「ゴミ清掃員」と追放された少年、拾ったガラクタを【全自動リサイクル(神化)】してダンジョンを快適な超高級ホテルに改造してしまう
「おい、ゴミ清掃員。貴様を我がSランクパーティ『光の聖剣』から追放する!」
ダンジョン最深部、第100層。
禍々しい瘴気が漂う冷たい石畳の上で、勇者ガイルが宣告した。
横に立つ聖女や魔導師たちも、ゴミを見るような目で僕を見下している。
「あのさ、ガイル。ここ100層だよ? 街に戻るだけでも命がけなんだけど……」
「知ったことか! 戦いもせず、魔物の死骸や割れた武器を拾い集めるだけの雑用など、我がパーティには不要! 魔物に喰われて骨になりな!」
ガイルは、あざ笑いながら転移用の超高級スクロールを掲げた。
「これからは一級品のアイテムだけで戦う! 拾い食い専門の貧乏清掃員とは、おさらばだ!」
眩い光とともに、勇者たちは姿を消した。
「……はぁ。行っちゃったか」
ポツンと一人取り残された僕は、やれやれと溜め息をついた。
――ガイルたちは、大きな勘違いをしている。
僕の固有スキルは、単なる「ゴミ拾い」ではない。
ダンジョン内に散らばる魔物の骨、折れた剣、壊れた罠といった「廃棄物」の分子構造を解体し、最高品質の素材へ「神化」させて組み替える、規格外の生産スキルだ。
「ガラクタ」から錬成した特製ポーションや武器補修材があったからこそ、ここまで来られたというのに。
「まあいいか。せっかく自由になれたんだし、まずは今夜の宿を作ろう」
足元に転がっている、壊れた古代トラップの金属片と、先ほど倒した巨大魔獣の骨に手をかざした。
スキル発動――【全自動リサイクル(神化)】
「ポロロロンッ♪」と、脳内に心地よい効果音が響く。
瞬間、黒ずんだ金属片は輝く最高級ミスリル材へと再構成され、魔獣の頑丈な骨は吸湿性と保温性に優れた極上の建材へと姿を変えた。
さらに、湧き出ていた毒の沼地を分解して不純物を取り除き、豊富な効能を含んだ「天然温泉」へとろ過する。
「よし、壁を作って、防音バリアを張って……敷布団は魔物のフワフワな毛皮をナノ単位で精製して……」
数時間後。
殺伐としたダンジョン100層の最奥に、突如として「総大理石造りの超高級温泉リゾートホテル」が完成した。
全自動給湯の露天風呂完備。
魔法のフカフカ極厚ベッド。
ダンジョンの高濃度魔力で精製した、魔導ハーブティー。
「うーん、快適! ダンジョン生活、最高かもしれない」
ベッドに飛び込み、スローライフを満喫し始めた僕。
だが、事態は思わぬ方向へ動き出す。
「ぬ……? 何だ? 甘美な香りと、肌を包み込むような温かな魔力は……?」
あまりの快適さに引き寄せられてやってきたのは、ダンジョン100層の領域主である「古代龍」だった。
最初は警戒していた竜王だったが、僕が提供した温泉と極上ベッドに浸かった瞬間――
「くはぁぁぁっ……! 千年生きてきたが、これほどの極楽は知らん!
頼む、古代の金銀財宝を払うから、永久会員にしてくれ!!」
と、涙目でドハマり。
一会員一紹介まで――竜王が「特別な貸し」を作りたい神にだけ極秘裏に教えたことで、世界の頂点だけが集う、完全紹介制の超限定VIPリゾートへと変貌を遂げた。
一方――。
「ぜぇ……ぜぇ……! なぜこんなに進みにくいんだ……!?」
勇者ガイルたちは、地獄を見ていた。
僕がいなくなったダンジョンは、投げ捨てたポーションの空き瓶や魔物の死骸、作動しっぱなしの壊れた罠で溢れかえっていた。
「くそっ、アイテムが底をついた! 回復が……!
すごい施設ができたと聞いた! そこへ行けば……!」
ボロボロの鎧を引きずり、命からがら扉をこじ開けた勇者パーティ。
目に飛び込んできたのは、絢爛豪華な大理石のロビーと、高級ソファで優雅に魔導ハーブティーを飲む僕の姿だった。
「ア、アレン……!?
なぜお前が……いや、そんなことはどうでもいい!
助けろ! 今すぐ部屋と回復薬をよこせ!」
ガイルたちが狂ったように駆け寄ってくる。
「おや、元リーダー。当ホテルへようこそ。
……ですが、申し訳ありません。現在、当館は大変混み合っておりまして」
「ふざけるな! 俺たちは元仲間だぞ! 無料で泊めろ!」
「当リゾートのVIP利用規約に『元仲間割引』はございません。
一晩の宿泊料金は……そうですね、国家予算と同額の10億Gになります」
「なっ……!? 10億Gだと!? そんな金、あるわけないだろ!」
「無理でしたら、お引き取りを」
僕がパチンと指を鳴らすと、ホテルの警備員として雇った古代龍が、ぬっと巨大な顔を覗かせた。
『我が主の邪魔をする不審者どもか。……つまみ出そう』
「ひっ……!? ひぃぃぃぃぃっ!!? 竜王――!?」
ドラゴンの一息で吹き飛ばされた勇者たちは、着ていた鎧や武器もすべて「不法侵入の罰金」として自動分解・没収され、すっぽんぽんの無一文で外へと叩き出された。
「……さて」
悲鳴が遠ざかるのを見送りながら、僕は満足げに息を吐いた。
「邪魔者も消えたことだし、ゆっくり温泉にでも浸かろうかな。
やっぱり、スローライフが一番だね」
追放された元清掃員は、富と快適な空間を手に入れ、今日もダンジョン最深部で悠々自適なオーナー生活を満喫するのであった。
お読みいただき、ありがとうございます!
『「ゴミ清掃員」と見下されて追放された少年が、ダンジョン最深部を温泉リゾートに改造して大儲けする』という爽快スローライフ短編をお届けしました。
快適すぎる温泉とベッドに骨抜きにされた古代龍様や、身ぐるみ剥がされた元勇者たちのざまぁ展開を楽しんでいただけたら幸いです!
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