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THE プレゼン  作者: 玲於奈
26/27

聖徳太子

なし

司会の紹介をうけ

その前の

空気などいっさいおかまいなく

女史が話し出す

その声は固い。



しかしながら

私は

うれしくてたまらない。


「きっと絶賛される」


そう確信した。


大学に入学して数年

感情論で発表者を制し

会場を味方につけた。


世論が味方すれば

敵はない。


無党派層をひきいれ

なだれをうって

当選した若手議員の様相。


講評後の

当選御礼の言葉をも頭の中で

考える私。



続けた

女史の言葉。


やなせ氏の論文を

べたぼめ。


まずは順当に

順番だろうと

思うのだが

なぜか胸騒ぎ。


くだんの

花の女王が

冷たく言い放つ。


「なぜ、

 みなさんが

 このようなすばらしい

 論文に対して

 ご質問をしないのか

 私は不思議に思います」



「和をもって貴しをなす」

聖徳太子の教えであるかのように

全体を通して

オブラードにつつんだような

物言いに終始する。


それが

かの国の

まつりごとの

言い方のはずだった。

いやはや

講評でここまで言い切る

のも珍しい。


つづいて

失速したやました氏。

そして、わたしと

いくはずだった。


「あとのおふたかたは

 論文は、

 まだみれましたが

 質疑はお話に

 なりません」


その言葉に

一気に

風がふきさぶ稚内へ

心はとぶ

宗谷岬が見える。


日本の最北。


どころか

そこでとどまらずに

地球のさいはて

北極へ

氷点下20度


体感温度はますますさがる

がたがたと

寒気がする。


その後は

女史ワールド

とにもかくにも

メッタ切り。

あきらかな私批判。


権威はやはり権威で。

感情論や世論にはながされない。

そして、

いつの時代も権威の敵となるものは

徹底排除。

権威はいつの時代も

権威であらねばならない。

悲しいかな

国がつけば

白いものも

真っ黒になる。


かわいそうなのは

巻き添えのやました氏。

これで、

完全に殿堂入りではなく

迷宮入りのポスドクとなってしまった。


聴衆をも

巻き込んだ

大いなる感動。


さきほど

あたためた

感動も瞬時に急速冷凍。


まさに

すばらしい日本の官僚技術。

ここまでくると

ブラボーとしか言えない。


その後は

ぼんやりと

何を話されているのか

わからないまま

分科会が終了した。


ひっそりと

教授がわたしのところに来て

肩をたたいた


「途中からきたんじゃ。

 あなたが質問されておったが

 どういう経緯で質問されたんじゃ」


魑魅魍魎の大学で

生き残るのは

やはり正義か。

教授のやさしさがありがたい。


前半を見ていないので

そこが原因じゃないかと

親切にたずねてくれた


丁寧に説明するも

その後の講評がこれでは

教授に対して

立つ瀬もない


何もいわずに

教授は去って行った。


それとは対照的に


意気揚々と

談笑しながら

お付きの人のように

花の女王を

おくる

やなせ氏をみながら


学術も

もはや、サラリーマン。


その言葉が頭にうかぶ。


しかし

くやしいが

私には

何も言えない。


窓の外は、

色づいたいちょうが

風でひとしきり

空を舞っていた。


なし

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