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百獣の王と密林の覇者、異世界で獣人解放の旗を掲げる~誤召喚された俺たちが、奴隷以下の同胞を救って建国する話~  作者: スフィーダ


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第12話 報告

ウィンザー王国の王であるアズーラ・フォン・ウィンザーは、膨大な政務書類に追われていた。

「よくもまぁ、毎月毎月と大量の嘆願書が来るもんだ。あぁ、疲れた。おい、茶を淹れてくれ」

専属メイドに茶を頼むと言うことは、すなわち休憩時間を意味している。

文官や宰相も一息つきはじめた。


コンコンコン


「入れ」

「はっ、失礼致します。陛下へ書状が届きましたので、お持ち致しましてございます」

「誰からだ」

「はっ、ウィリアム・アッシュフィールド辺境伯様からでございます」

「ほぉ、ウィリアムからか。珍しいこともあるものだ。滅多に王都へも来ぬ奴がなぁ。どれ…………」


ニコヤカ読みはじめていたのだが、徐々に険しい顔になり始める。

「宰相、急ぎ各大臣を閣議の間へ集めよ!事は緊急を要する。急げっ!」

「承知致しました」

「……これは好機かもしれぬな…………」



二時間後、急遽呼び出された大臣達であったが理由がわからない。

宰相にも聞いているが、宰相自身も知らされていなかった。


ガチャリ


「待たせたな。よい、挨拶は不要だ。では早速始めようか」

緊急とのことで呼ばれたのだが、王は若干であるが顔はいつもよりにこやかに感じられた。


「悪い話と非常に良い話がある。まず悪い話からしておこう」

悪い話と聞き、閣議の間は緊張感に包まれる。

「我が国、ウィリアムの領地にシルヴァン神国の工作員が現れた」


ザワザワザワザワザワザワ


「陛下の御前である。静かにせよ!」

宰相が一喝して黙らせる。


「工作員の数は十六名。そのうち一人は神国工作隊の指導的立場の者だ」

「陛下、それは誠でございますか!いえ、陛下の言を疑うわけではございませんが、何分に内容が……」

「そうであろうな。卿が疑いたい気持ちもよくわかる。実は余も信じられんほどであった」

「陛下、その証拠となるものもございましょうか?」

「ある!ここにな」


王はウィリアム辺境伯から書簡と一緒に届けられた書面を掲げて全員に見せてやると、また騒め始めてしまった。

陛下、それが手にあると言うことは……」

「うむ、次は良き話をしよう。実はな……」


辺境伯からの手紙にはレオンとタイガが野盗を討伐した件から小箱までも発見した経緯が書かれてあった。


「陛下、その功労者は我が国の民でございましょうか?もしくは冒険者でございますか?」

「フッフッフ、皆も知りたいであろうが、まずは茶を一口飲み心を落ち着かせるのだ。余も飲んでおこうぞ」


意味がわからないが王の言葉は絶対である。各大臣達も目の前のコップで茶を啜る。


「では、話そう。少々長くなると思うがな。その前に皆は神国の異様に強き戦士を知っておろう?かの国では『勇者』と呼ばれている者たちを」

「ですが、それは噂の域を出ておりませぬ」

「実は誠の話である。かの国は召喚魔法とやらを使用し、異世界から別の人間を呼び寄せたそうである。その人物の欲。つまりは『金銭欲』、『性欲』、『物欲』と色々とあるが、それらすべてを与え、その後に洗脳したのだ。自国以外は悪の国だとな。また、召喚された際には、何らかのスキルを持っていたようである。十年前にはなるだろうか、勇者と呼ばれたひとりの男に他国が蹂躙されたこと、まだ記憶に新しい。思い返せば、十年ごとに勇者が現れておる。本年が以前から数えて十年目である」


「そういえばそうだ。あれから十年経っておるぞ」

「では、また戦か」

「他国もまだ傷は癒えてはおらぬぞ」


大臣達が各々に発言しているのを黙って聞いていたが、

「そう、大臣達が言うように十年目である。しかし、安心するが良い。もう、二度と勇者は現れぬ」

「恐れながら陛下、その根拠をお教えください」

「うむ、実はな召喚はなされているのだ。まぁ、落ちついて聞くが良い。召喚された人物は、すでに神国の手から完全に離れておる。何故か?それが余が話した工作員を討伐し、証拠の書面を見つけ出した者である」


オォォォォォー


「さて、では何故、神国は召喚者を捨て置いたのだと考える?」

「はっ、まだ幼い子供であったのでしょう」

「いいや、赤子の可能性も捨てきれぬ」

「もしや手足が欠損していたのでは?」

「それともスキルが一切なかったのではないか」

「召喚時に何らかの事故で死んでいたのかもしれぬ」



「ふむ、大臣らの想像は当たらずとも遠からずと言ったところであるな。召喚者は獣人である。それも異世界では人ならざる獣であったそうである。種族は『ライオン』と『トラ』。そのどちらも世界には存在しない種族である。余も獣人族で結成されている第三期師団にも聞いたのだが、誰一人として知らないようであった」


閣議の間は誰も口を聞かずに王の言葉に耳を傾けている。


「その二人の前に獣人族が信奉している女神ヴィータリス様がご降臨なされたそうだ。二人、いや、お二方は神の使徒でもあらせられるのだ」

「しかし陛下、そのような使徒様を神国は放り出したのでしょうか?」

「卿よ、忘れたのか?彼の国では獣人は『半端者』と呼ばれ、人権すら与えられておらぬことを」

「あっ、申し訳ございません。失念しておりました」

「ふむ。そのお二方は冒険者として登録をなされたそうであるが、等級試験の際には強烈なスキルを使い、第二等級の冒険者をアッサリと倒したそうである。それも危うく消滅させるほどの強大なスキルであったそうだが、そのお力も一端に過ぎぬらしい」


閣議の間は水を打ったような静けさになってしまった。



「余も使徒である異世界からの訪問者に会ってみたいと思ってな、ウィリアムにはお連れするようにと返信をしたところである」

「陛下、先程のお話では召喚は今後は無いと仰られましたが、それは何故でございましょう」

「おぉ、忘れておったな。よく言ってくれたな。うむ、女神ヴィータリス様は仰られたそうだ。『禁忌である召喚魔法は世界より無くす』とな。創造神イオニアス様もお心を痛められた結果とも言えるらしい」


「陛下、我らも使徒様にお会いしとうございます。何卒、謁見の際には参列のご許可をお願い申し上げます」

「わかっておる。余も初めてであるのでな、今から緊張しとるのだよ」


「陛下、そのお二方への褒賞はお考えでございましょうか?」

「いいや、それは使徒様のご希望のものを用意するつもりではある。領地でも宝物でも一生遊んで暮らせるほどの大金でもな」



「では、次の話だが、憎き神国の工作員であることは王印が押された書面もあることで言い訳もできぬであろう。また指導的立場の者も生きて捕えておる。城内のとある場所にて幽閉しておるのだ。場所については言えぬ。どこで誰が聞いておるかわかぬからな。さて、これで我が国や他国も優勢に転じられるのだ。まず手始めに神国の者の不法入国及び犯罪行為。そして拉致監禁について賠償と拉致した人物、獣人族も含むが、他国からの拉致被害者の返還を強く求めるつもりである。すでに周辺諸国には連絡済みである。この気を逃すわけにはいかぬ。みな、心せよ!良いな!」

「ははぁー」



その後、周辺諸国からレオンとタイガに対する感謝の言葉を伝えたいと申し入れが殺到し、王の仕事は多忙を極めるのだった。

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