雰囲気が丸変わりしてるよ?









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