第二話 恋愛(コイメデ)サプライズ! avant-title
第二話 恋愛(コイメデ)サプライズ!
人生は驚きの連続だ。
たとえばこのオレ、大朱鷺天我は今、幼馴染の集団に殺されかけている。
意味不明だと思うだろうか? うん、オレもそう思う。だが人生にはそういうこともあるのだ。大多数の人間にはありえない事態かも知れないが、オレの人生にはわりとよくある話だったりする。
「許せねえ!! 俺の幼馴染に手を出しやがってクソガキがッ!! ぶっ殺してやらあ!!」
「こいつ最低よっ!! 私の幼馴染を泣かせるなんて、死んじゃえばいいんだわっ!!」
「うわーん!! このおにぃちゃんがボクのおさななじみをイジメるんだよー!! このおにいちゃんクズだよー!! このよにそんざいするべきじゃないよー!!」
「わ……わ……わ……ワシの、幼馴染を、返しておくれぇぇぇぇ……!! あの戦争を共に生き抜いたワシの生涯の幼馴染を、奪わんでくれぇぇぇぇ……!!」
「ワンワンッ!! ワワワワワンッ!!(意訳・私の幼馴染を傷つける人類種に対して牙を剥きます)」
ざっと見渡したところ、オレを取り囲み物騒な怪気炎を上げる『幼馴染』の皆さんはすでに老若男女合わせて百人を超えている。人間じゃないのも混ざっているが今更そんなことに構っている暇はない。
ここは休日の大型ショッピングモールなのだ。通路の向こうやずらりと居並ぶショップの中にはまだまだ膨大な数の人がいる。恐らくその全てが、『幼馴染』となってオレを襲ってくる可能性を秘めている。
数千にまで膨れ上がった『幼馴染』の大軍団。それがショッピングモール内を蹂躙するオサナナジミ・オブ・ザ・デッド的地獄絵図を想像し、オレの背筋は凍りついた。
「……一体、どういうつもりなんだ?」
こいつのことを、オレは本当に何も知らない。知っていることといえば――
休日に出掛ける時でも高校の制服姿にピンク色のエプロンをつけている。
たっぷりとしたおさげ髪からはいつも甘く爽やかなシャンプーの香りがする。
笑顔が天使のように可愛い。なのにあくまで親近感に満ちている。
そしてオレの双子の弟、大朱鷺空也の『幼馴染』。オレの幼馴染じゃないのに、オレの弟の幼馴染を名乗る女。
オダリスクランキング、現在暫定1位の怪物。
「一体、誰なんだお前は!? 何が目的でこんな真似をしやがる!?」
精一杯の怒りを込めたその問いに答えたのは、しかし問いかけた相手ではなかった。
「――何を言ってるんですか、テンガさん」
オレの横に立っていた少女が、にこやかに微笑んで言った。
「山田乃華子ちゃんは、わたしの大切な『幼馴染』です!!」
天と宙の狭間に浮遊する幻想の大陸ストラスフィア……とかいう異世界からつい先日やってきたばかりの『異界姫』アカシャ=ストラスフィアの深碧の瞳は、何かもうあからさまに洗脳状態で濁りまくっていた。