4話
午前6時00分
禿げたおっちゃんが、猿になった僕に忠告した。
「あー、聞こえるかね? 警告する。君は彼女を追跡しているようだが、君が何をしても無駄だ。
彼女の脳はとても有意義だ。このままこの街にいるよりは、あの施設にいる方がいい」
ここから更に、約10分ほど説教を受けた。
おっちゃんが言うには、彼女の特殊能力はとんでもない代物らしい。
拡散した意識を集めて元の器に戻す行為は、確率の雲を操作してしまうに等しいんだそうだ。しかもそれは、余波として宇宙自体を転生させてしまうらしい。
少し科学っぽい言い方をすると、あのとき彼女が僕を蘇生させた瞬間に、この宇宙はビッグクランチを起こして、新たな宇宙がビッグバンによって誕生していた、とかそういう感じらしい。
で、あいつらはそれを知っていて、ビッグクランチ後の今の宇宙をビッグバン前の状態(僕が死んだままの宇宙だ)に戻すために行動している。そのために、彼女の能力が必要なんだそうだ。
う~ん。
なんだ、全部僕のせいか。
でも、あいつらはなんで宇宙が転生していることを知っているんだろう?
あてずっぽうってわけでもなさそうだし。
もしかしてあいつらの中には、彼女と同じように、宇宙の転生状態を理解できる能力を持った人がいるのかもしれない。
あ、もしかして、このおっちゃんがその能力を持った者なの?
「ま、そんなところだ」
ふーん。
ま、いいけど。
僕はベッドから乗り出した。
彼女が攫われた場所に向かいたかった。
おっちゃんは溜息をついた。
「まだ探すのか。無駄だと思うぞ」
僕は、おっちゃんに警棒で殴られて死んだ。
午前6時00分
僕は、巨大な三毛猫になっていた。
続きます。