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戻るべき日  作者: 半間浦太
9/17

9話(過去話)


 僕がまだ転生ループを繰り返していない頃の話だ。

 西暦2018年7月7日、正確には7月6日の深夜12時頃だ。

 どうやら、その時間帯に僕は殺されたらしい。



『彼女』が行方不明になったという知らせを聞いて、僕はあちこちを探して回った。まだ転生ループが起こる前の状態だったので、人間の姿で探して回った。

『彼女』を探す僕は、彼女を狙う誰かにとって邪魔な存在だったのだろう。だから、深夜に僕が疲れ切って眠った頃に、その誰かが僕を殺した。

 実際に僕を殺した誰かが明らかになっていないので真実かどうかは分からないが、ひとまず僕はそう推測している。



 次の日の朝、僕はカマキリになっていた。



 僕は酷く混乱した。鏡を見て、ようやく僕がカマキリになっていることを知った。

 テレビのリモコンを押してディスプレイに表示された日付を見ると、2018年の7月6日と表示されていた。

 おかしい。昨日は確か、7月6日だったはずだ。今日は7月7日のはずだよな。

 テレビが間違えているのか? いや、それは無いだろう。むしろおかしいのは、自分の方だ。

 そもそもの話、僕はなんでカマキリになってるんだ?

 何がどうなってるんだ?


 その日、僕は家の外に出られなかった。

 そりゃそうだ。窓も閉まってるし、玄関のドアもロックされている。カマキリの体じゃ窓も開けられない。玄関のドアノブなんて、カマキリに回せるか?

 何をやっても家の外に出られないと知った僕は、やることもなく、呆然とテレビを見続ける羽目になった。

 その日は深夜12時まで、ずっとテレビを見ていた。

 深夜12時を過ぎた瞬間、僕の意識は暗闇の中に落ちていった。



 目を覚ますと、今度はカラスになっていた。

 テレビのリモコンをクチバシでつっついて、日付を確認した。ディスプレイに映る日付は、2018年7月6日だった。番組の内容も、昨日と全く同じだった。

 わけが分からなくなって、僕は部屋の中で一人、暴れ回った。

 暴れに暴れた末、僕は少し冷静になれた。


 僕は今、どうなっているんだ?


 黒い羽根が舞う部屋の中で、僕は自問自答を重ねた。

 深夜12時を回るとなぜか意識が無くなる。目が覚めると他の生物になっている。しかも、同じ日を繰り返している。

 これって、あれか。噂に聞くループものか。しかも転生ものか。

 まさか僕がそんな目に遭うとは思ってもいなかった。

 とりあえず、家の外に出る手段を考えなければならない。

 そして、『彼女』を見つけて保護しなければならない。



 次の日の朝、僕は亀になっていた。

 何も出来なかったのでテレビを点けて、ずっとディスプレイを眺めていた。お笑い芸人が漫才をしていた。ちっとも笑えなかった。


 次の次の日の朝、僕はリスになっていた。

 相変わらず何も出来なかったのでテレビを点けて、ずっとディスプレイを眺めていた。ニュース番組では○○県××市で事故が発生したと報じていた。しばらく僕は、ニュースを眺めていた。そして、『彼女』が誘拐されたのはこの事故現場と推測した。なぜなら、僕が彼女にプレゼントした髪飾りが事故現場に落ちていたからだ。


 次の次の次の日の朝、僕は人間になっていた。

 僕は玄関のドアのロックを外し、家の全ての窓を開け放った。

 フードを被り、マスクをして、事故が起きる予定の場所に赴いた。

 そこで僕は、朝から晩までずっと見張りをしていた。結果分かったことが幾つかある。午前7時頃、『彼女』はこの場所を通りがかる。そこへ車が突っ込んできて、B級映画で見るような手口を使って、黒服の男たちが『彼女』を攫う。

 助けなくては、と思ったけれど、黒服の男たちの動きはあまりにも迅速すぎた。僕が駆け付けた頃には、『彼女』を乗せた車は既に走り去っていっていた。

 どうにかして車を追跡できないかと思ったが、人間の体では無理があった。警察にも一応相談したが、深夜12時を過ぎると、やっぱり僕は意識を失った。



 次の日の朝、僕は蝶になっていた。ほとんど何も行動できない転生だったけれど、収穫はあった。


 窓が開け放たれていた。ドアのロックも外されていた。


 前回のループで行った行為が、次のループでも有効になっていたのだ。



 次の日の朝、僕はハトになっていた。僕は家中を飛んで回り、窓とドアを確認した。


 窓は開け放たれ、ドアのロックも外れていた。


 やっぱりだ。前回のループで行った行為が、次のループでも一部有効になっている。

 僕は嬉しかった。ループで培った経験や行為は、蓄積する。


 お陰で、よほど変な生物に転生しない限りは、家の出入りが自由になった。

 ループが完璧じゃないと知ったのは、この時からだった。

 そうだ。ループは完璧じゃない。だったら、『彼女』を助け出すのも可能なはずだ。

 そう思い、今に至る。


続きます。

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