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百獣の王と密林の覇者、異世界で獣人解放の旗を掲げる~誤召喚された俺たちが、奴隷以下の同胞を救って建国する話~  作者: スフィーダ


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第17話 訓練

新年明けましておめでとうございます

いつもお読みいただき心より感謝申し上げます


本年も皆様に楽しんでいただけるよう

より一層精進してまいります

変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします

すでにレオン、タイガの街のロアザナトスには、千人を超えて住み着いている。

戦闘員は七百名以上。非戦闘員は三百人弱。


それぞれの種族、そして能力により部隊に分けられている。

誰でも入国させている訳ではなく、他国から譲り受けた犯罪歴がわかる魔道具は入場門に設置済みである。

それは住民であっても、必ず魔道具にて検査する必要があった。

今までも数人の住民が入国検査にて引っ掛かり、強制的に国外退去となっている。

家財その他は全部没収となる。

厳しいとの声もあったが、その様な発言者には『いつ国から退去してもらっても構わない』とタイガの声明により、それ以上のことを言うことができなかった。




訓練所では、各部隊ごとに訓練を行っている。

全部部隊の統括は、元ウィンザー王国の将軍グスタフ・アイゼンラートである。

特に、自分が受け持っている歩兵部隊に対しての訓練は苛烈を極めている。


「いいかっ!重装部隊が突破した箇所より、お前達が切り込んで行く部隊なのだっ!白兵戦の要であるっ!常に体力の向上に励むべきである。別にすべての力を使い果たせとは言わぬ。撤退の体力を残せるように、己の限界を見極めよ!わかったかっ!?理解できたなら、国の外周を百周走れっ!サボったりするものは許さん!行けーい!」


他の部隊はそこまでの訓練ではないが、それでも重装部隊は突進の訓練の為に大岩にぶつかっている。

特殊部隊に関しては全員が冒険者登録をしている。アンナとともに各地で魔物や盗賊を相手にしているようだ。

医療部隊は訓練中のケガの治療の為に大忙しである。

諜報部隊は常に国にはいない。シルヴァン神国を主に調べに行っているようだ。

比較的楽な部隊は、補給部隊と飛行部隊くらいであろう。



夕方になり訓練が終わった部隊から順番に食堂に集まってくる。流石にヘロヘロ状態で疲れ切っている。

それでも食べるのも訓練だとグスタフが喝を入れて食わせている。

最初のうちこそ、食べては吐き、訓練の激しさで食事すらとれない者も多くいたのだった。


今は、大量の食事は一瞬でなくなる程である。

その食事代金等はウィンザー王国が主に援助との名目で支払っている。

他国からも常に食料や武器、防具も届けられているので、ロアザナトスは困ることがない。


ごくたまにではあるが、他国からの要請で魔物の討伐依頼が入ってくることもある。

その時は、グスタフが率いて歩兵部隊が討伐に向かっている。

医療部隊と補給部隊の一部も同行している。



レオンはと言うと、政務の合間にタイガとの連携技を練習している。

その際、他の部隊の全員は遠巻きに見学し、二人の恐ろしい程の斬撃やスキルに改めて驚愕するのだった。



ある日の事、ウィンザー王国の隣国であるエルダー女王国からの緊急要請が入った。

エルダー女王国は代々女性が王として君臨しているエルフの国である。

大昔のエルフは『エルフ至上主義』であったらしいが、現在は『開かれたエルフ国』として、人間たちと交流を図っている。

獣人に対しても、森の仲間との認識が強く嫌悪感はないそうである。


そのエルダー国からの要請とは、近くの山にあるダンジョンから魔物の氾濫(スタンピード)の予兆があるらしく、レオン達のロアザナトスへと救援依頼をしてきたのであった。


レオンは急遽、閣議を行い全部隊を連れて行く事は不可能であり、留守中にシルヴァン神国が攻めて来る懸念も考え、レオン、タイガ、アンナとグスタフと歩兵部隊の半数で向かうことになった。


ただエルダー女王国へは数ヶ月かかってしまう。

その間に襲われてしまうと目覚めが悪い。どうするかと考えていたのだが……。


「何、悩んでるのさ。僕のスキルで行けるじゃないか。あっ、でも行ったことのあるところしか行けないけどね。ウィンザー王国なら行けるね」

「そんなことが出来るのかよ!?」

「うん。言ってなかったね。ゴメン、ゴメン」



早速移動しようと館前に集合となった。

「とりあえず、ウィンザー王国の近くに移動するね。兄ちゃん、女王様には連絡した?」

「あぁ、さっき手紙を飛行部体の奴に頼んだ。すぐに届くだろうさ」

「そう、それならいいか。じゃ、行くよ。『ヴォイドゲート(虚無の門)』。ほら、入った、入った」


空間に真っ黒なゲートが現れ、中はグニグニと空間が歪んで見える。

流石のレオンでも入るのは躊躇ってしまった。

「兄ちゃん、何してんのさ。早く入んなよ。後が使えてるんだからさぁ」

「そ、そうは言ってもだな。……、タイガ、本当に大丈夫なんだよな?信じてるぞ。ええぃ、クソー」


気合一発入れながらレオンがゲートに飛び込んだ。

後の者達も王が入って自分たちが入らないと言うことは出来ない。

何より、そんなことをするとタイガが怖い。


恐る恐る入るしかない。

入ると景色は一変していた。

レオン、タイガ、アンナは見覚えがあるウィンザー王国近くの草原。

グスタフにとっては故郷の景色だった。


飛行部隊の鳥人がレオンの前へと降り立ち、女王へと手紙を届けたと報告をしてくる。

その飛行部隊に『女王国』へ連れて行くように命令をしている。

どうやらゲートを開く為に一度訪問するつもりだろうと誰もがすぐに理解できた。


五人の鳥獣人達に抱えられたタイガは『すぐ戻る』と言い残し飛び去ってしまった。

二時間後、レオンの前にゲートが現れ、中からヒョッコリとタイガが顔を覗かせる。

どうやらエルダー女王国と繋がったようだ。

ゲートを潜り抜けると鬱蒼とした森の中で、そこには女王や多くのエルフが跪いて臣下の礼をとっていた。


立ち上がって貰い、早々にダンジョンへの案内を頼む。

歩いて四、五十分くらいのところの山肌にポッカリと穴が空いている。

そこがダンジョンの入り口だと言う。


「一応聞くが、中には誰もいないだろうな。後、このダンジョンは無くなっても良いのか?」

「はい、中には誰も入っておりません。ダンジョンも我らエルフでは持て余します。どうぞ、ご随意になさってください」


「わかった。では、俺が最初にダンジョンへ攻撃をしようか。どうやら中で蠢いている気配もするからな。皆、下がっててくれ。『パーガトリー・ロア(煉獄の咆哮)』。グゥオォォォォォー」


パーガトリー・ロアは、炎を束ねたブレスを吐き出し、遠距離の敵を焼き尽くすスキルである。

レオンは息が続く限りダンジョン入り口へと咆哮を続ける。


「ふぅ、しんど」


レオンが咆哮を止めた時、中はマグマのように至る所で岩盤が焼け、溶けた岩肌が流れ落ちている。

さっきまで蠢いていた気配はもう無い。

それよりも熱気が激しく同行者全員がかなり後ろまで下がっていた。

横に立っているのはタイガのみ。


「なぁ、兄ちゃん」

「なんだ?」

「今、僕に入って確認しろって言わないよね?」

「入りたいのか?ヤケドするぞ」

「わかってるよっ!」


ダンジョン内部が冷えるまで待つしか無いが、レオンのみがズンズンと入って行った。

自分のスキルであり、炎のスキル使いの為に気にはならないようだった。


時間が経ち、グスタフや歩兵部隊は中へ入って行く。

タイガとアンナは案内してくれたエルフ達の警護で待機となった。


暫くしてグスタフと歩兵部隊が戻ってきた。

「タイガ殿、こりゃダメだ?」

「どうしたの?」

「どうしたも何も、俺たちの出番が無いんですわ。せっかく歩兵部隊の訓練に丁度いいと思ってたんですがねぇ」


聞けば最下層近くまで行ったそうなのだが、魔物一匹すら見当たらなく、見つけたのは炭になった魔物と酸欠や熱傷で死に絶えた魔物しかいないと報告してくれた。


「それで兄ちゃんは?」

「あぁ、旦那ならまだ下層に行ったみたいだぜ」

「グスタフさんは行かなかったの?」

「あの、咆哮が聞こえてきたんだぜ!行けるかよ!」

「そりゃそうだ」


レオンが入ってから数時間、ようやく戻ってきた。


「あー、疲れた。帰ろうか?」

「「「「いや、いや、いや、いや」」」」

「どうした?ダンジョンの中は全滅させてきたぞ。後は帰るだけだろうが!」


確認のためにタイガがスキルを駆使してくまなく探索した結果、虫一匹も生きているものはいなかったようだった。

エルダー女王国へと戻り、すべて完了と報告後、礼も受け取らずに帰路へのゲートを開かせ、自分たちの街へと帰ったのだった。



女王は案内のために同行したエルフから詳細な報告を聞き、そのあまりにも強大なレオンの力に恐れ慄いたと言う。

また、後日ではあるがエルダー女王国からは定期的に野菜、果実が大量に届くようになったと言う。

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