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百獣の王と密林の覇者、異世界で獣人解放の旗を掲げる~誤召喚された俺たちが、奴隷以下の同胞を救って建国する話~  作者: スフィーダ


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第31話 終話

ロアザナトス王国となり、レオンもタイガも家名を持つことになった。

レオン・ロアザナトス。

タイガ・ロアザナトス。



各部隊も再編成となった。

諜報部隊は、隠密偵察騎士団  団長:ロイヤル(犬族・男性)

重装部隊は、鋼鉄重装騎士団  団長:タスク(ゾウ族・男性)

特殊部隊は、王直属特務精鋭団 団長:シャリ―(猫族・女性)

歩兵部隊は、常備国防歩兵団  団長:アーサー・プリムローズ(人族・男性)

補給部隊は、後方兵站支援団  団長:ヴォルペス(キツネ族・男性)

医療部隊は、王立救護衛生団  団長:ハゼル(ウサギ族・女性)

飛行部隊は、天翔空挺騎士団  団長:アヴィス(鳥族・男性)

以上が、旧部隊からの変更である。


また、新設された団もある。

金獅子衛士団

飛脚万里騎士団



辺境伯領の騎士であったプリムローズは、ウィンザー王国の騎士を辞め、ロアザナトス王国の常備国防歩兵団団長に就任した。

同じくウィンザー王国の元歩兵部隊の隊長であったグスタフ・アイゼンラートは、出向と言う形でレオンの配下になっていたのだが、正式に国民になっており、現在は、金獅子衛士団の団長として、レオンの身辺と王城を二十四時間守る、最も信頼の厚い近衛になっている。



「陛下、少し休まれては如何でしょうか?」

「そうだな。流石に疲れた」

「今は仕方がないでしょう。移民も続々と入国しております。また、我が国の魔鉱石の輸出に関しても、まだ取り決めが多くございますのでね」

「宰相よ、手伝ってくれないか。少しでもいいのだ」

「それは、承服できかねます」

「なぁ、頼むよ。もう限界だ」

「…………。はぁ~、兄ちゃん!何度目だよ、いい加減にしなよ!文官長のロロネさんなんて文句ひとつも言ってないじゃないか」

「悪い!そこを何とか!」

「仕方ないなぁ~。休憩が終わったら手伝うよ」


レオンの弟のタイガは、宰相であり公爵である。

また、宰相であり外交官でもある。忙しさで言えばレオンの比ではない。


「あっと言う間だったなぁ~」

「本当にね。建国してからはバタバタしてたからね」


ふと何かを思い出すように、二人は揃って上を見上げてしまった。



建国して二年。

国民の九割が獣人族であり、残りの一割が人族である。

その人族は、元シルヴァン神国の住民であり、獣人族に嫌悪感のないものばかりである。

特に揉め事や諍いはないようだ。


商店も人族の国に劣らない程に賑わっている。

この国にも商業ギルドが完成したのは、つい先日の事。

二人が最初に出会った老人のインバがギルド長に就任している。

どうやら、昔はウィンザー王国の商業ギルドで長年務めていたらしく、それならばと説得を重ねて就任してもらった訳である。


そこの職員は、以前に救出されたクマ獣人のボルガン。同室だったクマ獣人のヤムスが働いている。

残りの同室だった二人は、オオカミ族のレムスとウマ族のリゲル。

レムスは隠密偵察騎士団に所属。リゲルは後方兵站支援団に所属している。

月に一度は『楽園同室会』と称して、四人揃って食事会を催しているようである。



冒険者のロッシュは、たまに王城に遊びに来る。

彼はロアザナトスの国民ではないのだが、各地の情報をロイヤルに話してくれると言う。

その後、情報料を払えと言い、ロイヤルの奢りで飲みに行っているようだった。

飲み代の経費書類がタイガのところにまわってくる。

タイガも領収書を見ては『あぁ、ロッシュが来たんだな』と苦笑いで、承認印を押している。



当初、ロアザナトスの街と呼ばれていた地は、元通り緩衝地帯になっている。

ロアザナトス王国とウィンザー王国のウィリアム・アッシュフィールドが治める辺境伯領への街道は整備され、盗賊や野盗が出ないように、ロアザナトスの歩兵が常に巡回している。

恐ろしい風貌で、完全武装した獣人を相手するような勇気のある不埒な輩は姿を消したようだった。


また、随所には魔鉱石を使った街路灯も数十メートル毎に建てられている。

商人達や冒険者達からは非常に感謝されたようだった。


その魔鉱石だが、ロアザナトス王国の最大の収入源である。

どこから聞きつけたのかはわからないが、ドワーフ族が大勢やってきたかと思うと、今は、一心不乱に魔鉱石を掘り、一部を武器や防具に仕立て上げてるようだった。

その武器、防具も収入源になり、ロアザナトス王国は世界一潤っているとも噂されるほどだ。



各国への輸出には、鳥獣人族が担っている。

通常、最果ての国までは馬車で数か月かかるところを、鳥の獣人族で編成されている彼らでは、数日で届けられるのだった。

また、彼らには郵便等の事業も任せている。

国営の『飛脚万里騎士団』である。千里、万里を超えて思いを届ける、誇り高き運び屋たちの団の事である。


建国記念日には、天翔空挺騎士団と飛脚万里騎士団の数百名が色とりどりの細く長い布を持ちながら、王城の上空を飛び回るのも名物になっている。



そう言えば、シルヴァン神国にあった全資産と宝物庫にあった大量の金銭や刀剣等に関してだが、連合国へ少しづつ寄付をしたのであった。

当初、すべてを分配しようと考えていたのだが、その考えは各国の元首にはバレていたようで、手紙にてやんわりと釘を刺された結果である。



「さぁ、続きをやろうか?」

「嫌だなぁ~」

「陛下なんだよ!しっかりしなきゃ!」

「へいへい」

「返事は一回!」


タイガに叱られながらも公務をこなしていく。

小難しい書類と格闘していると、執務室のドアがノックされる。


「誰だ?入れ!」


ガチャ


「お仕事中に失礼します」

「おぉ、お妃様のご登場ですか。お妃様からも陛下に言ってくださいませんか。すぐに休憩しようとするんです」

「あら、陛下。宰相の言ったのは本当でございますか?」

「いいや、仕事はしてるぞ。あぁ、忙しい、忙しい」


妃と呼ばれた女性は、ジトッとした目でレオンを見る。

その視線に耐えられなくなったレオンは目を背ける。



「それよりも、お妃様も身重なんですから、お部屋にいらしたほうがよろしいのでは?」

「だって、退屈なんですよ。宰相なら気持ちがわかるでしょう?」

「まぁ、ね」

「なぁ、タイガ。仕事が休みになったら、一緒にエルダー女王国のダンジョンでも行かないか?」

「おっ!それはいい!じゃ、さっさと片付けようか」


バンッ!


執務机が思いっきり叩かれる。


「あんた達だけで遊びに行くの?ねぇ、アタシも連れて行きなさいよ!」

「いや、アンナは身重なんだからダメに決まってんだろ!」

「汚いわよっ!二人して遊びになんて行かせないからね!グスタフのおっちゃんにも言うから!」


元特殊部隊の隊長であった猫族で冒険者二等級のアンナは、レオンに猛アタックをし、現在はレオンの妻。妃の座に収まっている。

気が強いところは妃になっても変わっていない。


タイガもアンナも、いつもは丁寧な口調で話すのだが、気を抜くと昔の話し方に戻ってしまう。

それはレオンも同じことである。


「しかしなぁ、俺達もいい加減、参ってるんだぞ。たまには思いっきり暴れたいんだ。お前達獣人ではなく、ライオンとトラの野生ってもんなんだ。なぁ、わかってくれよ」

「……、じゃあ、子供が産まれて、アタシが面倒見なくても大丈夫なくらいに育ったら、一緒に連れてってくれる?」

「あぁ、約束だ。グスタフもプリムローズも誘って一緒に行こうぜ」

「わかった。絶対だからねっ!」

「はいはい。もう部屋に戻れよ。メイドから怒られるぞ」

「返事は一回!!」

「はいっ!」


アンナは執務室から出る。部屋から遠ざかったのを確認するようにレオンの耳がピクピクと動いている。


「ふぅ~、ビックリした」

「フフフ、百獣の王も嫁さんには弱いんだね」

「フンッ!仕方ねぇだろ!テメェも結婚すりゃわかるさ!」

「フッフーン、僕はもう少し独身貴族を楽しむのさぁ~」

「クソがっ!」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


いつもの兄弟のやり取り。

それを天空から見守る創造神イオニアスがいた。


「あの召喚の儀が行われた夜、私は世界の(ことわり)の隙間に指をかけました。召喚の責任者を深く、昏い森の奥へと誘い、その意識の深層にそっと囁きを投じたのです。魔法の奔流を歪め、常世の枠を超えた『異端なる強き力』を呼び寄せるよう、その思考を静かに誘導いたしました。そうして、次元の裂け目から現れたあの二頭。いいえ、あの二人。彼らがこのイオニアスの地に降り立ったことは、まさに星の巡りがもたらした僥倖と言うほかありません」


イオニアスは空を見上げる。


「一つは、黄金のたてがみを揺らし、仲間のために咆哮するライオンの王。己の勝利よりも『群れ全員が飢えぬこと』を何よりの義とし、弱き者を慈しみ守る、その無垢なる王気。一つは、静寂の中に潜み、幾重にも重なる戦術の糸を紡ぐトラの軍帥。無謀な血を流すことを嫌い、敵の動線を精緻に読み解き、最も確実な一撃を以て運命を穿つ、その深き叡智」


イオニアスは再び眼下の兄弟を見つめる。


「私が彼らに、世界に二つとない加護を授けたのは、他でもありません。信仰の名の下に他者を踏みにじり、暴走を続けるシルヴァン神国の傲慢を、その根底から覆し、抑え込むためでした」


その顔は悲痛な顔へと歪ませる。


「……しかし、救済のために放った矢が、結果として激しき戦火を招き、多くの大地を赤く染めてしまったのは、私の不徳に他なりません。理不尽な死を遂げた者たちの叫び、そしてこの世界に刻まれた争いの傷跡。それらすべてを、私は自らの贖罪として受け入れ、この永遠に続く刻の果てまで、枯れることのない涙と共に心に刻み続けましょう」


溜息を吐く神イオニス。


「ロアザナトスの旗が翻るその光景を、私は、この世界の片隅から静かに見守り続けましょう」


創造神イオニアスは呟きを終えると、眼下を見ることもなく神域へと戻って行ったのだった。

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