第9話 グラン無双&魔王様特別講義
よろしくどうぞ‼︎
はい、こんにちは。
フリージアちゃんです。
現在の私達。
グランと仲良く樹海の中で正座中なう。
目の前には赤毛のナイスバディねぇちゃん。
ちなみにこの人がナターシャさんらしい。
ナターシャさんは私とグランを見て、大きな溜息を吐いた。
「…………もうこの際、転移魔法とかちょっと意味分からないことはひとまず置いておきますわ」
いやぁ、すまないね‼︎
チート様なんで。
「ですが、それとは別に‼︎子供が勝手に行動したら危ないでしょうっ⁉︎」
「いや、多分そこらの子供と一緒じゃない……」
「カズト様は黙ってらっしゃい」
「イエッサー」
マッキーは早々に引っ込みました。
おい、もうちょっと粘れよ。
「確かに、貴方達は強いんでしょうけどね?でも、幼い子供であるのは変わりないのよ。で、わたくし達はそんな貴方達の保護者代わりでもあるのよ」
「「………はい…」」
「なら、勝手に行かれたら困るのはわたくし達なのです。分ったなら勝手に行動しないの。文句あるかしら?」
「「………ございません……」」
いや……多分、私達の方が(精神年齢)歳上だと思うんだけど……鬼の形相になってるナターシャさんには勝てそうにないわー。
無理だわー。
すっげぇ恐いもん。
「…………はぁ……カズト様のお知り合いはどうしてこうも一癖も二癖もあるのかしら……」
「いや、それはオレの所為じゃ……」
「お黙りなさい‼︎貴方様に巻き込まれて今までどれだけ苦労したと思ってらっしゃるの‼︎」
「うぐぅっ‼︎」
………マッキー…勇者なのに弱くね?
尻に引かれてるやん。
「………マッキー弱いなぁ……」
「グランも思った?」
「うん」
「というか……思ったんだけどさぁ……」
「あー……それなー……」
私とグランは空を見上げる。
火口から凄い勢いで飛来してくる存在。
それは、本当に一瞬で私達の上空に現れた。
『Gugaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa‼︎』
赤い鱗に、大きな四枚翼。
鋭い牙を持つソレは、属性竜。
大空に、ファイアードラゴンと呼ばれる高ランクモンスターが飛行していた。
マッキー達はファイアードラゴンを見てギョッとし、それぞれの武器を構える。
「なっ⁉︎ドラゴンっ⁉︎」
「カズト様っっ‼︎」
ドラゴンは何も言わずに息を大きく吸う。
その動作は息吹の準備動作。
しかし、それが噴出される前に一閃が煌めいていた。
「あ。」
バッと隣を見ればそこには既にグランの姿がなくて。
ズルリッ……と胴体と首が離れ落ちる。
「うーん……ドラゴンも案外弱いなぁ……」
シュン‼︎と転移して戻ってきたグランはそのまま肩を揉んでいて。
いや、そんな軽いノリで倒せるようなモンスターじゃないんだけどね?
私達のステはちょっと……いや、かなーりおかしいから簡単だけどさ‼︎
ってか、その動き、ちょっとおっさんくさいぞ。
「つーか、問答無用で倒しちゃったの?」
「いきなりブレス吐こうとしたんだから、お互い様だろ。とゆー訳で蘇生よろ」
「………はぁ…」
まぁ、ね。
アースも腕の中で『そせーして〜‼︎』って主張してるから構わないけどね。
私は蘇生魔法を発動させる。
すると、アース時同様に目の前に現れる赤い卵。
ボケーっとそれ見てたら、お久しぶりにアナウンスが流れた。
『レベルアップ。特殊ボーナス取得』
………おぉう?
もしやしなくても蘇生すると特殊ボーナスでレベルアップする感じっすかね?
ということは、ドラゴンの経験値はほとんどグランが……。
「グランさんやい」
「なんですかい、リジーさんやい」
「お前さん、ステどーなってます?」
「……………」
目を逸らすグラン。
それを見て、私はなんとなく察しましたよ。
「…………ちょっと見せてみ?」
「…………引かない?」
なんか子供みたいに頼りない顔。
私は「うーん」と首を傾げて……ケラケラ笑った。
「いや、それは見てから判断するしかなくね?」
「うっ……」
「ほれほれ、見せてみ?」
「…………ステータス、オープン」
名前:グランヒルト・ファイ・ディングス
職業:第一王子
レベル:62
体力:9450
魔力:2400
物理攻撃:10200
魔法攻撃:200
物理防御:350
魔法防御:220
速さ:2470
運:190
魔法:光属性 無属性 空間魔法
特技:武器全適性 二刀流
スキル:言語理解 状態異常耐性 詠唱短縮 攻撃力上昇 空間属性最適性化 狂化 挑発 威圧 手加減 魔法無効化 超集中 自動体力回復 瞬間強化 瞬歩
称号:転生者 苦行を乗り越えた者 攻略対象 戦闘狂 フリージア溺愛家 竜殺し
「え?これ、化物じゃね?」
「…………それな……」
とうとう物理攻撃がレベル99(マックス)のモノよりも上の数値で表示されるようになってんですけど。
『ぷきゃーっ‼︎』
だが、そんな私達の思考はその無駄に可愛らしい声に遮られる。
バッと振り返ればそこには、卵の殻を頭に被ったデフォルメチビ化されたファイアードラゴンがいた。
『ファイ〜‼︎』
『アース‼︎』
アースを地面に降ろしてやると、ファイアードラゴンとキャキャッと遊び合う。
え……なんか無駄に可愛いんだけど?
グランもクスクスと楽しそうに笑っていた。
「やべぇ。超可愛い」
「だよね〜‼︎なんか癒される……」
ほっこりしていたら……ガシッと肩を掴まれた。
背後には……再び鬼の形相になっているナターシャさん。
「正座」
「「……………イエッサー……」」
はい。
ドラゴンについて、説明させられましたよ。
*****
ナターシャさん、ナターシャさん。
お綺麗な顔にシワが寄ってますよ。
あんまり険しい顔してると、シワが残っちゃいますよ。
まぁ、私達の所為だけどねっ‼︎
「………ドラゴンを殺して蘇生……ふふふっ…面倒これは現実ですの……夢だと言って欲しいですわぁ……」
ごめん、現実だ。
アースとファイアードラゴンはテケテケと私達の足元に来て、首を傾げる。
『ぱぱ〜、まま〜』
『おとーさんとおかーさんだ』
『おんなじだからいーの‼︎』
………おぉう……私とグランをどう呼ぶかで争ってんのかい。
ってか、ファイアードラゴンも私達の子供(仮)になるのが決定ですか。
まぁ、良いですけどね‼︎
「ってかさ?蘇生って何?」
私達の膝の上で眠り始めたチビドラゴン2匹を見ながら、マッキーが険しい顔で質問してくる。
すると、もう一人いた……褐色黒髪美女がすっごい顔で私を見つめながら……答えた。
「神聖属性の魔法じゃ。その名の通り、死んで直ぐの生物を生き返られることができる。というか……お主、聖女じゃったのか?」
「いや、悪役令嬢だよ」
「…………アクヤクレイジョウ?なるもんは分からぬが……蘇生魔法は神聖魔法の一つじゃ。使えるのは聖女ぐらいじゃよ‼︎」
「「………………」」
私とグランは顔を見合わせて険しい顔になる。
だって、私、中ボスですぞ?
敵役ですぞ?
「…………ってか、グラン君もリジーちゃんもそんだけ強くて神聖魔法使えるなら、魔王倒せるんじゃね?」
「「あ。」」
マッキーの言葉で私達は目から鱗が落ちた。
ほら、ね?
私の目的って、殺されないことだからさぁ……。
なら原因となるヤツを先にブッ潰したらオールオッケーになる訳じゃないですか。
既に私とグランは化物ステータス持ちですし?
普通に魔王を倒せそうなんですよね。
そうと決まればっ……‼︎
「あの……できれば倒すより浄化してやって欲しいのじゃが……」
……と、意気込んだのを止めたのは先程の褐色黒髪美女。
意味が分からなくて首を傾げていたら、それを察したのか、マッキーが彼女の説明をしてくれた。
「彼女は《第Ⅲの魔王》サンドラだよ」
「「ふぁっ⁉︎」」
私とグランはギョッとして魔王……サンドラさんを見る。
ていうかさっ⁉︎
マッキーってば魔王様もハーレムメンバー入りさせてのっ⁉︎
無駄に女性を集める才能持ってんだねっ⁉︎
「えっと……浄化って……」
「うむ。ならば妾が魔王について説明してやろう」
こうして、樹海の中の魔王様特別講義が開始された……。