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THE プレゼン  作者: 玲於奈
27/27

運命の女神

なし

一か月後

私は

突然に

教授室によばれた


何か

しでかしたろうかと

考えるも


やはり

このあいだの失点ばかりが

頭から離れない。


教授会が開かれた

翌日のことでもあり

査問会招集か

教養に飛ばされるのか


まあしかたがないことだが

覚悟して

階段をあがる。


教授室など行ったこともないので

あまりの階上に

階段で失敗したと後悔。


途中でエレベータにするわけもいかず

意地になって

階段をあがる。


やっとたどりついた

恩師の教授室。

ノックをしてはいれば

変わらぬ教授。


「おお、来たか

 まってたぞ」


教授が立ち上がって迎える

そして、

すぐに何事かの儀式のように

重々しく伝える。


「君には

 来年秋から

 ネバダにいってもらう。

 これは、教授命令だ」


何を言っているのか

わからなかった。


私がきょとんとしていると

窓の方を

向きながら


「これから言うことは

 独り言だと思って聞いてほしい」


教授は、部屋の大きな窓から

中庭を眺め

私を背にした


「このコンテストは

 将来有望な若手、中堅研究者を

 発掘する

 一種のプロジェクトだったのだ。

 そして、幸運にも

 その一期生として

 君は選ばれた。

 ただし、研究は地味。

 なおかつ、初歩の初歩から

 徹底して行い、

 基礎培養について研究する。

 世界中から

 若手研究者が

 何百人も集められる。

 ただし

 その研究は過酷で

 何人が残るのか

 当の

 主催者も

 今のところ

 まったくわからない。

 課題形式による、実践研究に次ぐ研究。

 寝る間を惜しんで

 勉強しなければいけない。


 コンテストの冠だった

 製薬会社も

 要は青田買い。

 その、ノウハウを

 今後入社してもらって

 役立てる

 一種の囲い込み。

 まあ、入社の意志は

 戻ってからの

 君次第だがね」


「結果はあのとおりで

 一部には

 君のことを

 ひどく言う人もいた。

 まあ、私も

 困惑したが

 製薬会社の

 アドバイザーとして

 各分科会をまわっていた

 T大の内田さんが

 随分

 君のことを気に入ってくれたみたいで

 見どころのある

 骨のあるやつとして

 だいぶ

 君をおしてくれてたんだ。

 

 そして、

 こないだ

 正式に

 1番手の柳瀬君が

 つい先日

 准教になって

 このプロジェクトの

 申し出を

 断ってきたよ。


 霞が関の

 女王は

 日本を背負ってもらう人だから

 変な人選ではまずいといって

 末席とはいえ

 君をいれることに

 随分抵抗したが

 次点は次点で

 どしようもなかったようだよ。


 そうそう

 山下君は

 お父様が倒れられて

 研究をあきらめて

 実家のコンビニをついだ。


 だから

 ボンド君。

 まあ、

 そういうわけだから

 心置きなく

 安心して 

 ひきうけてくれたまえ」


教授は

そういうと

こちらをむき

にっこり笑って

握手をもとめてきた。


うけようか

ことわろうが

まよったが

こうなればとこちらも

つよく握り返した。


いやはや

人生とはどう転ぶか

わからない。

私にも

運命の女神が

微笑んできた。


(完)

 

なし

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