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百獣の王と密林の覇者、異世界で獣人解放の旗を掲げる~誤召喚された俺たちが、奴隷以下の同胞を救って建国する話~  作者: スフィーダ


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第03話 世界

「もう一度謝らせてもらいます。本当にごめんなさい」

「あぁ、もうそれはいい」

「うん、僕ももういいよ」

「そう?では説明しましょう。まず私はヴィータリス。この世界の神の一柱。獣人たちの生命力や魂の強さを象徴し、彼らを陰ながら見守る女神。人間が召喚されていたのなら、別の神が降臨していたでしょう。いいえ、来なかったと思います」

「なぜだ?」

「さっきも言った様に召喚魔法を使ったからです。神々はいい加減、人間たちを不快に感じています。特にこの国に対してですが。この国だけが召喚魔法を使っているからなのです。他国を攻め滅ぼすために……」


ヴィータリスが話してくれたのは、この世界は『イオニアス』と呼ばれているらしい。ほぼ人間の世界であると言う。

少数ではあるがエルフ、ドワーフ。そして獣人族。


その禁忌魔法とされている魔法を駆使している悪辣な国の名は『シルヴァン神国』。神を祀る国と謳っているのだが、実際には他国を蹂躙し、すべての国々を併呑して世界中を我が手にと考えていると言う。


祀られている神は、『イオニアス創造神』。

イオニアス創造神は、シルヴァン神国の行為には悩み、涙を流していると言う。


「それじゃ、その創造神さんが止めりゃいいじゃねぇか。なぁ、タイガもそう思うだろ?」

「うん、兄ちゃんの言う通りだけど。なにか理由があるんでしょ?ねぇ、女神様」

「そう。タイガの言う通りです。神は人の世界に干渉すること出来ないのです。(ことわり)、つまり世界の決め事の為です」

「ふーん。でも、あんたは俺達の前に来た。それはいいのか?」

「本来はできません。ただ、これからの話を聞いてくださいね」


続けてヴィータリスが話してくれる。

それは今まで召喚された勇者の事だった。

勇者と呼ばれた人々は、シルヴァン神国から手厚い保護を受け、また金銭や異性をあてがわれると言う。

男性ならば、見目麗しい女性を。女性が召喚されたのならば、豪華な装飾品やドレス。時には美形な男性などなどである。


そんな風にすっかり骨抜きにされ、色々な厚遇を受けた人間はシルヴァン神国の王には逆らう事ができなくなっていく。

また、他国は野蛮で創造神イオニアスを信仰しないことは許されないとも洗脳に近い形で毎日言い聞かされるそうである。

そうして他国へと攻め入る道具として扱われたとも話してくれた。


何故、勇者召喚がなされたのかと聞けば、本来は魔物が多く跋扈していた時代の名残であると言う。

魔物を倒すには異世界からの人間が保有している魔力が必要だったらしく、その魔力にこの世界の魔法を覚えさせ、討伐して世界を平和にさせた経緯があった。

平和になったのなら召喚魔法を禁忌とすれば良かったものを、創造神イオニアスは今後の魔物発生時の為にと禁忌指定をしなかった。

それを逆手に取るようにシルヴァン神国は次から次へと異世界から召喚したのだった。

召喚する度に世界の魔力が徐々に減っていく。

減るに従い、神々の力も減少傾向になってしまう。

慌てて禁忌指定をしようとした際に、レオンとダンテが召喚されたのだと女神ヴィータリスが教えてくれた。


「結局、創造神さんってのが一番悪いんじゃねえか」

「そう言う訳ではありません。当時の魔物は力が強く、世界の人々の大半が死んでしまった過去があるのです。当時のことを二度と繰り返さない為なのです」

「俺達はいい迷惑だぜ」

「うん、兄ちゃんの言う通りだよ。ねぇ、女神様。これって元の世界に戻れるの?」

「タイガ、ごめんなさい。それはできません。もう禁忌指定されたから元の世界へのゲートは閉じられました」

「「…………」」


黙り込んでしまったが、レオンもタイガも別に元の世界である地球には未練なんてものはなかったのだが。


「女神様、戻れないことは理解しました。でも、補填はしてくれるんですよね。こんな訳のわからない世界に呼びつけられて、このまま放りだすのが神じゃないですよね」

「おい、おい、タイガ」

「兄ちゃんは黙ってて。女神様、確かに僕たちの身体は変化しました。それに意味不明な力も顕現できてます。でもこれだけですか?ねぇ?どうなんです?」

「今、タイガが言った通り、すでにスキルを渡しています。『言語理解』、『身体強化』。レオンには『炎の魔力』。タイガには『闇の魔力』。使い方は理解できてるでしょう。それは創造神から加護を授けられたお蔭なのです。魔力は『魔法神』から、レオンの身体強化は『闘神』から。タイガの知力向上は『知恵の神』から。私からは二人に『世界の常識』を渡しました」

「じゃ、これ以上は貰えないってこと?」

「はい、これ以上はあなた達の身体が耐えられないでしょう」

「ふーん」



パチパチと焚火の音がする以外は、何も聞こえてこない。

小動物の騒めきすらなかった。


「……。それで?」

「レオン、何ですか?」

「それで、俺達に何をさせるつもりなんだ。獣人の為の女神さんが来るってことは意味があるんだろ?俺達が獣人ってだけじゃなさそうだけどな」

「えぇ、あなた達には仲間を助けて欲しいのです」

「「仲間?」」

「そう、仲間です。他の獣人の事です。この世界は人間至上主義のシルヴァン神国以外にも多くの国があります。他の国は獣人差別はありませんが、シルヴァン神国では獣人は『半端者』と蔑まされ、奴隷として扱われているのです。それこそ戦や魔物討伐時には肉壁として扱われるのです」

「なんでだ?獣人なら力が強いだろうが」

「えぇ、普通ならそうでしょう」

「違うのか?」

「『隷属の首輪』と言う物を着けられているのです。それを装着されると、逆らう事ができなくなるのです。あぁ、あなた達には効かないので安心なさい。そんな獣人達が可哀そうで仕方がないのです。なんとかして助けてあげて欲しい。お願いです」


(半端者か……。言い得て妙って奴だな。立ち姿は人間。顔や能力は獣。ふんっ、クソみたいな呼び方じゃねぇかよ)


レオンは静かに怒りを徐々に上げて行く。

横ではタイガもフツフツと怒り始めたようだった。



「タイガ!」

「うん、兄ちゃんと同じ考えだよ」

「そうか」


レオンは女神ヴィータリスの方へと向き直る。

「女神ヴィータリス。俺たちは仲間を救い出す。俺もタイガも『半端者』だ。半端者ばかりで一発世界をひっくり返してやるよ!人間至上主義?上等じゃねぇか。俺は母ちゃんによく言われたもんだ。『ライオンもトラも同じ生き物。同じ生き物同士が仲たがいしちゃダメ』ってな。よくタイガと喧嘩したときに言われたもんだよ。あぁ、やってやるよ。すべての仲間を救い上げてやる。誰ひとり取りこぼさないようにな!」


レオンの言葉にニッコリと笑った女神ヴィータリス。

「その言葉を待っていましたよ。レオン、タイガ、あなた達の行く末は苦しい旅路になるでしょう。ですが、我ら神々がいつも見守っていると思いなさい。レオン、あなたの気高い意思、強き力、そして世界の百獣の王になるのです。タイガ、あなたの知力、思考の速さ、そして俊敏さ。これらを使いこなし、レオンの助けとなりなさい」

「あぁ」

「うん」


「さぁ、もうお休みなさい。休んだらこの道をまっすぐ行きなさい。シルヴァン神国の領土から離れられるでしょう。そして他国で力を蓄えなさい。まずは旅路に必要な物を渡しましょう。タイガ、受け取りなさい」

「はい。これは?」

「これはマジックバックと呼ばれる物です。なんでも入り、いつでも取り出すことができるのです。無くしても、取られても必ずタイガの元へと戻ってきます。幾ばくかの貨幣と食料も入れておきましょう」

「悪いな」

「女神様、ありがとう」


「あなた達の旅路が無事でありますように」

光りが徐々に収束するにつれ、女神ヴィータリスは消えていったのだった。



「さて、寝るか。明日からのためにな」

「そうだね、兄ちゃん。おやすみ」

「あぁ、お休み」



二人が寄り添い、寝息を立てているのを見ている天空の神々。

創造神イオニアスは二人に祈りを捧げるのだった。

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