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THE プレゼン  作者: 玲於奈
20/27

敵のアジト

なし

「基本的に

 プレゼンの場所で

 原稿読むの

 アウトですよう」


長椅子で

煙草もすえなく

弱り切って

だれている私に

こえをかけてきた男


みれば

クールな美男子

長身170

スマートなスーツ

細身ににあいます

クールなメガネ

そしてもしかして

伊達メガネ

うーん

こないだ

ターミナル駅の

書店にこんなやついたかな


思わず

ファションチェックし

観察して

うーん

スマートすぎる

こんなオーラ出ていた人

会場でみかけたかな?

と思うも

そういや

こちらは

原稿を読むばかりで

気付かず


というか

小心者なので

視線あわせられなく

かぼちゃとか

トマトとかいっていたわけで

声がかすれながら


「どちらで

 お会いしましたか?」


とちょっと

上品ぶって聞こうと

するも


こちらが聞く前に

間髪入れず


さらにつづけて


「あれは

 ぜーんぜんだめえ」


「だめだめの

 零点ですよう」


「国際的なあ

 学会だとう

 評価の土俵にもう

 あがれえない」


涼しい顔で

きついことを

さらりと言い

勝手に

ひとしきり

自分で納得している


「というか

 おたくは

 どちらさまで」


というかに


邪気をこめながら

たずねるも

さすがに

ここまで

鬼のだめだしをうけ

鉄の心臓をもつ私?でも

落ち込み


しかし


それもつかのまで

今度はだんだんと


なんで

初対面の若造に

ここまで

いわれなくちゃいけないんだ



自分も若造で

ありながら

すこしずつ

怒りのボルテージが

あがってきて

いつもは温和な私も


「てめえ、

 なま

 いってんじゃないぞ」


とちょっとまえにみた

やくざ映画の


最後に

主人公が

単身

敵のアジトに

乗り込んでいくところを

思い出しながら


ちいさく

本当に小さく

聞こえるかきこえないか

わからないくらいで

つぶやいてみた



シュッと

手が切れるように

内ポケットから

何か取り出す


しまった


飛び道具をもっていたか


思わず

腰に手をやるも


こちらは丸腰


もはやここまで


と映画をなぞるような

あやしい所作と妄想に

ああと

ふと

はずかしくなり


腰に当てた手で

髪をすこし

かきあげたりした


白い紙に


T大学

分子細胞生物研究所

化学工学部 助教


内田 裕典



名刺にはそう

書かれていた


一瞬

よくわからなかった


なんですと



しばらくして

これはもしや


っていうか

あの泣く子も黙る

T大学で

超エリート

ジャン

とややうろたえつつ


おどろく私


「発表の時は

 参加者の目をみて

 わたしのはなしを

 きいてよねと

 ウインクするくらいで

 プレゼンすることよ」


言葉通り

こちらの目を

しっかりみての

あやしいイントネーション



おねえ言葉



「まあ

 利用されたわねえ」



手をひらひらさせながら

去っていくも

笑いが廊下にこだまずる



長い廊下を階段にむかって

あるいていく

うしろ姿を

ながめながら


うーん

酔っぱらったときの

私の歩き方のよう

とざわざわした




なし

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