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百獣の王と密林の覇者、異世界で獣人解放の旗を掲げる~誤召喚された俺たちが、奴隷以下の同胞を救って建国する話~  作者: スフィーダ


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第08話 行方

洞窟を出るとすでに厳重に縛られ騎士達に見張られている残党たち。

やけどした女魔術師も目は虚ろであるが、死んでなかったようだ。


「ヒィィィィ」

その女はレオンを見るなり、悲鳴を上げながら倒れてしまう。


「あらら、倒れてしまったな。まっ、死んでないからいいか?」

「大丈夫でしょう。気絶しているほうが静かでよいでしょう」


キョロキョロと見渡すが、やっぱりタイガはいない。

「アイツ、どこ行きやがったんだ?」


「あの、弟様のことでしょうか?」

恐々とレオンへ騎士が声をかける。

「あぁ、そうなんだよ。どこ行ったか知ってるか?」

「はい。隊長とレオン殿が洞窟から出られるよりも先に出てこられまして、『馬車を呼んでくる』と申されまして、すぐに走り去って行かれました」

「そうかい。ありがとよ。ふーん、気が利くじゃねぇか」



タイガが戻ってくるまで暇になり、レオンはもう一度洞窟へと入る。

特に意味はなかったが、一応確認の為だった。


「ふむ、特になにもなさそ……。ん?なんだ?ここの壁だけ色が違うな」

洞窟内最奥の壁の一部だけが周りと色が違っていた。

鉤爪を伸ばし、ホジホジと壁を掘ってみると、なにやら小さな箱が見つかった。

何かわからないが、取りあえず持っていくことにし、小脇に抱えたまま洞窟を出る。



「おーい、隊長さんよぉ。こんなんがあったぞ。ホレ、渡しとくぞ」

「これは申し訳ない。今、確認したほうがよいでしょう。もし爆発物であれば大変ですから」

「でもどうやって調べるんだ?」

「それもそうですね。うーん……」


小箱を地面に置き、二人して悩んでいると遠くからガタゴトと馬車の音が聞こえて来た。


「おーい。お待たせ―」


タイガがインバの爺さんと一緒に戻ってきた。もう一台の馬車も来たのだが、すでに死体とともに首領も乗せられていた。

そこに捕まえた残党と合わせて、洞窟内で倒した死体も一緒に放り込んだ。


荷馬車には攫われていた人達を乗せてやる。

一緒に騎士も乗り込んでいる。


「よしっ、お前達は先に戻れ。私も後から戻る」

「はっ!」

首領たちを乗せた馬車は街の方へ戻っていった。



「ケガはなかったかの?」

「あぁ、爺さん。お陰様でな。この通りだ」

インバに力こぶを見せアピールすると、カッカッカと笑ってくれる。


「それでどうしたんじゃ?行かんのか?」

インバに聞かれたので小箱の事を説明すると、インバは事も無げにレオンにいうのは、『これは単なる書類箱で、ありふれたものだ』と言う。

それでも不安がっているプリムローズの横からヒョイと箱を奪い、しげしげと見たあとで返している。


「隊長さん、これは別に仕掛けなんかないぞい。ただ仕掛け箱と言ってな、手順通りに動かせば開くじゃろ」

「すまんが、開けてもらえないだろうか?」

「別に構わんよ。どれ、ふむふむ。ここをこうして、ここがこうじゃなぁ」


カチリ


「ほれ、開いたぞ」


小箱をプリムローズが受け取り、箱を開けると中には数通の手紙が入っていた。

中身を一通取り出して読み始めたプリムローズの顔は明らかに変わっている。

また、手紙を持った手もプルプルと震えだした。


「こ、これは……。レオン殿、タイガ殿、申し訳ないが、すぐに戻らなければなりませぬ。では!」

すぐに馬に飛び乗り元来た道へと猛ダッシュで走り去ってしまった。

「「なんだ??」」

レオンとタイガは顔を見合わせるが、プリムローズの行動が理解できる筈もなかった。



「お二方、そろそろ参りましょう。ご一緒に我が騎士団の詰め所までご同行をお願いいたします。それとインバも一緒に来てもらう」

「ん?儂もかの?」

「うむ、報奨金を渡さねばなりませんので」

「儂はいらんぞ。このレオンとタイガにやっておくれ」

「いや、そうはイカンのだよ。なっ、来てくれるか?」

「ふーむ、わかった。じゃ、一緒に行こうかのぉ」


荷馬車は満員なのでレオンとタイガは荷馬車の速度にあわせて走る。

荷馬車はそんなに速度も出ていないのでジョギング程度の速さだったが。


レオンはインバの横を走りながら洞窟内の出来事を話して聞かせる。

タイガは荷馬車の後方を走りながら痩せ細った人達を見ているのだが、その顔は険しい。



遠くに見えていた国境の壁が徐々に近づくにつれ、インバの言って通りだと感心するほどに高くそびえ立っていた。

街へ入る入場門は混んでいるが、先行している馬車は横の門へと進路を変えたようだった。


「通常門じゃなくて、貴族様や騎士さん専用の方から入るんじゃな。儂も初めて潜るのぉ」

「本当は入れないのか?」

「そうじゃよ。間違って入ったら怒られるわい」


門を入ると既に連絡があったのだろう。そのままスルーされて街へ入ることができた。

街並みは綺麗で多くの人で賑わっている。

先行する馬車は大通りには向かわずに壁に沿って走っていく。

インバの荷馬車も後をついていくしかない。


どこに向かっているのかはわからないが、騎士姿が多くなって来たようだった。

「兄ちゃん、この先に大勢の人の匂いがするね」

「そうだな。そこに隊長さんもいるんだろう」


先行の馬車が止まったのは、大きな建物の前だった。

門の前にも騎士が眼光鋭く立哨をしている。


馬車から降りた騎士が何か話していると思ったら、建物からワラワラと大勢の騎士が出てきて野盗の死体をどこかへと運んでいる。

生きている首領と他の野盗は別の騎士に連行されて行った。



「失礼。野盗を討伐した方々で間違いないですか?」

「あぁ、そうだ。俺と弟のタイガ。それに隊長さんの三人でな」

「ふむ、では私に着いてきて頂きたい。そちらのご老人も」

「あぁ、それはいいんだが、先にこの人達を頼んでもいいか?野盗に攫われた被害者だ」


レオンが荷馬車を指し示すと中を覗いた騎士が慌てて別の騎士を呼び寄せ、すぐに医務室へ連れていくようにと命じた。

「あの方達につきましてはご安心を。では、改めてこちらへ」



トントントン


「入れ」

中から声がしたのはプリムローズ。


「先程は失礼しました。レオン殿、タイガ殿、ご老人もおかけください」

ソファーに座ると対面にプリムローズも座る。


「さて、何度もお尋ねして申し訳ないのですが、奴らを最初に見た場所、そして討伐した場所をお聞かせください」

「あー、俺たちはわからねぇなぁ。爺さん、頼むわ」

「ふむ、まずレオンが荷馬車を止めるように言ったのはこの辺りじゃな。討伐場所も同じじゃ。荷馬車を止めたらすぐに襲って来よったわ」

「なるほど。我らが到着した場所とそれほど離れてはおりませんな。ふむ、奴らのアジトがここと」


地図を指差しながらプリムローズとインバが話している横で、レオンとタイガは出されたお茶を啜る。

タイガは飲むフリをしながら、地図をジッと見ている。


(タイガのことだ、地図を頭に叩き込んでるんだろうな)

そう思いながらも自分も地図を眺めて二人の話に聞き入るのだった。



――――


「次に野盗、こいつらは高額な賞金がかかってましてな。ここに用意してあります。どうぞ」

「いや、俺たちはいらない。爺さんにやってくれ」

「いいや、儂は関係ないからの。不要じゃ!」



『受け取れ』、『いらん』の言い合いになってる時、タイガがボソッと、

「それじゃ、あの攫われた人たちにあげてよ。それなら隊長さんも兄ちゃんもじいちゃんも困らないだろ?」

「「「…………それだっ!」」」


賞金は誘拐されてた人たちへ配ってもらえることになり、ようやく三人の肩の荷が降りたのだった。

その後、話も終わり帰ろうと思ったところ、レオンとタイガのみが残らされることになってしまった。

インバは二人に『今度、遊びにおいで』とだけ言い残し、帰ってしまった。



「それで、俺たちに話って?」

「五日後に領主であるウィリアム・アッシュフィールド辺境伯が二人に会いたいと申されておるのです」

「「はぁぁ?」」


騎士詰め所に二人の声が響き渡るのだった。

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