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最終話

 四葉は全てのことを片付けると、自分の家に帰ってきた。


「ただいま。」


 四葉が家に入ると、部屋から、大きな音が聞こえる。

 玄関に向かって大きな足跡が近づいてくる。


 その正体は。

「無事か。どこか怪我はしていないか。」

「大丈夫。怖くなかった。」

 両親だ。


 四葉は親の顔を見ると、二人を安心させるように笑って見せた。

 二人は四葉の笑顔を見ながら、大事な息子を強く抱きしめた。


「本当に無事で良かった。」


「生きて帰ってきてくれて、嬉しい。」


 四葉は家族の温かさに涙を流した。


「ただいま、父さん、母さん。」


 四葉も二人を強く抱きしめた。


◇ ◇ ◇


 四葉は家に入ると、傷の手当てを母親がしてくれた。


「まったく、傷の手当ぐらいしなさい。背中、血だらけじゃない。」


「ごめん。明日には軍の病院で診てもらうよ。」


「すぐに行きなさい。明日は学校よ。」


「えー……明日、学校行かないとダメなの。」


 四葉は休みたい反応をする。

 母親は息子が行きたくなる秘策を打ち出した。


「明日は確か、席替えの日よね。」


 その一言を四葉は聞き逃さなかった。

 カレンダーを確認すると、確かに明日は席替え日だ。


「母さん、絶対に明日は学校に行くよ。」


「流石は我が息子。それじゃ、今から病院行きましょうね。お父さん、送ってあげて。」


「分かった。車のエンジンをつけておくから着替えたら来なさい。」


 父親の言葉に四葉は頷いた。


「はい。」


 母親が四葉の頭に手を置いて、撫で始めた。


「母さん?」


「あなたが、決めたことだから何も言わないけど、無茶はしないでね。あなたはまだ子どもなんだから。」


 ……四葉は笑みを浮かべ母親の手を握る。


「ありがとう、母さん。応援してくれて。」


 静かな暖かな時間がそこに生まれた。

 四葉は椅子から立ち上がる。


「父さんが待ってるから、着替えて病院に行ってくる。」


「いってらっしゃい。あなたの好きな料理を作って待ってるわ。」


「ありがとう。いってきます。」


 四葉は服を着ると、父親と車に乗り、軍専用病院に向かった。


◇ ◇ ◇


 四葉は専属医に治療してもらっていた。


「君ね、頑丈だからって無茶しすぎ。背中の同じ箇所に、あと数発もらってたら――死んでたよ、これ。」


 医者の小言を四葉は右耳から左耳に流した。

 医者は四葉を見ながらつぶやいた。


「これは独り言だけど、電話で君のお父さんに電話を貰った時、事細かに、君の傷について説明してくれたよ。そのおかげですぐに治療が出来た。親御さんに感謝するんだよ。」


 四葉は反省するように言葉を返した。


「はい!ありがとうございました!先生!」


(急に素直になりやがって。)


「お父さんを待たせているのだろう。治療は終わりじゃ。一週間はゆっくり休め。」


 医者の言葉に四葉は頷いた。


 四葉が医務室から出ると父親が四葉を待っていた。


「先生は何て?」


「一週間は休めだって。」


「そうか。」


「うん……ありがとう、父さん!」


「急にどうした?」


「べつに、なんとなくだよ!」


「そうか。」


 二人が車に乗り、会話をすることはなかった。

 しかし、車内の空気はとても暖かかった。


 家に戻り、家族三人で豪華なご飯を食べ、四葉は疲れを取るようにすぐ眠りについた。


◇ ◇ ◇


 朝になり、四葉は走っていた。


「最悪だ。何で寝坊したんだ。21時寝て、朝の9時起きるなんてダメだろう。俺、寝すぎだろう。」


 四葉は決めた。


「仕方がないよね。今の時間は9時10分、席替えが30分からだから、あと20分で学校につけば、席替えに参加できる。よし使うか。説教なんて知るか。俺の恋の成就の為に、身体強化発動。」


 その瞬間、町中から爆発音が鳴り響く。

 四葉が爆発音を確認すると銀行強盗の現場に遭遇した。


「ふざけるな!」


 四葉は叫ぶとともに仮面を装着し、ジャージに着替える。


「俺は姫さんと恋愛がしたいんだ!」


 銀行に入り、人質に拳銃を突き付ける強盗の腕を掴み、人質を解放する。


 拳銃を自分に向けようとする瞬間、相手の拳銃を蹴り上げ、強盗が拳銃を手放すと、一人をまず気絶させる。


 他の強盗は、人質を使おうと一般人の手を掴んだ瞬間、何も気付かずに気を失った。


「人様に迷惑かけるな。」


 一瞬で移動して二人を同時に気絶させたのだ。


 ジャージ仮面は強盗を縛る。

 他に武器がないか、確認して店員に話す。


「こいつらを警察に突き出してください。先ほど連絡をしたのでそろそろ。」


 ジャージ仮面が説明をしていると、サイレンの音が近づいてくる。


「来たようですね。それでは後は、警察に任せてください。」


 ジャージ仮面が去ろうとすると、店員が呼び止める。


「ありがとうございます。ジャージ仮面。何かお礼を。」


「必要ありません。なぜなら、私はジャージ仮面なのだから。」


 そう宣言すると、ジャージ仮面は高く飛び上がった。


◇ ◇ ◇


 四葉は変身を解くと全力で走っていた。

 現実を受け止めず、ただ走り続ける。

 時間は既に9時30分を過ぎている。


 学校につき、教室まで駆け上がり、教室の扉を開いた時には、席替えが終わっていた。


「遅いぞ、四葉。後15分、早ければ席替えに参加できたのにな。」


 先生の一言に四葉は崩れ落ちる。

 すると後ろから天使の声が自分の名を呼んだ。


「四葉君、大丈夫?」


 四葉がゆっくり後ろを振り向く。

 そこには自分に手を伸ばす姫さんがいた。

 四葉は無意識に姫さんの手を掴んだ。


「おはよう、四葉君。」


 姫さんからおはようの挨拶に四葉は気絶しそうになる。


 しかし。

(姫さんが俺、個人にあいさつをしてくれた。それなら、俺は挨拶を返す義務がある。)

四葉は舌を噛み、気絶を免れた。


「お、お、おはよ、よよ……うっ。ひ、姫さ、さん……」


 四葉は緊張のあまり盛大に噛みまくった。


(穴があったら入りたい。)


◇ ◇ ◇


 四葉は顔をゆでだこのように赤くなる。


 姫さんはその挨拶に、気にすることなく、挨拶を返した。


「おはよう、四葉君。」


 四葉は天に召された。


「四葉君も遅刻?」


 姫さんの問いかけに四葉はすぐに正気を取り戻した。


「はい、そうです。」


 四葉は何も考えずに即答した。


「私と同じだね。」


「これからはお隣同士、よろしくね!」


 四葉はその言葉が理解できずに、新しい席を確認した。


 そこには遅刻者の名前が二人書かれていた。

 自分の名前と姫さんの名前だ。


「遅刻者は席替えに参加できないからお前たちは隣同士だ。」


 四葉は先生の発言に状況を理解した。

 そして四葉の頭が爆発し倒れた。


 これは地味な中学生、四葉がヒーローとして、国の為に戦い、自分の恋を成就するために突き進む物語である。


 四葉はこれからも、数多の敵が彼の恋路に道を塞ぐ、四葉は全ての壁を乗り越え、恋を成就できるのか。


 それはまだ誰にもわからない。

読んでくださって、本当にありがとうございます!


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