探索と邂逅
ーーー第一村び…異世界人を探すとなると、あの音楽が聴こえてきそうです
日がだいぶ傾いていたのでますば睡眠をとることにした。はじめは食料の確保も考えたが、こうも暗くなっては歩き回るのは危険だと判断し、なんといっても魔物がでるかもしれないという不安もありそのまま寝ることにしたのである。幸いにも、大木には樹洞があったのでその中で一晩を過ごした。
日の出とともに目を覚ます。周りの風景が自分の部屋でなく大木の中であるということに、まだ起きかけの頭は若干混乱はしたが、異世界に来たのだということを思いだし手早く準備をする。
一通り準備、といっても傍らに置いてある書類の束にもう一度ざっと目を通すぐらいのことではあったのだが。
そして、いざ人を探しに行こうと思ったはいいが、この丘の周りは見渡す限り草原、唯一大木があるだけであった。
とにかく行く方角を決めねばなるまい、と木の棒をたてて倒れた方向へと進むことにした。
ーーーーーこてん。
進む方角も決まったので書類を片手に歩きだす、ーーー歩きだそうとして武器になりそうなものを持ったほうが良いかと思い直し、先程の木の棒を持って再度歩き始めた。
「うん、やっぱ木の棒は良いな。最初は武器ぐらいになれば良いと思ったけど、ただ単に持ってるだけでテンションあがるなぁ!」
なんとも男の子らしい、子供というレベルの歳ではないのだが、そんな心持ちで意気揚々と草原を歩いていく。
ーーー 一時間後。
「んー、でもあれだな。人っ子一人いねぇな、動物さえいねぇ…」
うってかわってやや寂しい気持ちになっていると、ガサガサッ!!っと前方の長草が揺れた。
目を凝らしていると、ピョコンと兎の耳らしきものがでて、次に白いもふもふが見えた。間違いない、兎だ。体格は元の世界と変わりがないようでひとまず安心だと思った。
だが、次の瞬間!俺は自分の目を疑った!
なんとその兎が二足歩行で、とてててててててと忍者走りのような走法で向こうに駆けて行ったのである。
「あぁ、やっぱりこの世界は異世界なんだな。」
そう確認するには十分であった。
気を取り直して探索を再開する。この後さらに他の動物も見かけたが、みな見た目は同じなのに動きがまるで異なっていて驚くのすら馬鹿馬鹿しいほどであり、乾いた笑い声しかでなかった。
どれくらい歩いただろうか。日は天高く昇り、もはや後は傾くのみとでも言いたげなぐらいには時間が経っていた。
(そろそろ本格的に食料と水の確保を考えなければいけないな。)
如何せん、人に出会えればどうとでもなると考えていた朝の俺が仇になってしまった。
動物はまだ数える程ではあるが、しっかりと何種かと遭遇、発見できていた。しかし人には全く会えていなかった。
仕方なく目標を人から動物もしくは水のある場所に思い直し、さらに草原を進んでいく。
すると、さして時間も経たないうちに視界の右奥にとてててててててと走る物体を見つけた。よし、早速食料確保だ!と駆け出そうとしたが違和感に気づく。
(なんだ?兎かと思ったがなんか身体でかくね?しかも走り方が人間のそれっぽいな。でも頭から兎の耳生えてるから兎なんだろうけど…しかも心なしか必死だし…)
そしてその物体はこちらに向かってきていた。まぁなんでも良いから食料確保だと違和感を頭の隅に追いやり、物体の進路上にとびだしてそれを確保する。
「ふぎゃ!?」
「…ふぎゃ?」
…なんだ?聞き間違えたか“ふぎゃ”って言ったような気がしないでもないのだが。
おそるおそる腕の中に確保したものを見やると、それは紛れもなく人間の子供であった。ウサミミつきの。
「え、ウサミミ…ひ、と?」
思わず口から出た言葉にビクッと身体を震わせてこちらを上目でそろりそろりと見るそれ。そして自分が今捕まっているという状況にようやく気づき逃げだそうと暴れだした。
「あ、こら、逃げだそうとするな食料!!」
「しょ、食料!?私を食べても美味しくないですぅぅぅ!!!たすけて~!!!!」
混乱していたために、兎に角確保したものを逃がすわけにはいかないとそれを食料呼ばわりしてしまい、それに相手が怯えてますます逃げだそうとし、収集がつかなくなっていた。
そしてあることに気づく。こいつ喋ったぞ、と。
ーーーーーーしゃべったぁぁぁぁぁ!?!?!?!?




