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Footage1「美味しくて有害な空気を吸おう」

『目覚めたようですね、渡り鳥(マイグラント)

 あなたにはこの世界で、私の指定する勢力に協力し、指定する対象を撃破する……つまるところ、ミッション形式の散発的な戦闘に出撃していただきます。

 今回のミッションでは、この世界の中心にある大樹……“世界樹”麓の森林にて、薬品の原料を回収しに来たガイア製薬の機兵部隊を殲滅することが目標です。

 作戦地域への輸送・回収はもちろん、私が責任を以て行いますのでご安心ください。

 では、よい報告をお待ちしております』
















 世界樹・樹海浅部

 目を覚ますと、そこは昼の樹海だった。

 木漏れ日が地面を照らすが、淡い光のゆえに地面はひんやりと湿り、ところどころに水溜りを形成する。

 目線を下ろし、武装を確認する。右手には大型のアサルトライフル、左手にはブレード発振装置が備えられ、全身を黒のパワードスーツのようなもので覆われていた。

『マイグラント、目的地の座標は既に送信してあります。……当然ですが、寄り道は厳禁です。今までの狂人の中には、ミッションを放棄してなお隈無く探索しようとするものもいたので、念の為言っておきますが』

 頷きで返し、視界の端に映る仮想モニターの表示の通りの方向へ歩き始める。

『マイグラント、あなたは何も知らずにこの世界に来ているでしょう。目的地に到達するまで、私がこの世界についてお話します。

 この世界は、かつて存在したとされる太陽系第三惑星に酷似した生態系を持っています』

 足音を気にせずに駆けていくと、木々の上部に居座っていただろう鳥たちが一斉に飛び立っていく。

 『世界の中央に突き立てられた、極端に巨大な樹木“世界樹”を中心とし、魔法や科学によって知的生命体が発達し、文明を拓いていました。

 やがて、知的生命体たちは大きな争いを起こし、その末に、電子化した自分たちを世界樹と融合しました。

 これを機に、文明は退化し始め、残った技術力の遺産を使い――』

 そして辿り着いた場所で、2mほどの二足歩行兵器たちが木々を削って採取を行っていた。

『彼らのように、生き残りをかけて藻掻く者たちだけが生き残りました。マイグラント、容赦はいりません』

 身構え、最も近くにいる兵器へ向けてアサルトライフルの銃口を向ける。あちらは気付いていない。

『殺してください』

 トリガーを引くと一気に銃弾が吐き出され、兵器の装甲に弾かれる。が、その内の何発かが関節部に着弾してショートさせる。

「!? 敵襲だ!」

 今姿勢を崩して爆散した以外の機体から声がし、他の四機がこちらへ向く。あちらが撃ってくる小口径マシンガンの弾丸を、背のブースターから瞬間的に噴射して左右に高機動しながら最も手近にいた機体をブレードで両断しつつ、その左側の破片を蹴り飛ばして次の機体に激突させる。短いブーストを再び行い、放熱中のブレードを使わずに左拳でその機体を撃ち抜いて粉砕し、今度はブースターから一気に噴射して急加速し、弾丸を弾き返しながらアサルトライフルを撃ち返して一機撃墜し、最後の一機を放熱の終わったブレードで両断する。

『目標の殲滅を確認……ええ、テストの時点でわかっていましたが、この程度では準備運動にもなりませんか。……』

 フィリアは何か言いたげに吐息を漏らし、そして言葉を続ける。

『マイグラント、あなたの実力のほどを試したく……実は、この機兵部隊とは別に、隊長クラスの機兵をこちらの情報操作によって引き剥がし、ここへ誘導しています。

 騙してすみませんが、私の好奇心を満たしてはくれませんか?』

 何らかの気配を感じて来た道を戻って身を隠すと、間もなく、木々を薙ぎ倒して4mほどの重厚な四脚の機兵が現れる。

「なんだこれは……樹竜にでも襲われたか……?」

 四脚機兵が先程両断された機体へ注意を向ける。

「切断面が綺麗だ……それに、溶断されている。いかに樹竜が強力と言えど……ッ!?」

 既に樹上に移動し、落下しながらブレードを展開して斬りかかると、勘か殺気か、四脚機兵は咄嗟に気付いて振り向きつつ、右腕の実体ブレードで受け止める。

「貴様かッ!どこの役の者か!」

 ブレードを振り払ってこちらを後退させると、左手に装備していたマガジン式グレネードランチャーを撃ち、躱すと木々に激突して爆発する。

「パワードスーツでこんな速度を出せるのか……!?」

 四脚機兵は驚愕しつつも飛び上がって実体ブレードを振り下ろし、しかし当たらずに地面を深く掘る。背後を取られたところで実体ブレードをパージし、上半身だけを反転させて胴体部を狙って繰り出したこちらのブレードを、右腕を犠牲にすることで防ぎ、自爆覚悟でグレネードランチャーを発射し、至近距離で弾頭が爆発する。だがこちらもブレードの発振装置を犠牲にして衝撃を弱め、アサルトライフルを四脚機兵の頭部に当てて一瞬の目眩ましをしつつ、地面に刺さった実体ブレードを拾い上げて飛び上がる。

「おのれ姑息な……!」

 怯んだ四脚機兵の真上を取り、実体ブレードを頸部に突き刺して、そのまま胴体まで貫通させる。

「馬鹿な……ならず者が、ここまで……!?」

 飛び退いて着地し、四脚機兵が爆散する。

『隊長機体の撃破を確認……見事な戦果です、マイグラント。回収しますので、安全を確保してお待ち下さい』
























『お疲れ様でした、マイグラント。

 あなたが撃破した機体を回収し、確認しましたが……事前の情報通り、あの樹海で採取できる素材を集めていたようです。

 こちらは、蝶の鱗粉にも似たものですが……痛み止めや、向精神薬の原料となります。

 なんでも、夢見心地になって、安らかに眠れるのだとか。

 狂人であるあなたは、いつもぐっすりと眠れているとは思いますが。

 ……どうして不思議そうな顔をするのですか?』

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