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百獣の王と密林の覇者、異世界で獣人解放の旗を掲げる~誤召喚された俺たちが、奴隷以下の同胞を救って建国する話~  作者: スフィーダ


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第04話 街道

「ふぅ、森も抜けたなぁ。これでシルヴァン神国の領土から出られたってことか」

「いや、まだじゃないかな。とりあえずこのまま道なりに進もうよ?」

「そうするか」


二人は女神が教えてくれた方向へと歩き出す。

街道は何もない道のみである。

街道横には小川が流れているので飲み水には困らない。

それに魚でも泳いでいたら捕まえて食べるつもりだった。


たまに馬車にもすれ違うこともあったが、声をかけられることもない。

多分、自分たちの姿がこの世界にはいない種族であり、また恐ろしげな風貌のせいだと二人ともわかっていた。



そんな、ある日のことである。


ガタ、ガタ、ガタ、ガタ


後ろから聞きなれない音がするので振り返ると、どうやら荷馬車のようである。

一瞬で興味をなくした二人は歩みを進める。

いつものように自分たちを見て、ギョっとした顔をして過ぎ去るだろう。

そう思っていた。


案の定、荷馬車は通り過ぎながら、チラリと二人を見て通り過ぎる。

少し、進んでから荷馬車は止まった。

それでも気にしないで通り過ぎようとすると、御者台に座っている老爺がこっちを見ている。


「兄さんたち、どこに行くんだね?」

「ん?俺たちか?」

「他に誰がおるんかね。兄さんたちに声をかけたんじゃ」

「おぉ、そうか。俺達はこの国から出ようと思ってな、道なりに歩いてるところだ」

「そうかい、そうかい。良かったら乗って行きなさい」

「えっ?いいのか。そりゃ助かるけどな」

「あぁ、乗って行きなさい」


礼を言ってからタイガとともに乗り込むと、老爺が振り向いて話しかけて来た。

「乗せたついでと言ったら悪いけどもなぁ、この先に小高い山があるじゃろ?」

「あぁ、あるなぁ」

「そこになぁ、たまに野盗が出るんじゃよ。もし、出たらこの年寄りを守ってくれんかの?」

「なんだ、そんな事か。任せろ。あぁ、俺はレオン、こっちが弟のタイガだ」

「タイガだよ。よろしくね、おじいちゃん」

「ふむ、兄弟か。ふむふむ。おぉ、儂はインバと言うんじゃ、しばらくの間、よろしくの」


ガタ、ゴト、ガタ、ゴト


荷馬車はノンビリとした歩調で進んで行く。

「ふぁぁぁ」

「なんじゃ、タイガよ。眠くなったのかね。まだ、次の野営するとこまでは時間もある。しばらく寝てりゃいい」

「ホント!ありがと。んじゃ、寝とくよ」


「爺さん、弟が悪いな。乗せてもらってるのに」

「いいや、構わんよ。レオンも寝てていいぞ」

「いや、俺は大丈夫だ。それよりもこの世界の事を教えてくれんか?事情があって俺たちは何も知らんのだ」

「そうかい。それじゃ何から話そうかのぉ」


老爺インバがポツポツと話してくれた内容は、特に目新しいものはなかった。

だいたいの話は女神ヴィータリスから聞いていた内容と変わりがなかった。


ただ、冒険者と言う仕事があるそうで、力さえあれば儲かると聞く。

インバも何度か護衛で雇ったこともあるそうで、どの街にも冒険者組合があると言う。

登録時には少額だが登録料もいるそうだが、女神から幾ばくかの金銭を貰っているから問題はなさそうだとレオンは思っている。

冒険者は各街へも行く事も多く、それならば金も稼げて情報も手に入りそうだと考え始めた。

タイガと相談する必要があるが、いつものように『兄ちゃんと一緒ならいいよ』と言うだろう。


他に獣人差別のことも聞いてみると、女神が話していた通り、シルヴァン神国以外の国では獣人差別はないそうだが、シルヴァン神国から他国へ来た際に、甘言を弄して連れ去ることもあると聞く。

連れて行かれた獣人のその後は不明であり、インバが言うには奴隷にされているだろうとの事だった。


「なるほどなぁ、聞けば聞くほど反吐がでそうな国だな」

「おい、おい、レオンよ。大きな声で言っちゃイカンよ。まだ、シルヴァン神国の領土じゃからのぉ」

「おっと、そうだったな。すまない。それで、国境はどの辺りなんだ?」


小高い山を越えた先が国境になっているそうで、かなり高い塀で囲まれていると教えてくれた。

また、堅牢な砦も各所に建設されており、国でも精鋭ぞろいの騎士が配置されているそうだ。

この国の名は、『ウィンザー王国』。王の名はアズーラ・フォン・ウィンザー。

またこれから向かっている街の名は『タングの街』で、ウィリアム・アッシュフィールド辺境伯が治めている地であるようだった。


ウィンザー王国はシルヴァン神国とは違い、差別がなく暮らしやすい国だと老爺インバは胸を張って自慢げに教えてくれた。

どうやらシルヴァン神国に次いで大きい国らしい。

今でもシルヴァン神国とたまにではあるが諍いがあると聞いた。

理由はシルヴァン神国から逃げ出した獣人やウィンザー王国へ流れて来た住民達を返すようにと進軍してくることもあると言う。

インバが言うには、ただの脅しだろうとのことだった。

インバは、またこうも言っていた。

「獣人さんの奴隷がいない状態で、軍隊同士が戦ったらウィンザー王国の圧勝じゃ!」と。


国境の砦の騎士達も獣人が奴隷にされていることを知っており、なかなか矢を射抜くことが躊躇われるようであるとも話してくれた。



「ほい、話してたら今日の野営する場所についたの。ほれ、ほれ、タイガを起こしてやんなさい」

「あぁ、おいっ、タイガ、起きろ!」

「ふわぁ~。あーよく寝た」

そう言うタイガの眼はいつもの様に鋭い目つきになっていた。


(あぁ、こいつ、寝たふりしたやがったんだな。相変わらず警戒心の強い奴だぜ)


タイガは眠そうに目をこすりながら荷馬車を降り、インバの元へと行ってしまった。

「じいちゃん、何か手伝う事はある?」

「あぁ、タイガか。それじゃ、焚き木を拾ってきてくれるかの」

「了解!」


サッと街道外れの森の中へと入っていったタイガを見送り、レオンは小川で魚を掴み取る事にした。

数匹捕まえたので、インバの所へ持って行き、捌いてもらう。


「なぁ、じいさん。いつも一人で行商してるのか?」

「そうだな。前は婆さんと一緒に行商してたけどもな。婆さんも死んでからは一人だの。まぁ、気楽なもんだ」

「子供は?」

「子宝には恵まれんかったのぉ。今は街の外れで一人暮らしじゃ。ただのぉ、ご近所さんが気を使ってくれるから寂しくはないぞい」

「そっかー。なんか悪いことを聞いたな。スマン」

「気にすんなー」



「お待たせ、これくらいあれば朝まで持つと思うよ。それとウサギを三羽捕まえてきたよ」

「おぉ、ご苦労さんじゃったの。ウサギか……。久しぶりじゃの」


レオンが捕まえた魚にタイガが捕まえて来たウサギ。

両方とも焼いて腹を満たした。


「さて、じいさんは寝ていいぜ。俺たちが起きて見はりをするからな。安心してゆっくり寝てくれ」

「そうかい、じゃそうさせてもらおおうかの。じゃ、おやすみ」

「「おやすみ」」


インバはゴソゴソと荷馬車に中へと入って行った。

「タイガ、お前は先に寝ろ」

「いや、僕はさっき寝たからさぁ。兄ちゃんが先に寝なよ」

「寝たふりしといて、よく言うぜ。いいから寝ろ!」

「バレてたか。まぁいっか。じゃ、交代するときは起こしてよね」


焚火の横でゴロンと横になったタイガ。すぐに寝息を立て始めた。

今度は本当に寝たようだった。


レオンはひとり焚火にあたりながら、シルヴァン神国の奴隷となった獣人の事を考える。


(まずは獣人の居場所を確認するのが先だな……。時間はかかるが次の国で冒険者として実績をあげる必要がありそうだ。爺さんが言ってたように、等級を上げれば各国へも自由に行き来できるらしいからな。それに等級が上がれば、国の偉いさんにも会えるそうだしなぁ。まぁ、冒険者登録してからだな。俺の力とタイガの知力。二人合わせれば無敵だろうさ。フンッ、シルヴァン神国よ、首洗って待ってろよ。絶対に仲間は救い出してやる)



いつの間にか日が昇っていた。

それに気づかずにレオンはずっと考え続けていたようだった。


「おはようさん。おや、レオンが見張りをしてくれてたんじゃな」

「あっ、もう朝か。あぁ、おはよう」


「あー、よく寝た……って、兄ちゃん!起きてたのかよ!なんで交代してくれなかったのさ!」

「悪いな、タイガ。ちょっと考えこんでたんだ。そのかわり、今度はゆっくり寝かせてもらうさ」

「むぅ、まぁ、いいや。おはよう、兄ちゃん」

「あぁ、おはよう。さぁ、朝飯食ったら移動だぞ!今日は山越えだぞ、気合い入れてけ!」

「おぉー、任せとけってんだ!」


二人が勝鬨を上げるように手を上に上げているのを見ているインバの顔は子供を見るような優し気なものだった。

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