第5話 恐怖は忘れたころにやってくる。
ああ…また遅れてしまいました。((+_+))受験生ということで、遅れることは勘弁してほしいです。
「おーいライク。」
人間を閻魔界に案内してから、閻魔大王様から話しかけられました。
「はい。なんでしょう?」
「いや、ちょっとな。お前に金を渡すのを忘れていてな。」
お金…は確か、人間が定めたルールの中にある欲しいものと交換するものでしたね。でも、死神は食事をする必要が無いので要らないのでは?
「物を買っている姿も無いと、『人間じゃないかも』なんて疑われたりするんだよ。じゃこれ、あまり無駄遣いしないようにな。」
そういうことでしたか。そして、手渡された『お金』というものは多量の紙が細い紙で束ねられていました。
「…これ本当に『お金』なんですか?」
「あぁそうだ。それで物の取引をするんだ。あと、ライク。お前まさか飛んだりしていないよな。」
「え…?結構、登校する時に飛んで…」
「やっぱりか…なぜ今までバレなかったんだ?」
「結構上空を飛んでいたんですが…バレるとは一体…?」
私は、閻魔大王様から言われた言葉に衝撃を受けました。
「え!?人間って空を飛べないんですか?」
「ああ、飛べない。飛べなくて嘆いてるくらいだ。」
そんなに人間が下等生物だったなんて……。あ、だから人間は乗り物に頼っていたんですか。自分達の体の機能として足りない部分を、テクノロジーで補っていたんですね。なんと同情を誘う生き物でしょうか。そんなことをしたら、もともとあった人間の機能まで衰弱してしまうというのに…。
「まぁ、今後は空を飛んで登校しないことだ。分かったな、ライク。」
「はい。分かりました。」
そうして、私は閻魔界を後にしました。
「はい。じゃ、今日の授業はここまでね。」
チャイムと同時に、先生はそう言ってクラスを後にしました。今日の学校はここまでのようです。さてと、私は帰って任務を遂行しますかね。
「ねー、佐藤君。」
…一瞬感じた恐怖心は気のせいであるといいんですが……
「この後一緒にお茶しに行かない?」
「……はい?」