加瀬良子の作戦②
掃除が終わった人たちから制服に着替えていた。
私は後片付けで教室に戻るのが遅かった。
「だから!」
教室から何やら言い合いみたいな声が聞こえた。
うちのクラスだ。
「加瀬さんが柚葉をいじめてるの!
柚葉が言ってるんだから本当だよ!!」
この声は……沙耶だ。
「そうだよ…!みんなで加瀬さんに言わなきゃ!」
こっちは絵里か……。
「おい雪哉。お前も一緒に柚葉いじめてねーよな?」
将ちゃんまで……!?
私は走って教室に入って行った。
「私いじめてなんかない……!」
「あ、張本人さんとうじょーう。」
私の体を使ってる加瀬良子はニヤニヤ笑っていた。
「…花宮」
甲賀くんは私の体の腕を掴み耳元で何かを囁いた。
「……っ!」
私の体をした加瀬さんは慌てて腕を振りほどいた。
「あ、みんなごめんね…あたしの勘違い立ったっぽい……あはは」
周りは急に静かになった。
「みんな?」
「ココ最近柚葉の様子おかしいよね」
「みんなに優しかった柚葉じゃない。」
「花宮こんな性格じゃなかった」
「まるで別人みたい」
「なぁ、みんなのアイドルだった花宮はどこ行ったの?」
クラスのみんなが不満を言い出した。
みんなは気付いていたんだ。
私は嬉しくなり泣き出してしまった。
「加瀬さん!?どうしたの?!」
絵里と沙耶が駆け付けてきた。
「……チッ!」
私の体はそのまま教室から出ていった。
****
なんで?どうして?なんでバレてるの?
『お前の正体は分かってんだぞ加瀬良子』
甲賀にさっき耳元で言われたことが頭の中に残る。
クラスのみんなも……気づいてるなんて。
「これも全部、全部あいつのせいよ!!!」
「加瀬さん!!」
後ろから誰かがやってきた。
「お前、ほんとムカつく。」
当然誰が来たのか分かってる。1人しかいない。
「加瀬さん、いい加減私の体返して。」
「嫌だよ。せっかく幸せなのに。」
「どうしてこんなことするの?!」
「あんたには分からないわよ。みんなにチヤホヤされて生きてきたあんたには!」
あたしは自分の体を蹴飛ばした。
「うっ……」
倒れたところを上に乗った。
「イイコト教えてあげる。今度あたしと将ちゃんエッチするの。」
「……は!?」
「ふふふ。将ちゃんと楽しい夜を過ごすね♡」
そう言ってあたしは歩き出した。
「将ちゃ〜ん♡」
「どうした?」
「んーん。キスして?」
「ったくしゃーねーな」
早く……将ちゃんを手に入れたい。
全てあたしのものに……。