戻る瞬間②
どちらも昏睡状態が続いた。
「もう3日も眠ってるのか……」
「脳波には異常ないって言ってたしな。」
「あとは、気持ちの問題かな」
「なぁ雪哉」
「ん?」
「お前柚葉とどーなったの?」
「……」
突然振られたこの話題に対してなんと答えればいいのか迷っていた。
「あ、わり。いや…そのなんつーかさ。」
「うん」
「やっぱり何でもないや。」
将哉が珍しく言葉を詰まらせた。
「将哉……その。」
「俺さ、文化祭の時金谷さんに告白されたんだよ。」
「金谷さんって……柚葉の友達の?」
「そう。それで俺思ったんだ。」
「何を……?」
「柚葉の事はたしかに好きだ。でも、加瀬との事もあったし、これ以上柚葉を傷付けたくない。だからちょっと考えてみようかなって。」
「金谷さんのこと?」
「うん。いつもならすぐ断るんだけど今回は考える。」
「……そっか。」
「だからお前は、柚葉を幸せにしてくれ。
俺が出来なかった分、お前が。」
「……ま、さや……」
「……ちょっとジュース買いに行こうぜ」
「そ、だな。」
俺らは病室から出て自販機へ来ていた。
「どちらかが目を覚ましたそうですよ!!」
ジュースを飲んでると看護師が涙をためて声をかけてきた。
それを聞いて俺らは病室へと向かった。
****
ガラッ……
「……………目を覚ましたんだね。」
「……………加瀬さん。」
俺も将哉も言葉を失った。
「……」
加瀬さんは勝ち誇った様に笑った。
「おはよう。将ちゃん。雪哉。」
そして思い出した。どちらかが戻ればどちらかが死ぬ。つまりこの状況だと、死ぬのは……………
「……………あ……え……」
俺はその場に座り込んだ。
『甲賀くんのことが好き』
もう柚葉に会えなくなるのだろうか。
本物の柚葉から聞きたかった。
全部全部戻ったら……って思ってた…。
柚葉はもう、戻ってこないのだろうか。
「雪哉。そんな顔しなくても……」
「おい加瀬、柚葉はどうしたんだよ」
「柚葉はちゃんと隣にいるよ。体も、中身も。」
「……それでも、目が覚めなきゃ……………」
将哉もその場に座り込んだ。そして泣いた。
声を殺すように、噛み締めるように。
「どうして2人はあたしが目を覚ましたのに喜んでくれないの?」
この質問に対して俺らは無言だった。
「……………そんなに柚葉が大事なの?」
「……………ったりめーだろ!!!」
将哉が声を荒らげた。
「神様はあたし、加瀬良子を選んだのよ。」




