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第8話 リジーさんだって立派な戦闘狂


今回も〜よろしくどうぞ‼︎


 







 転移系ハーレム勇者野郎と仲良くなった(私とグランはアンチハーレム勢だから、仲良くなったと言えるかな?)私達は、ついでに私達の事情を話した。


 乙女ゲームに転生したよ☆


 と、めっっちゃ簡潔に話したら通じたよね。

 だって、こーゆう展開シナリオめっちゃ多いもんっ‼︎


「改めて見ると、悪役令嬢に転生とかテンプレだよな。で、ヒロインも転生者パターンで、ゲーム通りにシナリオ進めようとしてザマァされる」

「それな」


 グランの言葉に同意する。

 マジで、このヒロインがプギャァされる系がゲシュタルト崩壊してるから。


「ってかお二人さんや?オレ、冒険者って聞いてたんだけど……第一王子と公爵令嬢とか流石のオレも驚くんですけど?」

「そうか?」

「ってか、オレよりチートってるよね?狡くね?」


 ちなみに、ハーレム野郎は全属性魔法使えたり、全武器適正があったりしなかったらしい。

 光属性特化の片手剣使い(騎士に近い感じ)なんだとか。

 ゲームグランそっくりっすね。


「魔王倒せるぐらいになるんだから、充分チートじゃない?ってか、ハーレム作ってんだからそれぐらいで文句言うなよ」

「………あの…リジーちゃん…?さっきから言葉のトゲが凄くないかな?お兄さん、泣きそうなんだけど?」

「グラン、抱っこ」

「いいぞ〜」

「ガンスルーっ⁉︎」


 本能的にハーレム野郎を拒否ってんだよ。

 諦めろ。

 あ、ちなみに抱っこを所望したのは……抱っこされてる方が落ち着くからだよ。

 ハグはストレス発散になるって言うでしょ?


「……取り敢えず、戻るか。クエスト受けて、金稼がなきゃいけないし」

「絶対それ、王子のセリフじゃないって」

「うるせぇ、マッキー。去勢するぞ」

「ねぇっ‼︎グラン君も塩対応過ぎないっ⁉︎」


 ギャーギャー文句を言うハーレム男……略してハム男を放置して、グランは私を抱き上げたまま歩き始める。

 流石、体力オバケだね。

 私を抱いたままでも全然、余裕ですやん。


「というか……聞いたステータスなら、ここら辺のクエスト、弱過ぎるんじゃない?」


 歩きながら聞いてくるハム男に、私達は唸る。


「でもギルドランク低いし……ギルド通さないで素材売ってなんとかするってのもできるけど……それはそれで面倒なんだよなぁ……」


 はっきり言って、ギルドを通さないでお金を稼ぐことはできる。

 でも、そうするとギルドに仲介料が入らなくなるからギルドからちくちく言われるようになるらしいんだよね(ギルドの気のいいおっちゃん談)。

 てか、あんまりギルドで仕事受けないで素材売りでお金稼いでると、資格剥奪になるらしく……身分証代わりでもあるから、なくなるとツライらしい。

 王侯貴族は身分証があるけど、平民にはないからね。

 犯罪歴の有無を調べて作るギルドカードが身分証代わりになるから、街を行き来する時には大事なんだよ。


「うーん…なら、オレらのパーティーとユニオン組む?」

「「ユニオン?」」

「言っちゃえば同盟みたいな感じだな」


 ユニオンとは、異なるパーティーで申し込むことができる組織名みたいなもので。

 分かりやすく言っちゃえば協力関係にありますよ〜ってヤツらしい。

 ユニオン内のパーティーが困ってたら、他のパーティーがサポートするし。

 ユニオン内のパーティーが受注したクエストに、参加することもできるとか。

 ユニオン内でのクエスト受注は、あくまでもその受けたパーティーのランクに合わせるから……参加することになったパーティーのランクが低くても問題ないらしい。

 つまり、ハム男のパーティーのランクに合わせたクエストに参加できるってことだ。


「いいけど……リジーは?」

「私もいいよ‼︎」

「じゃあ決まりだな‼︎」


 あぁ、やっと大暴れできる‼︎

 そんな私と同じ胸中なのか、グランもそわそわしていた。

 楽しみだよね‼︎





 *****





 ギルドにてユニオン申請した私達は、とても驚かれた。

 何故かって?

 ハム男のパーティー……《黎明の光》は、世界的にも有名なパーティーだったらしく。

 有名な理由は、ほら……強いのとハーレムだよ。

 …………うん。

 で、今。

 ナイスバディなねぇちゃん達に囲まれてます。


「可愛いですわ〜」

「いやん、お肌ぷにぷに〜」

「将来は美少女だな‼︎」


 赤毛の貴族みたいな令嬢とか、セクシー系とかワイルド系とかクール系とかよりどりみどりだなぁっ⁉︎

 ちなみにグランはねぇちゃん達が抱きつこうとしたのを、やんわりと断っていた。

 リジーに疑われるようなことをしたくないので、って。


「リジーちゃんはグラン君に愛されてるのねぇ」

「あぅ」

「顔真っ赤だわ〜‼︎」


 胸のデカイねぇちゃんに抱きつかれて窒息しそう……。

 それを見たグランがサッと助けてくれました。


「巨乳に負ける……」

「俺はリジーの身体の方が好きだぞ?」

「それをセクハラと言うんだよ、グランさん」

「お前が好きだからそう言うんだよ」


 ………くそっ…これが攻略対象のスペックなのか。


「…………微笑ましいわぁ…」

「カズトもグラン君くらい積極的だったら良かったのに」

「へたれ」

「うぐっ‼︎」


 ねぇちゃん達にジト目で見られてしかめっ面になるハム男。

 ざまぁみろ。

 ハム男は誤魔化すようにパンッと手を合わせた。


「よーしっ‼︎取り敢えず、グラン君とリジーちゃんが大暴れできるクエストを選ぼう‼︎」

「声デケェんだよ、しばくぞ」

「だから、ここら辺のクエスト弱くて暴れられないんだってば」


 2人でハム男の脛を蹴る。

 グランの方はバキッ‼︎とか折れる音がしたんだけど、大丈夫だよねっ⁉︎


「……おっ…骨折れた……」

「弱っ」

「マジでグラン君、酷くねっ⁉︎」


 とか言いつつ自分の魔法で骨を治してるハム男。

 グランがはしゃいでるのは仕方ないんじゃないかな?

 同郷の同じ男だし。


「えーっと……この大陸でそこそこ高ランククエストが多いのは……」

「ファディ王国ですわ」


 この大陸って中央が魔王領、その周り囲むように五つの国がある。

 ファディ王国ってのは火山が多い国ね。

 温泉が有名らしいよ。


「あー……でもこの国からそこまで行くのは大変かぁ……」

「問題ない。行こう」


 グランが私の手を引いて歩き出す。

 ハム男達が怪訝な顔をしてついてくるけど……意味不明だろーね。


 王都の外に出た私達は、人に見つからないように魔の森に来る。

 そして、グランがニヤリと笑った。


「《指令オーダー。転移先:ファディ王国王都近郊。指定人数:10名+1匹。備考:人の気配がないところ》」


 足元に魔法陣が発動する。

 ハム男達がギャーギャー言ってるけど、関係なしでグランは宣言した。



「《空間転移》」



 視界が光で染まった次の瞬間……私達は、人気のないさっきとは違う雰囲気の森に転移していた。

 流石グランさん。


「よし、ついたぞ」

「…………チートですやん」


 ハム男達もさっきと比べて空気が熱くなっているのを感じているんだろう。

 空を見れば火山の煙が黙々と出ていて……あぁ、樹海ジャングル的な感じか。


「リジー」

「南2キロ先のに敵性反応あり。その更に奥5キロ先に街があるよ」

「王都だろうな。まずはそこへ行くか」


 ポカンとするハム男達を置いて歩き出そうとするが、ガシッと赤毛のねぇちゃんに止められた。


「どういうことですの?」

「どういうって…転移しただけだけど?」

「転移ぃっ⁉︎」


 ねぇちゃんがギョッとして、グランに更に説明をさせようとしている。

 ………長くなりそう。

 てか、待ってるのダルいし。

 よし。


「グラーン、先に暴れてくるよ〜」

「あ、ずりぃ‼︎」


 私はグランを置いて走り出す。

 なのに、グランさん追いついてきたっ‼︎

 ステの差かっ……‼︎

 隣に並走したグランはニヤニヤしながら聞いてくる。


「大丈夫かぁ〜?抱えてやろうか〜?」

「馬鹿にしてやがるだろっ、お前っ‼︎」

「ふはっ‼︎お先‼︎」


 グランは私を置いて走り始める。

 強いかもしれない敵と戦えるかもってテンション上がってやがるな、あの戦闘狂バトルジャンキーめっ‼︎

 このままじゃ先に敵を狩られるっ……‼︎

 なら……っ‼︎


「《迅雷》‼︎」

「へっ⁉︎」



 バリバリバリッッッ‼︎



 私は一迅の雷となって、2キロ先にいた魔物を貫く。

 よっし、勝った‼︎


「…………えぇ…それは反則じゃね?」


 なんだかんだと私の直ぐ後に来たグランは、ちょっと拗ねたような顔をしていて。

 私は無い胸を張って「ふふん」と笑った。


「いーんだもん。やったもん勝ちだもん。グランが喧嘩売ってくんのが悪い‼︎」

「………まぁ、いいけどさぁ…」

「でも、ここらの魔物も弱そうだよ?」

「………マジかぁ……」


 グランはそれを聞いてガクッとテンションがダダ下がりになる。

 ………うーむ…チートもチート過ぎると障害だね。

 いっそのことこの国全域に索敵魔法をかけてみようかな?

 1匹ぐらい強い魔物もいるかも。


「…………取り敢えず…マッキー達を待つか。置いてきたし」

「…………あ。」





 マッキー達の存在、忘れかけてたわ。







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