5話
午前6時00分
僕の家は粉々に吹っ飛んでいた。
仕方がない。僕は巨大な三毛猫に転生してしまったのだから。
あいつらの居場所は前々回の転生で把握していたので、先回りして研究施設を壊すのは簡単だった。
やってやったぞ、という満足感や爽快感は無かった。
むしろ、あまりにもあっけなく壊れてしまったので、「やばっ、やりすぎた!」と焦ったぐらいだ。
『彼女』の安否が気にかかった。
瓦礫を取り除くこと数時間。
幾ら探しても、彼女は見つからなかった。
山道を上ってくるパトカーが見えたので、やむを得ず、僕はその場から退避した。
近くの崖で一休みしていると、背後からおっちゃんの声が聞こえた。
「だから言ったんだ。『無駄だ』と」
ああ、うん。そうだね。
ていうか、なんでこのおっちゃんは僕の後ろを取っているんだろうね。
「量子コンピュータは知ってるか?」
まあ、何となくは。
「ニュートリノは?」
ちょっとは。
「じゃあ、そこから先の説明は簡単だよ。彼女はニュートリノ走査にかけられ、量子情報体として各国の量子コンピュータに保存された。
彼女はクラウド化された。肉体は存在しない。
だから、どこを探してもいない」
はい?
続きます。