将哉と良子
あの後、俺(将哉)は柚葉(の体)と俺の家に来た。
「おじゃまします」
リビングには母さんが居る。
「あら、将哉帰ったの?」
「母さんこそどうしたの。こんな時間に」
「ちょっと晩御飯で足りないものがあって買ってくるわ!……って柚葉ちゃん!?」
「えっ!?あ、どうも……」
「……久しぶりね〜柚葉ちゃん。なんか昔と少し雰囲気変わったわね。前はすごくいい子だったのに。 」
「……」
「か、母さん買い物気をつけてね!」
俺は柚葉の背中を押して階段を登った。
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「ねぇ、将ちゃんさっきの……」
「ん?何だよ今更。何度も俺ん家来てるだろ?」
「え?!」
「え?!って俺ら幼なじみじゃん。で、幼稚園の頃よく遊びに来てただろ?」
「……え、あ、……そうだね?」
戸惑い始める柚葉。
「なぁ柚葉。隣きて」
「あ、うん♡」
俺は幼稚園のアルバムを取り出した。
「これ、覚えてる?」
「……?」
「柚葉さ高いとこ怖いくせに木登ってさ、降りられなくて泣いてるとこを写真撮られてて、『笑ってないで助けてよ〜!!』ってもっと泣き出して。面白かったな〜」
「そ、そうなんだ?」
「なぁ、ほんとに覚えてないのか?
俺が小学校の時自習の時にクラスの奴にからかわれて大声で柚葉に告白したことも。」
「お、覚えてるよ!?もちろん……」
冷や汗が増え始めた。
「じゃあ、俺が柚葉に告った時の言葉は?」
「え?!」
ほら、答えられない。
しばらくしてから柚葉は俺に抱き着いてきた。
「もう将ちゃん!そんなのはいいから…♡」
俺は無言で柚葉を引き離した。
「将ちゃん……?」
「雪哉にさ、お前のこと聞いたよ。最初はビックリしたから『顔がタイプで付き合ってる』って言った。でも、本当はそれ聞いてからお前をちゃんと見た。やっぱり柚葉じゃない。」
「違うよ将ちゃん!」
「柚葉は誰からも好かれていて、礼儀正しくてリーダー的存在で可愛くてちゃんと周りを見てる。」
「……そんなの!」
「俺が好きだった柚葉をどこにやったんだよ。」
「違うの将ちゃん…。」
「違わない。」
「ねぇ、将ちゃん…。ちゃんと、ちゃんと戻るからそれまではあたしと付き合って……」
「ちゃんとって?いつ戻るの?戻り方知ってるの?」
「知ってる。だから絶対戻る。お願い。」
「……今日はもう帰ってくんねーかな。お前の顔見たくねー。」
「……うん、ごめんね将ちゃん……」
柚葉は鞄を持って部屋を出た。
「……柚葉の中身は、加瀬の中に居るのか……」




